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第10話 飛羊

「食べないんですか?次はいつこんな余裕ができるか分かりませんよ」


「いらん」


今は食ってる場合ではない。

…色々と突っ込まねば、俺の気分が収まらん。


「つーか、何で魚肉ソーセージなんだよ…世界観考えろよ」


薬草とかポーションとか、そんな響きのアイテムを落とすなら、話は分かる。

……魚肉ソーセージって…


「まぁ、この世界では、ありふれた食べ物ですよ」


ビニール剥がしながら答えるな。説得力に欠ける。


「じゃあ百歩譲ってそうだったとして、何で羊が持ってんだよ…」


「さぁ?後で食べようと思ったんじゃないですか?」


……突っ込む気力も失せた。

意外とコイツは投げ槍なセリフが多いな…。


「…もういい。先に進むぞ」


「そうですね。こんな無駄な論議に時間を費やしている場合ではありませんでした」


相変わらず笑顔を絶やさない。そんなに微笑み続けるんなら、スマイル0円の某有名店に雇ってもらえ。きっと天職だと思うぞ。


…そんな余計なことを考えつつ、歩き出━━


「……くっ…」


「なんだ?」


出鼻を挫かれてしまった。

声の方を見るとセネカが青ざめ、苦悶の表情(…目以外はスマイルだが)を浮かべている。


「どうやら、毒にかかったようです…。一歩歩いたら、HPが1減りました」


「ド○クエかよ…」


「…これが原因のようですね」


そう言ってセネカは、オレンジ色の物体を取り出した。

……いや、ちょっと待て


「魚肉ソーセージじゃねぇか!」


「…大丈夫だとふんでいたのですが…」


「じゃあ…あの羊が毒を…?」


可愛い顔して、えげつないことをしやがる…。


「いえ、ただ腐ってただけです」


さらっと言ってのけた。


「……食う前に気付けよ…。とりあえず、毒消しでも探して来るか?」


「…どちらかといえば、太○胃散を━━」


「……なぁ…何で知ってんだ?」


「冗談です…」


笑えん。

…とりあえず、毒消しを調達しに行こうとしたのだが…


『モンスターが現れた』


二歩目で遭遇。洞窟並みのエンカウント率である。


「メェェェ〜」


モコモコ・リターンズ!


もはや可愛いだなんて微塵も思えない、元凶の登場である。お前があんなもん落とさなければこんなまどろっこしいことには……。


「マズいですね…」


「確かに」


セネカは今動けない。さっきは偶然勝てたものの、流石に二度目は分からない。


「…まずは様子を見て、隙があったら逃げて下さい…」


「…お前はどうするんだ…?」


「…大丈夫です。安心してください」


青ざめた奴が言うセリフではない…


「メェェェ〜」


『モンスターは仲間を呼んだ』


「…なっ!」


1匹で手一杯なのに仲間なんぞ呼ぶんじゃねぇ!


『モコモコBが現れた』


「メェェェ〜」


『BはCを呼んだ』


……え?今なんて…


「「「「メェェェ〜」」」」


『オマケでD、E、Fも来た』


なぁ、ちょっと待て。冷静に話し合おう羊くん…


『D、E、Fは━━』



〜数分後〜



『101匹のモコモコが現れた』


眠くなってきた…。


目の前には大量の羊…もとい、モコモコがひしめき合っていて、それはさながら積乱雲のような巨大な塊になっている。


「…シュールな光景ですね」


「…あぁ。帰っていいか?」


「流石にこの状況で一人には…」


「…だろうな」


101匹モコモコVSフライパン勇者


三流映画のタイトルにでもなりそうな、世紀の対戦(絶対にそれはない)が幕を開ける。


…多勢に無勢という言葉を知っているだろうか?


『モンスターの攻撃』


「メェェェ〜」


「ちくしょー!こうなりゃヤケだ!」


さっきと同じ様に、フライパンをフルスイング。

…が、しかし力みすぎたフライパンは俺の手からすっぽ抜け、あさっての方向へ飛んで……


カコーン


……飛んで行くと思ったのだが、偶然俺に飛び掛かろうとして来たモコモコ(AだかBだかは知らん)に命中。


『クリティカル!!』


きりもみ回転をしながらモコモコは吹き飛んで……


「メェェェェェェェェェ」


『モコモコAがBに激突』


その衝撃でBも吹っ飛んだ!


「メェェェェェェェェェ」


『BがCに激突』


…あれ?何この流れ…


『CがDに激突。DがEに━━中略(この間約5分)━━モンスターを倒した』


「なんだこのデキレース!」


「…ここまで来ると逆に清々しく━━」


「ねぇよ!」


『大量の経験値とお金を手にいれた』


「…これだけあれば、それなりの剣が買えますよ」


なんだかな…。


『毒消しを手にいれた』


「ちょうどいいじゃないか」


「えぇ、助かりました」


『魚肉ソーセージを30本手にいれた』


「………」


「…食うなよ」


「食べませんよ」


つーか、こんなにいらねーよ!




…つづく

秋田犬ですm(__)m


なんだかんだでこの話で10話目。区切りですね。


作者の矮小な脳を振り絞りつつ書いているこの小説を、最悪の更新頻度の中、10話目まで目を通していただいた皆さんに感謝しています。


作者はこの先も、変わらぬテンションで書き続けます!少しでも良くなるようにがんばります!……できる範囲で。




それではまた次回m(__)m

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