表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーフライフ  作者: スノウ
31/237

発砲



転移した瞬間、僕は落ちて行った。


運良く骨は折らなかったが、瓦礫と化した家の残骸で手を切り、足を切り、無傷とはいかなかった。


マスコミの取材陣がカメラを回し、激しくストロボを光らせて居た。


空にも何台ものヘリが飛び、地上だけでは飽きたらずに、取材合戦を繰り広げていた。


群がる様に駆け寄って来たのは、警察でも救急隊員でも無く、何故か自衛隊だった。


白鳥さん、大丈夫ですか!」 と、『衛生科』の表示を着けた隊員達が僕を担架に乗せようとした。


「一体何が起こったのか、教えて貰えませんか?」


僕は担架に乗るのを拒否し、隊員にそう訊ねた。


「自分達はそういう許可がありませんので。」 と、言うばかりだった、


警察の管轄では無いようで、野次馬やマスコミの整理はしていたが、バラバラに崩壊した僕の家を調査しているのは皆自衛隊だった。


見るからに衛生科とは違う隊員が走って来て、「こちらに来てください。」と、張られたテントに連れていかれた。


中には数人の上官らしき自衛官が待っていた。


「どこから現れたのか。」とか「何故あの車は動かないのか」と、矢継ぎ早に身分も名乗らず問い詰められた。


「まず、一体何が起こったのか、何で僕の家が壊れているのか説明して貰えませんか?」


僕は質問を無視し、そう言った。


「我々は指示に従って動いており、説明する許可をもらってはおりませんので。」 と、同じ事を繰り返すだけだった。


「あの車が何とか言ってましたが、何の事ですか?」


彼らの質問に答える振りをして、質問を返した。


「あそこに依然浮かんでいる、あなたの車の事です。」 僕はそう言われ、テントから出てフィットの惨状も見ておこうとした。


「どこへ行くか!」 と隊員に制止され、テントから出るのを拒まれた。


「手を離して下さいよ。」 僕の肘と肩を極めて制止する隊員に、そう言った。


「まあまあ落ち着いて、白鳥さん。」 年配の上官とおぼしき自衛官が、僕に話し掛けてきた。


「なら、手を離すようにこいつに言って貰えませんか?」 


僕は自衛隊のルールで僕を縛ろうとする彼らに、少し苛立って居た。


「僕は逮捕とか拘束されている訳ですか? 今。」


テントから出る事さえ制止される今、自分の置かれた状況を知りたかった。


「そういう訳ではありませんが、保護と考えてもらっても良いかと思います。」


そうか、保護と言う形の拘束だと言いたいんだな、この人は。


僕は何気ない振りをして、「で、何から僕を保護してくれるんですか?」と言いながら、尻のポケットに手を入れて魔魂を潰した。


『結界』を自分の周りに張るイメージをしながら。


「それは、私には話す許可がありませんので」 ニヤニヤ笑いながら彼は言った。


「ちょっと弁護士に電話させてもらうよ。」 僕はあえて横柄な態度でそう言いながらスマホを取り出した、


「おいっ! 田中っ」 と先ほど僕の腕を極めた自衛官に、上官らしき男が目配せした。


僕をまた押さえつけようと近づくが、電話を掛け続ける僕に近付けないでた。


「早く、電話を取り上げろ!」 上官は保護する振りを止め、大声で下士官に命じていた。


「あ、白鳥ですが、」 僕は顧問弁護士の携帯に繋がると、現在の状況を話始めた。


取りあえず向かうと言うので、僕は電話を切り、なに食わぬ顔をして、気づかれぬよう録画を始めた。


もうその頃には10人を越える下士官がテントに詰めかけて、僕を取り巻いていた。誰も結界に入れず、ジリジリとしている。


「おい!抵抗は止めろ。」 


僕は近くにあった折り畳み椅子に座り、スマホを玩ぶ振りをして動画を撮り続けた。


「別に抵抗なんてしてないじゃないですか。」 


僕は怒らせて情報を引き出そうと、これ見よがしにニヤニヤと笑いを浮かべた。


「きさま、ふざけるな!」 上官は顔を赤らめて怒鳴った。


「もう一度確認するが、あんたらは民間人であるこの僕を、逮捕とか拘束する権限がある訳ですかね?」 


言質げんちを撮る為に僕はそう聞いた。


「そんなものは無い。しかしここからは出さん。 これは、保護だ。 お前とあの車の技術を保護するのだ。」 


僕は怒鳴る彼の顔と言葉を動画で撮り終えると、取り囲む自衛官達の前で再生を始めた。


僕が何を隠し撮っていたのかを知った上官は、「手足の一本位折っても良い、絶対に逃がすな。」 彼は若い自衛官達に命令した。


「僕はこれからこのテントを歩いて出て行く、あそこに居るマスコミの方たちに話を聞きにね。」


僕はそう告げると、また動画を撮りながら、テントの出口へと向かった。


魔魂で張った結界が、人々を避けさせる。 



「許可する。やれ。」 上官が自衛官の一人に命令した。


スマホで動画を撮られて居るのに、自動拳銃を抜いた。


「小隊長、本当に撃って良いんですか?」 僕に銃を向けながら、田中と呼ばれた下士官は確認した。


「命令だ撃て。足だぞ、足を撃て。」 


それを聞きながらも焦りはなかった。銀魂でも車を浮かす程の魔力があるのだ。 弾がどう結界で防がれるかを見たい、そんな余裕さえあった。


「パンッ」 と、かなり大きな音がして、耳がキーンと遠くなった。


弾は、探したら地面に落ちていた。


「撃ったな。」  僕は動画を撮りながら、小隊長と呼ばれた上官を振り向き、そう言った。


「田中、しっかり狙わんか! 撃て!」

上官は僕の目を睨みながら、そう命令した。


「パンッパンッパンッパンッパンッパンッ」 6発の甲高い銃声がなり、耳が馬鹿になりそうだった。


僕は睨み付ける小隊長と呼ばれる男に、


「保護するだの言いながら僕を撃たせたんだ。 覚悟しとけよ、小隊長。」


そう言い捨てて、出口へと向かった。


取材していたろうマスコミに、何が起こったのかを聞きに行くために。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ