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巡り逢い

この物語はフィクションです。

物語の中に、歴史上実在した人物などが出てきますが、異世界ファンタジー、創作の一種としてとらえていただければ幸いです。

また、一部の場面で宗教的な発言等がありますが、本作は特定の宗教、宗派等を支持・布教および批判する意図は一切ございません。

 諸行無常。この世に不変的なものは存在しない。形あるもの、ないもの、全てにおいて言えることだ。


 それは、お札においても例外ではない。

 野口英世(のぐちひでよ)、樋口一葉(ひぐちいちよう)、福沢諭吉(ふくざわゆきち)。見慣れたお札が、もうすぐ新しくなるらしい。


 暗闇をぼんやりと照らすテレビ。画面の中では、最近流行りの芸人が、お札の特集をしている。

 お金は、見た目は変われど、その立場は変わらない。何にでも変えられる通貨、誰にとっても大事なものなのだ。


 この世で信じられるものなどない。だが、お金は例外なのかもしれない。


 ズキズキと鈍く痛む頭。不意に、とてつもない不快感が胃からせり上がった。

 洗面台に手をつく。出せるものは全て吐き出したほうが、楽になる。だというのに、出してもなお、まだお腹には違和感が残ったままである。息苦しくて、涙が滲んだ。


 机の上にある錠剤に縋り付く。膝をつく自分は祈るような体勢で、笑えてしまう。

 神に祈るとすれば、何を請うのだろう。友情か、愛情か、それともお金か。


「馬鹿馬鹿しい」


 この薬は、私に一時の休息を与えてくれる。少なくとも、いるのかいないのかわからない神様よりは、よっぽど頼りになる。錠剤を何粒か適当に口へ投げ込むと、いくらか気分が冴えた気がした。

 化粧も落としていないが、今日はこのまま寝てしまおう。スーツがシワになっても構わない。

 つけっぱなしのテレビを消そうと、ベッドサイドに置いていたリモコンを掴む。が、ぴたりとその手が止まった。


「2024年・・・今年は、紙幣のデザインが一新されます!」


 テレビの中から、MCのわざとらしく張り上げた声が流れてくる。


「お札の肖像になった人物について、皆様はどこまでご存知でしょうか?彼らの偉大な功績とその人生は、実に華々しく・・・」


 画面に映る肖像たちに、目が吸い寄せられる。

 北里柴三郎(きたざとしばさぶろう)、津田梅子(つだうめこ)、渋沢栄一(しぶさわえいいち)。その人生で日本を変えた偉人たち。


 ぼうっと画面を眺めていると、不意に何かが手に触れた。見ると、お気に入りのブランドの長財布がある。カバンの中に入れていたと思っていたのだが。なんとなくそれを手に取り、開ける。

 中には、数枚のカードとコンビニのレシートに小銭、そしてお札。給料明けで、いつもよりお札は多い。福沢諭吉、樋口一葉、野口英世などの見知った面々に加え、新顔の三人が神妙な顔つきで並んでいる。信じられるのは、お金だけ。そんな誰かの声が聞こえた気がした。



※「私」の選択によって、異なる時間を進みます。


・一万円札渋沢栄一を手に取る → 渋沢栄一1章へ<https://ncode.syosetu.com/n3713mt/2/>

・五千円札津田梅子を手に取る → 津田梅子1章へ(順次公開)

・千円札北里柴三郎を手に取る → 北里柴三1章へ(順次公開)

・お札を手に取らない → ???1章へ(順次公開)

・何もせず眠る → 聖徳太子1章へ(順次公開)


挿絵(By みてみん)


本作はノベルゲーム原作を小説版に書き下ろしたものです。

ゲームプレイ(無料)はプロフィール等からご確認ください。

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