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今日も今日とてバーノン老師の元へ。バーノン老師の授業の良い所は、日の出からやれるので終わった後にも色々活動できる所だ。


「ほ、来たの。今日は何からやろうかの」


今日も既に仁王立ちしている老師に挨拶をする。今日も消耗品の作成から入るのだろうか?


「そうじゃのう、今のところ在庫の少ない物が無いからのー……そうじゃ、欲しがっとった野営セットの下準備なんぞしてみるかの? 昨日は複合型の末端部品じゃったからの。今日は単独型魔法道具の作成からいこうかの」


作成難度としては、複合型魔法道具の末端部品、単独型魔法道具、複合型魔法道具の本体の順であるらしい。これは家庭用品のみに絞った順位であり、各分野の専門用品の難易度はばらばら過ぎて簡単に並べられないらしいが。


「まあ、空間拡張の文字をいきなり書けとは言わんよ。あれ難しいんじゃ。先ずは、縮小と収納の魔法文字からやってみるんじゃ」


と言うわけで、私が渡されたのは金槌と木材である。昨日の木箱の作成から始まるらしい。木工の経験はないのだが……とりあえず、設計図から引こうか。メモ帳に簡単に寸法を書き、この間見かけた木箱の寸法を見当で決めてのこぎりで切って行く。いかん斜めになる。


「おー、木工にはさすがに手を出しておらんか。ちょっとほっとしたわい。のこぎりは引く時に力を込めるのじゃ、が。今回は切らんでも出来る寸法の箱を作って欲しいかの」


私の作った悲惨な木材は端に除けられてしまった。出来ない事は素直に申告すべきだな。あの木材には悪い事をしてしまった。イルがじっと見ているが、まあ多分使って良いと思うよ。


大人しく、定められた寸法の木材を組み合わせて大きな箱を作った。成程、言われてみれば丁度箱1個分の木材が揃えてあったのだ。うっかり失敗したせいで一部分が欠けてしまったのだが、老師がどこかから補充してくれたので、無事に完成した。


大全を取り出し、野営セットの項を探す。やはり難しいのか1000頁台であった。これでまだ前半3分の1の所なのだと思うと気が遠くなりそうである。


該当する文字が複数あって、何が違うのかと読み比べてみれば、縮小率と展開速度の差であった。一番簡単な文字は縮小率が5分の4で展開するのに3分かかるそうだ。最も難しい物は100分の1まで縮ませて展開が30秒である。魔物避けの効果に差はないらしい。


「まあ、魔物が避けられぬ野営セットに価値はないということじゃの。荷物が多くても構わん冒険者や行商人も少ないの。ただし、元のサイズを考えて縮小率は設定せんと収納した時にどこにやったかわからなくなるでな。気をつけるんじゃ」


ビー玉ほどに縮めた野営セットが一昔前一世を風靡したそうだが、紛失が後を絶たずあっという間に廃れたそうだ。まあ、ポケットからでも転がり落ちるようではどこに行ったかわからないだろうし。


「今では、概ね拳大に納めると言うのが不文律になっておる。勿論別注品にまでわしらが口を出すことはないから、たまには小さすぎる野営セットも作る事があるがの」


相槌を打ちつつ、どれを書こうか少し迷う。今私の背ほどで一畳分の箱だから、勿論100分の1では小さすぎる。悩んだが、25分の1で、展開速度は2分ほどの物を書くことに決めた。昨日のどの文字よりもかなり複雑である。ううむ、見比べるだけでは怪しいな。


じっと眺めるが、書き切れる自信がない。コピー機が欲しい所である。……コピー? ふと、ここ数日ほったらかしの糸を触った。糸で教科書をなぞる。動きの方向性が今までと違うので勝手が違うが、【魔力精密操作】が仕事をしているらしい。それほど苦労することなく文字を象る事が出来た。コピーと言うよりはスキャンに近いか。


注意深くそれを壁面に移し替えるが、ペンが壁に届かない事に気付いた。糸が間に入っているのだから当たり前である。もう少し工夫の余地が無い物かと考え、線をなぞるのではなく線の縁を象ればよろしいと思い至った。思いついたら実行するのみである。ガイドの通りにペンをなぞらせて文字が完成。おお、あんなに難しかったのに。


「……お主、なんぞずるしたの?」


まあ、老師にはばればれだ。当り前である、急に指先が宙で蠢いてみたり、中空を睨みつけてみたり、かと思ったらすいすいと文字を書いたりするのだ。怪し過ぎる。いやしかし、どうせ全く覚え切れる気もしないしそうすると何かしらの補助は必要だ、と言う事にしておきたい。老師は私をじっと見据えていた。


「よろしい! 工夫の心はまだ忘れておらんようじゃの。出来る技術全てで最高の品物を作るのが一流の魔法道具職人じゃ! 今の工夫に至る思考を忘れるでないぞ」


ええ? 険しい顔だった老師は、にわかに満面の笑みを浮かべた。ちょっと理解が追い付かないが、つまり使える物は何でも使えと言う事らしい。成程、私の場合は記憶の代わりに糸ガイドを使えと言う事か。


「ただし! 書き間違いが致命的な職業なんじゃからの。その手段を取る限り他の誰よりも丁寧に書いた文字の検分を行い、決して怠るでないぞ」


ガイド自体を過信するなと言う事か。まあ、手作業スキャナである以上、思い込みで写し間違える可能性と言うのはある。ご尤もであった。


「よろしい。では収納の文字を反対側に書き込みなさい、そして対になる修まる容器にも同じ様に記載して二つを触れ合わせるのじゃ」


収納の文字も、縮小ほどではないが複雑である。ガイドを再び作成して、同じ文字を壁面と魔石に記載。大全と見比べて見比べて、間違いない事を確認して2つを接触させた。小さく光って魔石だけがどこかへ消えてしまう。


「今ので、この二つは表裏一体の一つの物と言う事になったのじゃな。今は展開しておるから、収納時の魔石は見えぬのじゃ。収納したはずなのに箱が出っ放しじゃただの不良品じゃからのう。ほれ、収納の文字を触って起動させよ」


言われた通りにすれば、今度は煙を吐かないで木箱が魔石に変身した。2分もかかったので、何か間違い探しでもしているような気分になってしまった。物が段々透けてくるなんて、目の前で起きていても不思議である。


「ふむ。これもよい出来じゃの。しかし、空間拡張はもう少し先じゃ。お主のそれでも結構難しいじゃろうからの、もう少し文字の構成を感覚的にでも掴んでからじゃな」


老師がじっと容器を見つめていたが、満足げに頷いた。しかし、色々と学ぶ所のある授業であった。確認もせずに事を進めるのは悪手だし、言われた通りにやるだけが正解ではないのだ。この歳になってまだ学ぶ事は多いらしい。


辰砂《しんしゃ》 Lv.70 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師、魔法道具職人の弟子

HP:1185

MP:3380

Str:470

Vit:250

Agi:500

Mnd:610

Int:610

Dex:530

Luk:230


先天スキル:【魅了Lv.9】【吸精Lv.10】【馨】【浮遊】【飛行】【緑の手Lv.2】【水の宰Lv.2】【死の友人】【環境無効】

後天スキル:【魔糸Lv.12】【調薬Lv.20】【識別Lv.20】【自動採集Lv.1】【採掘Lv.24】【蹴脚術Lv.4】【魔力察知Lv.9】【魔力運用Lv.15】【魔力精密操作Lv.23】【宝飾Lv.7】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.13】【漁Lv.2】【魔手芸Lv.7】【調薬師の心得】【冷淡Lv.4】【話術Lv.6】【不退転】【空間魔法Lv.6】【付加魔法Lv.11】【細工Lv.5】【龍語Lv.6】【暗殺Lv.2】【料理Lv.4】【夜目Lv.4】【隠密Lv.12】【魔法道具職人の心得】【文字魔法Lv.4】


ステータスポイント:0

スキルポイント:73

称号:【最初のニュンペー】【水精の友】【仔水龍の友】【熊薬師の愛弟子】【絆導きし者】


イルルヤンカシュ Lv.29 仔水龍

HP:7500

MP:5000

Str:1150

Vit:1150

Agi:350

Mnd:630

Int:630

Dex:400

Luk:100

スキル:【水魔法Lv.28】【治療魔法Lv.5】【浮遊】【飛行】【強靭】【短気】【環境低減】【手芸Lv.17】【アヴァンギャルド】【風魔法Lv.2】【雷魔法Lv.3】


スキルポイント:2

称号:【災龍】【水精の友】【ツンデレ】【絆導きし者】


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― 新着の感想 ―
[一言] 確か、サブスキルだと経験値取得が減ってレベルアップ遅くなるという話でしたよね? それにしては主人公は、後天スキルとサブスキルの入れ替えをしなさすぎる。 屋内にいるのに採集やら採掘やらを常駐…
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