7.道のりははやき
ミスがあったら遠慮なく言ってね
約2時間後、俺たちはやっと西側の入口に着いた。
「リーハ、本当は知らなかったんなら俺に言っても良かったんだぞ。」
「うるさいわね、本当に知ってたのよ。ただ500年も間隔が空いたから忘れちゃってただけなの!」
「そ、そうだな。そういうことにしておこう。」
そんな他愛のない会話をしながら西側の入口を出た。
しまった、忘れていた。ここ旧レグ王国は人族領の中心に位置している魔の森の中心にあるところだ。
レグ王国であった出来後が濃すぎたすっかり頭から抜けていた。さて、どうしたものか。
「なあリーハ、その、俺が寄りたかったシンク国ってのはこの魔の森を抜けた先にあるんだが、お前の飛行魔法でなんとか出来ないか?」
本来ならとても扱いが難しい飛行魔法をいとも容易く扱っていたのだ、それならばこんな森をすぐに抜けれるのではないかと思いそうリーハに聞いてみた。
「は?無理よ。」
思いがけない返事が返っていた。
「なぜだ?お前のあの腕前なら簡単にこの森を突破できるというのに。」
「それはね、私のマナが少ないからよ。だから私は剣をベースにしてやってるの。本来吸血鬼はマナが多いはずなんだけど、まあそのせいで私は奴隷落ちしたんだけどね。」
「・・・すまない、悪いことをきいた。」
「別に気にしないわ、そんな反応をされるのはあなたが初めてじゃないし。」
「だが、」
「だがじゃない!そういうのは気にしないの。いい?」
「・・・分かった。」
「じゃあ行きましょ。」
それからは順調だった。ちょくちょく数匹の魔狼が現れるだけでとくに危険はなく、14日程で魔の森を抜けられた。
「や、やっと抜けられた。」
「抜けられたのはいいけどレグルス、どうしてわざわざ木がすごく生い茂っているところを通ったわけ?」
「そんなの決まっているだろう、俺が追放の身だからだ。」
「それと何が関係あるの?」
「腐っても俺は王族だ、身代金目当てで俺をさらうやつがいるかもしれないしな。」
「はあ、なるほど。」
「だがまさか西側の魔の森は魔物が出るとはな、おれがレグ王国に行くために通った東側の魔の森は全く魔物がいなかったのだが。」
「そりゃそうでしょ、腐ってもあのクソ国はこの大陸最大の大国よ。騎士団もちゃんとあるんだし、よく魔の森で演習でも行っているのでしょう。それに比べて西側は魔の森のせいで土地が狭くて大国がないからね、あるとしても港町と2~3個の小国だけだし。」
「なるほど、そういうことだったのか。」
「・・・あんた本当に王族だったの?王子ならそれぐらい知ってると思うけど。」
「失礼な、俺はちゃんと王族だぞ。ただ王族の力が継承出来ないと知られてからは隔離されていたのだ。」
「ふーん、まあいいわ。それでレグルス、あんたが寄りたいって言った国まであとどれ位?いい加減あんたの上着だけじゃ辛いってのが分かってきたんだけど。」
「ああ、おそらく少し歩けば着くと思うぞ。」
「なら早く行きましょう!早く!」
「お、おう。分かった。」
リーハは少し早歩きになりながらシンク国の方面へ歩いた。
30分後
「あ、レグルス見て!街道よ。」
「おー本当だな、ということは町ももうすぐだな。」
「早く!早く!」
「おいちょっと待てって、お前が走ると俺が追いつけなくなるんだよ。」
リーハが足を止めた。
「そうだったわね。」
かなり沈んでいた。
「はあ、仕方ないな。リーハ、先に行ってていいぞ。あとで俺も追いつくから。」
リーハが目を輝かせた。
「本当!じゃあ先に行ってるからね!」
リーハがそう言い、走って行った。
本当に早いな、もしかしたらティガールの騎士団長でも追いつけないかもな。
そんなことを思いながら俺もリーハのあとを追った。
次回は明日の18:00予定です