表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/29

28.今度こそちゃんとした上陸

露独を離れてかなり時間が経ったあと、また島が見えた。

「リーハ。」

また訓練中のリーハを呼ぶ。

「なに。」

「島が見えた、多分だが亜人の大陸だ。」

バタバタ

それを聞いた途端、クルセリアが船の一番前に行き、水平線を見る。

「クルセリア、上からの方が見えると思うぞ。」

「あ、はい。」

クルセリアの耳が少し紅くなっていた、恥ずかしくなってしまったようだ。

クルセリアが操縦席まで来て、水平線を見る。

「あ、あった!」

珍しくクルセリアが大きな声でそう言った。

「よほど嬉しいんだな。」

「当然だよ、だって久しぶりの故郷だもん。」

「そ、そうなのか。」

「あー、やっとアステルに帰れる。」

聞きなれない言葉が聞こえる。

「なんだ、そのアステルっやつ。」

「そういえば話してなかったね、大陸の名前だよ。」

「へー。」

「そういえば人族の大陸に名前ってないの?1年過ごしてたけど聞いた事なくて。」

「ああそれはな、ラクスだ。」

「ラクス?」

「そうだ。」

「ふーん。」

クルセリアが正面に向き直った。

耳をぴょこぴょこさせている、やはりよほど嬉しいんだな、自分の故郷に帰れるのは。

・・・それにしても、可愛いな。

そう思ってしまい、ついクルセリアの耳を触ろうとした。

だが、クルセリアがそれに気づいたのか耳を手で隠す。

「・・・ダメです。」

拒否られた。

・・・いや、俺が悪いか。

「すまない。」

結局それ以上の会話はなく、クルセリアが下に戻って行った。

さて、これからどうするか。おそらくこのままアステルに行けば見つかって露独の二の舞になってしまうだろう。

船を隠蔽魔法で船を隠すことも出来るがそれでもいつかは見つかってしまう。

・・・あれをやるしかないか。


それから数時間経ち、アステルにかなり近いところまで来た。

「リーハ、全員を上に呼んできてくれないか。やりたいことがあるんだ。」

未だに訓練中のリーハに声をかける。

「・・・ちょっと待って、あと少しで日課が終わるから。」

リーハはそう言いレイピアを振る。

・・・そういえばリーハは海龍を斬った時どうやって倒したんだ?レイピアは刺突用の剣だし。

「リーハ、今更なんだがどうしてあの時海龍を斬れたんだ?レイピアは刺突用の武器のはずなんだが。」

「ん?私って色んな種類の剣扱えるの。だから場合に合わせて剣のまわりに自分のマナを纏わせて変えてるのよ。」

「剣を?」

「そうよ、あの時はマナを纏わせてレイピアを刀の形にしたの。」

「だから斬れたのか。」

納得した。

「ん?ちょっと待て、それなら剣は刀身が短い方がいい気がするが・・・何故レイピアにしたんだ?」

「・・・なんとなく。」

「そうか。」

リーハのなんとなくに言及しても意味がないと思い、短い言葉で返す。

「フッ、フッ、よし、終わり。」

リーハと話していると途中でそんな声が聞こえた。

「全員を上に呼んで来ればいいのよね?」

「ああ、頼む。」

「ええ。」

リーハはタオルで顔の汗を拭きながらそう言い、下に降りていった。


というわけで3人が上に来た。

「さて、では始めるか。」

操縦席から立つ。

「・・・あの。」

「どうしたリーハ。」

「何をするか聞いてないんですけど。」

「おっと、そうだった。今からするのはある種の実験だと思ってくれ。」

「安全なの?」

「ああ、決して危険では無い。」

「・・・ならいいわ。」

リーハの疑問も解けたようだし、今度こそ始めるか。

「クルセリア、エルフと亜人達の仲はどんな感じだ?」

「何をいきなり・・・」

「いいから。」

「・・・基本は大丈夫なはず、けど人狼族だけ土地関係でずっと揉めてて仲悪い。」

「その人狼族は港によくいるか?」

「いない。」

「そうか、ならエルフでいいか。」

術式が書かれている紙を3枚取り出す。

「クルセリア、ここに一滴血を垂らしてほしい。」

「・・・どうして。」

「変身魔法を使うのに必要だからだ。」

変身魔法、その名の通り変身ができる魔法だが、人間たちが他種族と仲が悪いため、ずっと奥底に眠っていた魔法。

まさか偶然王城で見つけた古い魔法書でこれが役立つとは思ってもみなかった。

「頼む。」

「・・・はあ、短剣貸して。」

諦めたかのようなため息をし、そう言ってくる。

短剣をクルセリアに渡すと右腕の親指を少し斬り、血を術式に垂らす。

「これでいいの?」

「ああ、これで大丈夫だ。」

クルセリアの血がついた術式にマナを込める。

すると俺の周りに薄いマナの膜ができていき、見た目が変わっていった。

「どうだ?」

「・・・」

クルセリアが口をぱくぱくさせている。

「どんな感じなんだ?」

「髪の色と服さえ除けばほぼエルフよ。」

「そうか、ということは成功か。よし、リーハとイロナも使ってみてくれ。」

「はい!」

「えー、」

こうして俺の作戦は成功を迎えることとなる。


「おい、そこの。どこのもんだ。」

港に着くと開口一番にそう言われた。

フードを外す。

「チッ、何だエルフかよ。早くどっか行っちまえ。」

そんな言葉を無視して港に船を停める。もちろん安全のために魔法をかけて。

ごめんね



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ