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「結構使っちまったから、また限界ギリギリまで頼むわ。あと、一回で使える威力って増やせないのか?だんだん魔物が強くなってきてて、もうちょい火力が欲しいんだよ」


 む?シュンが言い出したのは意外な話だった。付加守の出力を大きく?付加する時には一瞬で全部入るので、引っ張り出す方の調整次第だと思っていたのだが。


「そうなんですか?それでしたら、ええと。今はどれくらい出せていますか」


「全開で引っ張り出すと、一回で耐久値が25減る。25までなら結構調節効くんだけど、正直今の魔法威力に加算するには貧弱なんだよ。少ない分回数は使えてたしコスパはいいかも知れねえけど、せめて50くらい欲しいんだよな、100とまでは言わねえから」


 確か、前回チャージしたMPが……22500だったかな?一回25なら、900回か。やはり攻略組だけあって戦闘回数が私とは桁違いのようだ。まあそれはそれとして、出力幅か。今まで考えたこともなかったなあ。


『【付加魔法】対象に魔法または魔力を与える。効果時間は使用MPで調整可能。対象により抵抗される事がある。効果は重複しない』


 付加魔法の詳細を確認して見る。別に出力の際に制限がかかるような文言はないんだけどなあ。うーん、付加したMPの総量に比例するとかなのか?とすると、石の品質かサイズかを上げればいい筈だ。


「少々お待ちいただけますか?イル、今の完成品の中で一番いい石か一番大きい石を使った物ってどんなやつだったかな」


 最近自分で付加守を作ってないせいで、全然把握できていないのである。売主失格ではあるが、作者が一緒にいるので勘弁してもらいたいところだ。


「そうですねえ、一番いい石なら、この虎目石タイガーアイを四角く仕上げて繋げてあった可愛くないやつがいいと思いますよ。一番大きい石を使ったのは、大理石マーブルがいっぱい余ってるって変な形に削ったコレじゃないですか?」


 どことなくトゲのあるイルの助言に従い、該当する品を出して貰った。どちらも私が作ったものだ。無骨でごっつい虎目石の腕輪と大理石製のダンベル風置物(1kg)。作風が違いすぎて間違いようがなかった。

 少しばかり悲しくなりつつ、どちらにも限界までMPを注ぎ込んで見る。虎目石の方が58000入り、ダンベルの方は65000入った。


「お待たせしてます。すみませんが、ちょっと試していただけますか」


 シュンに腕輪とダンベルを渡して試して貰った。これでうまくいったなら、また腕輪が売れるはずだが。


「腕輪の方は63まで出せる。ダンベルの方は……これ何でダンベル型なんだ?……71か。こっちのがデカいな」


「シュン、買ってもいいけどパーティで出せる充填代はどっちか分だけだから。両方はちょっと不公平」


 おっと、明らかに心が動いたシュンにクランドが釘を刺してしまった。せっかく不良在庫まっしぐらのダンベルが売れるかと期待したのに。いや本当になんでダンベル型にしたんだろう?我ながらさっぱりわからない。


「う、どっちか、かあ。うーん、虎目石なら両方使えるけど、大理石だと土だけだし……虎目石の方、くれ」


 毎度。初回分と端数分はサービス、流石に万単位のMP補充だと300/1000エーンはぼったくり感が強くなってきたので300/500エーンに割引した。しめて195500エーンである。わずか五分で100万エーン近い売上げになった。


「ご愛顧ありがとうございます」


 営業スマイルでお礼を述べておいた。何となく悔しげに見えたのは気のせいではあるまい。まだ根に持っているのか。子供だな。

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