17話
「見てこれ」
臥龍岡 小袖がバッグから取り出したのは鞘に収まったナイフだった。
「もしかしてまだほかにも色々とそのバッグには入ってるのか?」
「そうみたい、これはめっちゃ助かる。私はナイフが一番好きだから。街に行ったら買いたいなと思ってたけど、その前に魔物に襲われたらどうしようって不安だったの隊長は分かっててくれてたんだ」
「俺のやつは?」
「九十九は武器なんか使えないでしょ?」
「なんで決めつけてるんだよ」
「わかるよ。だって体の使い方が素人丸出しだもん」
「は?」
「立ち方とか足の運び方とかさ、見ればわかるんだよね。やったことないでしょ武術とかなんも。正直に言ってみな?」
「サッカーはやってた、だから蹴りなら自信ある」
「それなら武器なんか必要ないじゃん。その緑馬鹿でかい足でければいいんだから」
「そんなこと言わずに見て見てくれよ、なんか入ってるかもしれないだろ俺のための武器が。日本刀とかそういうのだよ」
「えー入ってないんじゃないの?もし刀が入ってたら私が使ったほうが絶対いいと思うけど」
そう言いながら小袖はバッグの中に手を入れながらガサゴソする。
「あ!あった」
「見せてくれ」
「やったよ!ほら!ものすんごくいいの入ってたよ」
そう言って取り出したものは長方形型の見慣れた物。
「武器じゃないじゃないかよ」
「ノートパソコンだよコレ!異世界でYouTubeが見れるかも!」
「何言ってんだよ電気なんて無いだろこんなところに」
「あっ、そっか………けどそれならなんで隊長はノートパソコンなんて入れてくれたんだろ」
「あ?なんか適当に入れただけじゃないのか?」
「そんなわけないよ。いままでのだってちゃんと私が欲しいものをくれてたんだからこれだってちゃんと考えてるに決まってるよ」
「そうか?俺はそこまであいつのことを信用していないんだけど」
「絶対意味あるよ。多分これインターネットにもつながってるんじゃない?」
「もしかしてネットスーパーか?」
「わかんないけど、とにかく電源入れてみようよ」
破裂音がした。
「えっ!?今のって」
「銃か?けどここは異世界だぞ!?」
連続の破裂音。
「あ!また。なんかいま悲鳴みたいなのも聞こえた」
「悲鳴?俺には聞こえなかったぞ」
「争ってる声がする。たぶん動物の声」
「動物?俺には聞こえないけどそれって魔物の声なんじゃないか?」
「そうかもしれない、怖い」
「さっきのナイフを使えるようにしておけよ。もしかしたらこっちに来るかもしれないぞ」
「そ、そうだね」
ノートパソコンをバッグの中に戻して緊張した面持ちで鞘からナイフを引き抜いた。
「うわ!?」
「おおおおぉ!?」
引き抜いた途端にナイフは赤い光を放った。
「なんかやばいぞそのナイフ!大丈夫か?」
「わかんない、わかんないけどいまはこれしか武器は無いよ!?捨てたほうがいいかな?」
「いやいや落ち着け。隊長のことを信用するなら俺たちに害のあるものをプレゼントするわけないだろ」
「そ、そうだよね………」
「怖いからとりあえず鞘に戻しておいた方がいいんじゃないか?」
「わかった、そうする」
鞘へ戻すと赤い光は消え去った。
「なんなんだそれ?」
「持ってみて嫌な感じはしなかったから多分大丈夫だとは思うんだけど」
破裂音。
「ねえどうする九十九!?とりあえず逃げる?」
「そうだな………」
「どうしたの?」
「もしかしたらこれってなんかのイベントとかじゃないのか?」
九十九は考えた後で言った。




