40 ガーネットへの個人的な依頼。直ぐにご用意できます!!
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こうして今から【ガーネット】の主力四人で話し合う事になるのだけれど、お爺ちゃんは「寂しさが無くなって良かったのう」と言い「アルジ ヒトリデ ガンバッタネ!」とタキちゃんから褒められてちょっと嬉しかったのは内緒にしていこう。
それから暫くしてお父様とエンジュさんがやってきて、机に並んだアイテムを見て「また色々考えたな」とエンジュさんは笑い、お父様は「仕事熱心じゃないか」と笑っていた。
「画期的なんですよ今回のアイテムも。まずは此方のガラスペンなんですが」
と、私ではなくセンジュ君がプレゼンを始めた。
これに私も補足を入れつつ話をすると、「ガラスペン専用インクも作りたいから、インク会社と相談だな」と話し合った。次に眼鏡に新しく二つの付与をしていることと、その特許も先ほど取ってきた事を伝える。
続いてサングラスだが、こちらも付与をしている事と、太陽の日差しで目が痛くならない事を強調して、「外出する時の必須アイテムですね!」と力強くプレゼン。
最後の補聴器に関してはお父様が「最近耳が遠いというお年寄りの客もいたから丁度いいな」と語り、そこに私が思いついて付け加えた。
「でも鉄や銅で作るから、日差しや体温で補聴器が熱くなる可能性があるわ。適温付与は出来ないの?」
「適温付与……ですか? 聞いたこと無いですね」
「こう、常に適温に保てば耳も痛くならないと思うのよ」
「ああ、でもそれなら俺でも付与できそうですね……ただ、もう一度補聴器に付与できるか試してみても?」
「ええ」
「では失礼して……『適温付与』」
その言葉に私が鑑定すると、確かに『体温に応じて適温する効果がある』と出て来た。
その事を伝えると、「もう一つ特許取らないとだな」とお父様は笑い、エンジュさんは「流石センジュだな!」と頭を撫でていた。
「でも、これらは姉上が居ないと出来なかった付与です。寧ろ姉上がいたからこそ生まれた付与が多いです。姉上、ありがとう御座います」
「いえいえ、ただ、これらを作るにしても、人員と工場の確保が必要になるかと」
「確かにそうだな、今の注文だけで一杯一杯だ」
「今から半年後を目安に、工場を近くに一つ買うのと……あとは人員を商業ギルドで募集して貰おう。傘下を増やしても問題はないしな」
「そうですね」
「それに、余り色々作りすぎると他の彫金師や付与師から妬まれる。もう遅いかもしれんが、これ以上同業者に目をつけられない為にも、半年後を目安としよう」
「「「はい」」」
こうして、これらのアイテムは半年後を目安に動き出すことになった。
確かにアレコレ動くと目障りだと消されかねないしね。
こうしてアイテムは一旦箱に入れてアイテムボックスに仕舞いこみ、私もこれからは久しぶりに宝石細工レベルでも上げようかな……と思っていると、事務所のドアが開きロザリオスさんが「ねぇいいかしら~?」とこちらにやって来た。
「今付与師ギルドマスターから連絡があって、ガーネットに個人的依頼なんだけど」
「どうかしたか?」
「ええ、何でも最近ギルドマスターの奥さんの目が悪くなって包丁を握るのも危ないんですって。それに耳も片方遠くなったみたいで。さっきセンジュ君が特許を取った付与で、何かいい物は作れないかって言う依頼なんだけど」
「ああ、それなら兄上と姉上とで一緒に作ってきます。それと、もう一つ特許取りたいので、そちらも後で申請すると伝えて下さい」
「分かったわ」
そう言うとロザリオスさんは事務室へと消えて行き、お父様は「人助けなら仕方ないな」と苦笑した。「そうですね」とエンジュさんも頷き「では作りましょうか」と私が言うと「人助けですからね」とセンジュくん。
各々立ち上がり、上の階にもあるアイテム置き場から幾つかの素材を取り出しまずは眼鏡を彫金していくエンジュさん。
元々見本があるのでそれを忠実に……と言うのは流石だ。
メガネ一つで顔の印象が変わるので、眼鏡雑誌を買い、幾つか種類を作って貰っておく。
五種類くらいのフレームを作って貰い、その一つ一つに眼鏡のレンズを更に彫金で入れ込んで固定。鼻かけ部分もレンズで作った。
意外と細かい作業だけれど、「時計よりは簡単だな」と笑い、レンズにはセンジュ君が【視力安定付与】を施した。
ついでだからとサングラスも作って貰い、そこにカラーレンズのグレーを入れて貰って一種類作る。
サングラスは出来るだけ目に光を入れたくないので一種類なのだ。
そこに同じようにカラーレンズを入れ込み【視力安定付与】【強化付与】を入れれば完成だ。
後は補聴器だが、ゴム部分は魔物素材があるらしく、スライムで作ったとても薄い膜のような、イヤーピースになりそうなものを持って来てくれたので、見本を見せながら作って貰う。
イヤーピースと私が呼んでいると、柔らかい部分を二人もイヤーピースと呼び出した。
「これには汚れ付着が起きないのがいいですね。耳垢とかつきやすいですし」
「ああ、確かにそうですね。汚れ付着のない付与でしたら皆さん使ってますから付与しましょう。『清潔付与』っと、これで大丈夫です」
「後は三つ入れないといけないけど、宝石三つ使って置く?」
「そうだな、本体に宝石に三つずつだな」
そう言うとエンジュさんは小さい宝石を宝石箱から取り出して彫金で付けると、後はセンジュさんの仕事だ。
「『聴力補助付与』『聴力安定付与』『適温付与』『強化付与』っと……これで大丈夫だと思います」
「うん、私の鑑定でもちゃんと出来てるよ」
「後はついでに【適温付与】の特許もとってくるので、今から行ってきますよ」
「俺達も行こうか。一応そのまま渡すというのもな」
「そうね」
こうして二つのメガネを布ケースに入れ、補聴器も小さな箱に入れて持って行くことにした。
本当ならちゃんとしたケースが欲しいけど仕方ない。
三人で馬車に乗り、付与師ギルドへと向かうと早めにやって来たセンジュさんにギルドマスターが驚きながら駆け寄ってきた。
「もう出来たのかセンジュ!」
「はい、兄上と姉上が居たので恙なく。それと新しい付与の特許もお願いします」
「おお、そっちを先にするか」
「お願いします」
そう言うと【適温付与】の特許を取り、書類を貰うとセンジュさんは笑顔で「ありがとうございます。品を見せたいのですが応接室をお借りしても?」と口にした為、ギルマスに案内されながら応接室へと入った。
そこで、眼鏡五本、サングラス一本、補聴器を一つ取り出しギルドマスターに語り掛けるセンジュ君。
「奥様の顔で眼鏡とサングラスのどれが似合うか分からなかったので、旦那様であるギルマスが選んでください。後此方が、耳が悪くなり始めた時に使う補聴器です」
「ほう……こっちが眼鏡、こっちの色入りがサングラス、で、こっちが補聴器か」
「そう名付けています。サングラスは外に出かける時に着けると、日差しを遮ってくれるので目が痛くなりません」
「すげーな!!」
「考え付いたのは姉上です」
「お前の姉貴スゲーな!!」
「「ありがとう御座います!!」」
五十代近いギルマスの奥様は、ギルマスよりも十歳年上らしく、ギルマスが口説きに口説いて結婚した相手らしい。
今もラブラブだそうで、何とかしてやりたかったのだそうだ。
「俺の妻は可愛らしい人でな……この形のメガネだろう」
「ではそちらとサングラス、後は補聴器をお納めください」
「金は幾ら必要だ?」
「使い心地を試して貰いたいので、今回に限り無料とさせて頂きます。その代わり使い勝手が悪かったり、改良して欲しい所があれば【ガーネット二号店】にご連絡下さい。商品開発に活かしますので」
「おう、分かったぜ。本当にすまねぇなぁ。センジュの兄貴まで来て貰って」
「いえいえ。俺も婚約者がそうなったら慌てますし藁にもすがりたくなります」
「分かるか? 分かるだろう!? 俺も妻が辛そうなのを見るのは苦しくてな……。よし、今から帰ろう! 俺は帰る!!」
そう言うと私達に礼を言ってアイテムを手に妻の名を叫びながら去って行ったギルマス。
付与師ギルドってもっとこう……冷静な人が多いのかなと思ったけど、熱いのね。
「さて帰りますか」
「ここのギルマスは熱いんだな」
「彫金は冷静ですもんね」
「違うんだねやっぱり」
そう会話しつつ私達も馬車に乗って帰った翌日――。
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