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訳有り一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。故郷に戻って来て全てを解決か?~気付かない内に運命急上昇中 その2  作者: 龍冶


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第19話

 翌朝、ニキ爺はクーラを連れて帰るべく、キリッと決心して城へ行こうとしていた。いつもはユーリーンと二人で行くのだが。・・・ユーリーンは連れて行かないことにした。彼女が居ても混乱が増すだけと長年の経験で分かっていた。昨日、セーン奪還行きのつもりで選んでいた、ヘキジョウさん達を連れて行く。

 一家の中で知恵と腕力が一番と言える2名の身なりを整えて、従者風にして連れて行くことにした。


 早朝である。セーンが朝ごはんに降りると、出発しようとしていたニキ爺に会った。

「早いね、僕もついて行こうかと思ったけれど」

「良いんだ。これは俺の責任だからね。自分の蒔いた種は自分で刈る。セーンも覚えておくんだぞ」

「なんだか、覚悟の出発風だけど。不味い事になりそうなら、もっと大勢さんで行ったらどうかな」

「ヘキジョウ達が、不味くなったら加勢に来ると言っている。この人数は、大げさにならないように門をくぐるだけだ。彼らはどうやら瞬間移動できるんだろう。主人が居る所なら、何処でもな」

「そのようだね。俺、急いで朝飯食べとくよ」

 食堂に行くと、ユーリーン婆がむっつりひとりで食べていた。連れて行かないと言われ、ふてくされているようだ。しかし、ニキ爺はいつも正しい判断をする。最近はだが。

「ちゃんと連れて帰れるかしら、心配だわ。あたしがついて行っても役に立たないってのは、そうだろうけどね」

「思ったんだけど、どうして王様と結婚させたのかな」

「王太子の時だったけどね、ジュールと子供のころから婚約していたけど、年頃になったクーラって可愛くって優良物件一番って感じになったのよね、そしたら王太子がクーラを気に入って、婚約解消を命令されるんじゃないかって雰囲気だったの、でも、グルード家にしても、あのジュールのママんち実家の古の王女ゆかりの家柄らしいってところにしても、家柄が良いところだから無体なことなど出来ないって、王様に諦めろって言われたそうよ。それで違う良いとこのお嬢さんと結婚したんだけれど、うまく行きゃしないわよね。仲が悪いまま後継ぎは生まれたけれど、相手の方は早死にでしょ。その人、不味い事にグルード家とは犬猿の仲だった家の出だったから。ほら、例のガブ公爵とも親類のレッタ伯爵家出でね。当時はガブ公爵の弟が養子に行った所よ、侍女さん達もその伯爵家から連れて来ていて、後で知ったんだけど、クーラの侍女は総入れ替えで来たんだけどね、入れ替えたクーラの侍女も、レッタ伯爵家やガブ公爵の侍女の実家から来ていたのよ。あたしンちの侍女?お城勤めなんか出来るようなお上品な娘、生憎居なくってね。グルード家って、ニキのソルスロ家もだけど、魔物は殺すの得意だけど、あまりお上品な家じゃないのよ。強力なだけで。分かるでしょ、雰囲気で。あの子、表向きはちゃんとお世話してもらっていても、意地悪されたり、困るような事になったりで、変だと思って調べてみて出身が分かってね。きっと針の筵みたいな日々だったでしょうね。また侍女を入れ替えたけど、仕えにくい王妃って評判になったようね。それに、ジュールとのこと、婚約解消しても未練があったようでね。王太子が王になってから割とあからさまに、婚約破棄して王家に嫁いでくれって言われていたのよね。でも、渋っていたら、ジュールに色々困ったことがあったのは、王の差し金だったこともあったらしいの。そして、王立騎士団に変わるときにジュールが婚約破棄を言って来たの。ジュールからなのよ。普通そういう事は男性側からするの。そしたら、王が逆恨みしたように、変な言い分だけど、クーラに恥をかかせたとか言ってね、最前線に行ったのは王命だったそうよ。なんだか、結婚にはこじつけたけど、初めに思い通りにならなかった所為かしら。理不尽な事をつぎつぎにしかけてきて、そんな風で、結婚するときはクーラは王をまったく愛しちゃいなかった。離婚案件と思うけど、王からしか離婚は出来ないの。そういう決まりなのよ。セーンは知らないこともあるの」

「何つーか、いやなやり口。クーラ叔母さんの周りには嫌な奴多いな。気鬱になるはずだな」

「そうよね、もっと早く連れて帰るべきだったけど出来なかった。ヤモ一家が頼りになると思ってニキは思い立ったのよ。言わばセーンが彼らと信頼関係を築いてくれたおかげなの。魔物は扱いが難しいのよ、善良な魔物でも、強くて利口で、プライドが高いのよ」

「そうなのかもしれないね。ヘキジョウさん達ってそんな感じがするよ」


 一方キリッとニキ爺、城の門をくぐり取次の係に王への面会を申し出る。実の所、王様は予定が詰まっていて、当日面会は無理な話であるが、分かっていてあえてニキ爺は取次を申し出た。王様の近侍が知らせを受けてやって来た。

「グロード殿、いかがなさった。王様は今日はセピア公国に親善パーティーに行かれて留守なことぐらい御存じでしょうに」

「あっ、しまった。失念しておったわい。いや、先日クーラと共にお茶のお誘いを受けておったが、何日にするのか聞いておらなんだから、確かめたかったのだが。君は知ってはおらぬか」

「生憎、存じ上げませんね」

「では、クーラに聞きたいが、クーラはまさか王様とセピア公国に行ってはおらぬだろうな。先日訪問した時も体調は芳しくなかったはずじゃ」

「そうでございましたか。私室でお休みの事と思います王妃様への御面会も、一応前日までに申し出ていただくことになりました」

「そのような話、聞いてはおらぬぞ」

「昨晩、王様が決められました。ご不在の間の事をご心配なされての事だと思います」

「はっ、儂らが押し掛けると思っての事だろうが」

「そのような表現は不敬罪ですぞ。いくら義理の御父上でも」

「ふん、儂らが来てはならぬと言うなら、王妃をこの辺りまで呼んでもらおうかの」

「お知らせいたしましたように、王妃様は現在、お休み中です」

「いい加減なことを申すな。見たわけではあるまい。王様がご不在なのに近侍が王妃の私室に行けるはずはない」

「メイド長から伺っております」

「メイド長は王様が不在だから休暇を取っておるぞ。儂らの家の隣がメイド長宅じゃ。城におらぬのにどうやって王妃の様子が分かるのかな。お前は取り次げないであろうが。父親が訪ねて来たのを、阻止する権利があるのか、近侍ごときに。宰相を呼べ」

「宰相殿も王様に同行されております」

「ではお前に儂を阻止する権利はあるまい。あるのか、有るならどういう権利じゃ言ってみろ」

「分かりましたよ、どうぞ面会に行ってください」

 仕方なく近侍は王妃の私室に案内した。ヘキジョウ達をじろりと見て、

「お伴の方はドア前までですから」

 と言うと分かっているので2人はドア前で待つ。直ぐに近侍は去ったし、2人がドア前に居るだけのはずもない。さっさと中に入った。

 ニキ爺はクーラの居る部屋に行き、驚いているクーラに、

「城を出るぞ。荷物があるならまとめろ」

「持って行かないわよ。こんな物なんか。最近たっぷり洗剤に浸かっているのよ。だから自分でゆすいで干しているの。良く乾かなくってね」

「分かった、分かった。サッサとしろ。寝間着で帰るのか」

「寝間着しか乾いたのが無いのよ、ガウンも何かついているの。構うの、この格好で?」

「いやいい、どうせ瞬間移動だ」

 そこへ、ヘキジョウさん達2人が登場。一応付き添いだから主人から離れはしないのだ。

「あら、お揃いでどなたかしら、この格好じゃ、構うんとちがうかしら」

「ヘキジョウさん達だ、前に話しただろ」

「まっ、構うわよ。でも良いの、今日は出血大サービスの日なの」

「そうかい、じゃあ帰ろう。儂は一人なら十分移動できるんだ・・・あれ?できない」

 ヘキジョウさんの内の一人が、

「瞬間移動阻止の呪文がかかっていますね」

 もう一人が、

「こういうのは坊ちゃんしか破れませんよ、残念でしたね、お館様」

 そして、一番若いのが、セーンを呼ぶ。

「坊ちゃーん、出番ですよー」

「はい、はいー、爺さんおあいにく様だったねー」

「生意気な奴」

「なんだか、最近は家が楽しそうになっているのね」

 機嫌よくクーラは言った。


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