表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリノ巣病院  作者: 花道
PR
22/66

第六章 キセキ視点 戻り始めた日常

私がのんびりとテレビを見ている間に、看護師さんが朝ごはんを持って来てくれた。病室にも小さなテレビはあるけど、やっぱり大画面で見ればニュースやバラエティでも臨場感が増す。

しかも字幕も大きくて簡単に読み取れる。私は視力が悪いわけではないけど、それでもやっぱり字が小さかったり字が潰れていれば読めない。それは本でも同じ事が言える。

特に画面が小さいテレビだと、小さい文字は殆ど潰れて表示されてしまうから、一体何をトーク番組の話題にしているのか、さっぱり分からなかった時もある。

そんな時、大概の人は画面に顔を近づけてしまう、私もそうだ。でもそれはさすがに目に悪い。だから入院中は、殆どテレビが見れない状態だった。もっとも、私は体が動かせ無かったから、近づきたくても近づけなかったし、音量も最大限の配慮を心掛けないといけない環境だったから、テレビは完全にインテリア状態。

でもまず、今私が一番心掛けなければいけないのは、ご飯を残さず食べて、いつでも談話室の大画面テレビを見られるようになる事。私はお茶を一口飲んだ後、テレビからは一旦視線を外して食事に専念する。

痛みが無くなったとはいえ、片手しか使えないのは変わらない。だから私は入院した当初から、スプーンでご飯をすくって食べ、あらかじめ一口サイズに切られたおかずを食べている。片手だと大きなおかずは上手く割けないからだ。

でも、さすがにずっと猫背状態で食事すれば体が痛くなる。これは私にとってはいつもの事だけど、周りで一緒に朝ごはんを食べている患者さんは、心配そうな目で私を見ていた。


これを機に、改めて自分の体の治療に専念しなければいけない。そう思っていると、ソウボが早足で食堂へ駆け込んで来た。寝坊したのか、髪が少しはねている。私を見つけたソウボはすぐに駆け寄って来る、そして私の食堂デビューを祝ってくれた。

ソウボの朝ごはんを持って来た看護士さんは、「何度も言うけど・・・」と言いかけたけど、それよりも先にソウボが謝った。多分、病院内ではゆっくり歩く様に、彼は何度も注意されてるんだと思う。慌てて歩いたり走ったりすれば、最悪点滴持ちの患者さんと正面衝突してしまい、取り返しのつかない事態にもなりかねない。

ソウボの事だたら、そこまではちゃんと配慮してるんじゃないかと私は思うけど、一応私もソウボに一言注意してあげた。ソウボ曰く、モーニングコールで看護士さんが起こしてくれたにも関わらず、看護士さんが病室から出てすぐ、二度寝してしまったらしい。

私も今日二度寝してしまった身ではあるけど、ソウボとはタイミングなどが全く違う。私の場合、二度寝しないと怒られそうな状況だったけど、ソウボの場合は不要な二度寝だった。

この時から既に

「非日常」が忍び寄って来ている。

それに気づく人は、誰一人いなかった。気づく筈がなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ