第8話 神妖の地
「占いを覚えたんですよ!」
《いきなりどうした?》
また例の露出狂、サクがやってきてそんなことを言ってきた。唐突すぎる。
《なんだ急にどうしたんだよ・・・・・・》
『なに? スピに傾倒したわけ?』
「スピそのものみたいな2人に言われたくないですよ! ・・・・・・いや、いきなり言っても信じてもらえないかもしれないですけど、本当なんですって! 霊能力について色々試してみたら、占いが出来ることが判明したんです!」
話を聞くと、なんでも霊能力でどんなことが出来るのか色々と実験していたらしい。それで、占いとかの方まで手を出してみたんだけど、占った結果が悉く、ピタリピタリと当たったらしい。
《偶然じゃないの・・・・・・?》
『絶対偶然だよ。ただの偶然だってそれ』
「だからなんでオカルト側の存在がそんなに否定的なんですか! そういう能力に目覚めてたとしても不思議じゃないでしょ! 幽霊と神が存在する世界なんだから!」
《まあそうかなあ・・・・・・? それで、今日は何しにここへ来たの?》
すみれはサクに聞いた。
《とりあえず、今日はちゃんと服着て来てくれたから嬉しいよ》
「えっ? ああ、まあ、そうですね・・・・・・」
《なんか怪しいな・・・・・・一応聞いとくけど、パンツは穿いてる?》
「へへへ・・・・・・」
《穿けよ》
『まあすみれちゃんも穿いてるかどうか曖昧だし、ツッコめる立場でもないけどね?』
「お、神様もなかなか物好きだねえ〜」
《なんだよその反応・・・・・・》
で、肝心なサクの用事だ。
「今日の私の用事は、他でもない! その占いを受けてみませんかってことです!」
どうやらそういうことらしい。占い能力が発動したということで、調子に乗って2人を占おうとして来たようだ。
《神を占うって、なんか変な感じがするな・・・・・・》
『まあでもせっかくなんだし、占われてもいいんじゃない?』
当たるも八卦、当たらぬも八卦ということでとりあえず占われてみることにした。
サクはカバンの中から水晶玉のようなものを取り出してそれに両手を翳した。
「むむむ・・・・・・」
《古典的イメージの占いだなあ》
サクはしばらくそうして水晶玉を前にして唸っていたが、やがて
「あ! 水晶玉に文字が浮かび上がってきましたよ!」
と叫んだ。
《マジで?》
『すごいじゃん。どれどれ・・・・・・』
すみれとユキの2人は水晶玉の中を覗き込んだ。水晶玉の中には、「凶」という文字が浮かんでいた。
《凶・・・・・・》
『って、書いてあるね・・・・・・』
「これはつまり、近い将来お二人に凶事が起こるってことですよ!」
《いや、それは見りゃわかるわ》
『占いってこんなおみくじみたいなもんだっけ・・・・・・?』
「でも凶ですよ凶! 大変じゃないですか! 気をつけた方がいいですって!」
《いや気をつけろったって何を気をつけりゃあいいんだよ・・・・・・》
占いには凶と出たものの、こんな感じでこの日は特に気にすることなく終わった。
しかし、よく考えたらこの日の占いは、後日思い返してみればきちんと当たっていたのだ。それにすみれが気づいたのは、事が起きた後のことだった。
◇
すみれが朝起きると、いつもは祠の近くに普通に浮いているはずのユキがいなかった。
《あれ? ユキ・・・・・・》
どうしたんだろう。こんなことなんか今までなかったのに・・・・・・まあ、そういう時もあるのか? すみれはそう思いつつ祠の中から出て、とりあえずユキが帰ってくるのを待ってみようと思っていると
《ん?》
何やら、祠の上に折りたたんだ紙が置いてあるのが目に入った。手紙のように見える。
捧げ物か? もしくは村人が願い事とかを書いたのか・・・・・・そんな予想を立てながらすみれはその紙を開いたが、内容は予想とはまるで違っていた。そこには、こう書かれていたのである。
《お前の大切な友達、幽霊のユキは頂いた。返してほしかったら、指定する場所まで来い》
そう書かれていた。その下には地図が書いてあり、その一ヶ所はまるで囲われている。おそらく、そこが指定する場所なのだろう。
《なんだ、これ・・・・・・?》
突然の事態に、すみれが困惑していると
「ああ、きましたね。凶事が」
後ろから声がした。
《!?》
振り返ると、サクが肩越しに手紙を覗き込んでいた。
「これはきっと、他の妖怪の仕業ですね」
驚くすみれをよそに、サクはそう言った。




