未来予知
目の前に龍が立ちはだかる。
天廻龍マグナ。転生者が攻撃を仕掛けてくる。
「正気に戻れ!」
呼びかけるが反応が無い。
問答無用で凶悪なブレスを放つ。
ここは迷宮の中の筈なのにバカみたいに広い。
俺は姉の英伝聖具。氷剣エルサを構え、剣筋をマグナに向ける。だが体が動かない。怖いのか。恐れているのか。
マグナは一切の躊躇いもなくブレスを放つ。回避かいなすかだけで全く攻撃が出来ない。
ラフィーもいない。ジャベリンは俺を庇って動けない。
「はは、ははは」
詰んだ。
俺が動けばどうにかなる。だが俺は恐れている。クラスメイトを傷付ける事を。だが動かない。俺は自分の失うより他人を殺す方が怖いのか。
マグナが人型になり、ジャベリンに近寄る。
ジャベリンから何か飛び出し、その何かがマグナに吸収される。そしてマグナがジャベリンの肉体に何かを埋め込み、ジャベリンが起き上がる。
慈悲はあったとかそんなふざけた言葉はすぐに消し飛ぶ。
ジャベリンがこっちに向かってくる。ジャベリンに倒され、そして、手に持ってる槍を突き立てる。
痛い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アレから3年。地球換算で3年。
蟷螂の綾波は見つからない。そして1つ、悩みがある。いつの日か取った未来予知というスキル。
これは文字通り、この先の出来事を予知する事が出来るものだが、なぜかコレを取って以降、変な夢を見る。
この夢で感じた事は、とてもリアルだ。何がどうとはハッキリ言えないが、とてもリアルに出来ている。感覚も感情も。
これは未来予知のスキルの効果と予想している。特に理由は無い。ただの直感で。
夢の内容というのはすぐ忘れる。今覚えているのは金色の龍だけ。それから、何かに対する恐怖。それだけだ。
話も戻そう。何故蟷螂の綾波を探しているのか。答えは姉さんの死因の手掛かりになるのではないかと考えたからだ。
姉さんが転生者の存在を知ったのは、あの蟷螂と会った後だった。…こんな時こそ未来予知の出番だ。いや、無理か。
そういえば、ラフィーがたまに別の自分の記憶が流れてくると言っていた。シンクロニシティだっけか。メカニズムは分からないけど、それに近い現象が起こっている。手掛かりになるかもしれない。




