第20話 血痕
えっちらおっちら歩を進め、太陽がほんの少しだけ西寄りになった頃、村に到着した。だが、辺りにはひとっこ一人見当たらず、各家々の玄関及び窓は閉めきられ、こんなにも良い天気だというのにカーテンまでかかっている。
おかげで村は閑散としていて、ある種の不気味さを醸し出している。なんなんだこの村は。
「もしや村のピンチとやらとは、『村民全員がいなくなった』とかか?」
「それに関しては分かりかねますが……」
妖精は苦笑しながら、視線を右に移す。その先には青々と繁るホウレン草の畑が広がっていた。要するに、居なくなった訳ではないと?
「えぇ、おそらく」
とするとあれか? 住民全員が引きこもりか何かか? ……流石にそんな不健康な村は無いか。
とまぁなんとも阿呆な、考察と呼ぶに値しない思考をぐるぐると巡らせていると、いつの間にやらリエルが居なくなっている事に気付いた。
「……こっち」
微かに聞こえてきた声のする方へ目をやると、12〜3メートルほど離れたところでしゃがみこんでいる。……つーか、この距離ならもう少しでかい声で呼んでくれよ。
「これを見て」
次は何を見つけたんだ、と後ろからのぞきこむ形で見てみると、畑の脇の畦道の端に真っ赤な……
「ケチャ……ップ」
「いえ、勇者様、血です」
血で水たまりができていた。
「……これが村のピンチの手がかりか?」
「他にもある」
リエルにそう言われてよくよく見ると、この水たまり程の大きさは無いものの、道なりに点々と血痕が続いている。それをたどっていくと、やや大きめな民家に行き着いた。
「どうやら、この村の村長の家のようですね」
「分かるのか?」
「そこの表札をご覧ください」
『村長』
はっは〜……ふざけんな。
とまぁ、笑えない冗談はさておき、家の門を叩く。
「ごめんくださーい」
「……どちら様かな?」
門の向こうから弱々しく掠れた返事が帰ってきた。声から察するに老人だろう。
「村のピンチと聞いて馳せ参じた」
「おぉ、お待ちしておりました」
その言葉の後、ギィィと大きな音を立てて門が開かれた。声の主は予想通りご老人だったが、予想だにしていなかったことが一つ……
「いやぁ、よくぞ来なすった」
鼻から大量の赤い液体が、滝のようにそれはそれはダバダバと、ダバダバと噴出していた。……って大丈夫ですかご老体!
「それで、村のピンチとは?」
少しは動じろよ!!
「今すぐにでもお話したいのですが、少し頭がクラクラしてきました……私も歳ですかねぇ」
ご老体、歳のせいではありません。あなたの鼻の下のスプラッシュマウンテンのせいです。
「まぁ立ち話も何ですから、中へお入りください」
ご老体はそう言って奥へと入っていった。では、お言葉に甘えて、と次いでセネカが門をくぐり、リエルが眉一つ動かさずそれに続く。
はぁ……なんか頭痛くなってきた。
まぁしかし、このままここに居ても話が進まないのもまた事実であり、とりあえず血だまりをひと跨ぎして三人の後を追った。
……ところで、この門誰が掃除すんだ?
スプラッシュ…………マウンテン?
『マウンテン』で無い事は確かですね。
サブタイトルの割に内容がはっちゃけてるから不思議。
……技量の問題ですねorz
当分この短さです。申し訳ないm(__)m




