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 ノース山に移動。5日の間に廃人達や熱心なプレイヤーはニーの街に移動したのかもしれない、街といい道中と言い冒険者の姿が少なかった。精霊さんも今日はリラックスした様子である。ブレスレットが手首についていて嬉しくなった。


「まあ。大変だったわね?それで水龍ちゃんが水晶抱えてるってわけなのね。辰砂しんしゃちゃん、ありがとうね。水龍ちゃんも良かったわねえ大きな水晶貰えたねえ、おおよしよし」


「ンジャ~」


 顔の引っかき傷を聞かれて起きぬけの顛末を語った所、労いの言葉を頂いた。水龍も顔を撫でられてご機嫌である。奴はクラスターを私に返すものかとばかりに身体でしっかり固定しており、試しに引っ張ってみたがびくともしなかった。その際指を噛まれたのは私が悪いので不問にしてある。


「だけど水龍ちゃん、女の子の顔に傷を作ったままじゃあ良くないわ。責任持って治しておあげなさいよ、ね?まあぁ!なんて事言うの、こんな別嬪さんに、水龍ちゃんがそんな子だなんて……うぅっ……」


 精霊さんは私の顔の傷が気になって仕方なかったらしいが、水龍が何やら反抗したようだ。多分、男か女かわからない乱暴者だから要らないんじゃね?とか言ったのであろう。間違っていないので気にならないが精霊さんは泣き真似をし始めた。


 おろおろと精霊さんの回りを水龍が飛びまわり、物凄く仕方なさそうに私の方を指差した。にわかに顔に暖かい風を感じて思わず頬を触ったが、あった筈の傷が跡形もなくなっていた。


「あらあ辰砂ちゃんよかったわねえ!綺麗に治ってるわよ。水龍ちゃんはやっぱり優しい子だったわねえ。おばあちゃん嬉しいわあ」


 一瞬でにこにこ笑顔に変身した精霊さんに水龍は戸惑っているようだったが、笑ってるしいっか!みたいな雰囲気で抱きしめられていた。どうやら水龍はあまり思慮深くないらしい。はっきり言うとアホの子である。


 雑談を続けながら薬草類を採集し、泉の水を汲み、先日植え直した場所を見に行った。しっかり根付いている事を確認、念の為再び緑の手を駆使して水を撒こうか。水筒2本分だが無いよりはいいだろう。泉に戻り、もう一度水を汲んで精霊さんと別れた。今度はイースト山へ移動だ。


 人が少ないのをいいことに山から山へ最短距離を空中移動。風を切る感覚が爽快である。後はカリスマさんに大きいクッションを作って貰ったら重心的な気分も解決するに違いない。装備の次はクッションを頼むこととしよう。


 誰ともすれ違わないままイースト山へ。誰もいないのでフードを落として採掘に励む。どうしても視界が狭まるので不便は不便なのである。話しかけるなオーラは強烈に出るのでそういう意味では便利なのだが……。


 崖を端から端まで掘ることにして数時間経過。飽きる迄掘り倒して一息ついた。大漁である。前回と同じく水晶類、少しの軽銀、新しく青曹珪灰石、縞瑪瑙に、心の底から不思議なのだが真珠まで出てきた。驚き過ぎて三度識別したが真珠であった。


 一息ついたのでもう一度識別してみたが、やっぱり真珠である。今までの不思議の中で一番理解不能かもしれない。いつの間にやら遊びに出ていた水龍が戻ってきて、真珠を欲しがるので渡した。どうも気に入ったらしいので糸を編んで帯状にし、即席のチョーカーを着けてやる。まあ結構沢山取れたし一つくらいならいいだろう。


「ンジャジャア、ジャッジャ」


 何言ってるか全然わからない。こいつも懲りないなあと思いつつ身振り手振りを交える水龍を眺めていた。


『魅了が抵抗されました』


 ん?


『魅了が抵抗されました』


『魅了が抵抗されました』


『魅了が抵抗されました』


『魅了が抵抗されました』


『魅了が抵抗されました』


 消しても消しても出てくるポップアップウィンドウに思わず目を閉じた。目の前がちかちかするのを眉間を押さえて堪える。抵抗されるとこんな感じになるのか。


 薄眼を開けてウィンドウが展開してないのを確認してもう一度目を開けた。水龍が相変わらず一生懸命喋っている。魅了はこいつに抵抗されたのか。初抵抗がこんなちみっちゃいのだとは思わなかった。


「ンジャ、ジャンジャジャ」


 観察を再開。うーむ、アホの子にしか見えないけれどこのひたむきさは得難い物かもしれない。私には失われたものだ。何だか何が言いたいのかも解りかけてきた気もしてきた。


「ジャジャジャ、もうジャッジャアンわるジャア」


 今は両手を握って上下にぶんぶん振っている。うーむ何か一生懸命言ってる。多分ちょっと怒っているな。


「ジャジャう、ジャア加減ンジャれよ!ジャアアりがとッジャ言ってンジャろ!馬ジャー!」


 いい加減にしろだ?お前こそ解るように喋るんだな、半分くらいしか解らないぞ。


「もーばあちゃんのお願いじゃなきゃこんなに一生懸命喋んねーのに!良くして貰ったらありがとって言うんだろ!察し悪過ぎんだよバーカバーカ!わかれよ!真珠と水晶ありがと!あ・り・が・と!わかる?」


 人の事を馬鹿にしてるのか、はたまた礼を言ってるのかはっきりして貰いたい。最初の意思疎通は大変微妙な物に終わったのだった。とりあえずデコピンしておこう。


辰砂しんしゃ Lv.16 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師

HP:360

MP:1400

Str:330

Vit:200

Agi:330

Mnd:530

Int:530

Dex:530

Luk:200

先天スキル:【魅了Lv.7】【吸精Lv.2】【馨】【浮遊】【空中移動Lv.5】【緑の手Lv.2】【水の宰Lv.1】【死の友人】【環境無効】

後天スキル:【糸Lv.15】【宝飾Lv.5】【調薬Lv.15】【識別Lv.10】【採取Lv.21】【採掘Lv.19】【蹴りLv.18】【魔力察知Lv.3】【魔力運用Lv.4】【魔力精密操作Lv.7】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.9】【漁Lv.1】【魔手芸Lv.6】【調薬師の心得】【冷淡Lv.1】【話術Lv.2】【不退転】【空間魔法Lv.6】【料理Lv.1】【付加魔法Lv.10】【細工Lv.2】【龍語Lv.5】



レベルが、上がらない。


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