「命を燃やして」 その1
「ユカリちゃん・・・行くの?」
武器を託されたもう一度再戦しようとモンスターがいた場所に行こうとしたがユイさんに声を掛けられた。
「待っててね、私頑張って戦うから」
この武器なら付け焼き刃程度の私の剣より幾許かマシかな。
私は戦場に赴こうとするがユイさんは何故かついて行こうとする。
「だ、駄目だよ!?ユイさんはここで寝てないと!」
「私の施設に治療部屋があるから行こうと言ってるのに言う事聞かなくて・・・」
ハルカさんはユイさんを説き、少しの間寝かせようとしたがユイさんは首を振る。
「私は大丈夫・・・」
ユイさんは口ではああ言ってるが視線がおぼつかないふらふらした傷だらけの身体、今にも意識を失いそうな弱々しい動き、もう限界な筈なのにこれ以上戦ったら本当に命を落としかねない危険な状態だ。
ユイさんには申し訳ない、後でちゃんと謝って甘やかして沢山遊んであげるから今から言う事を許して欲しい。
「ユイさん、その身体だと・・・・私の邪魔にしかならないから・・・戦えないのに無理しても私は守ってあげられない、だから来ないで」
私は初めてユイさんを突き放してしまった。
ユイさんならきっと分かってくれる、ユイさんは強いから理解してくれると思っていた。
ユイさんから発せられたのは・・・ユイさんが出たモノは私の心臓を捻り潰そうとした。
「―――― ごめん…………私・・・・・・・・足手まといって言われても貴女の傍に居たい、居させて!」
私は軽い気持ちで言ってしまった・・・ユイさんの不撓不屈の死んだ目は涙で覆われてポロポロと零れた。
「あっ・・・・ちが・・・・・・・・・・・・・私・・・・そういうつもりでは!」
私は失言したと謝ろうとした・・・だがハルカさんは私の前に立った。
「行きなさい、私が宥めるから」
「で、でも!!」
「大丈夫、この娘の気持ちはお姉さんが一番分かるから♪貴女は化物退治に行きなさい」
ハルカさんは私の心を汲み取って優しく接してくれた。包み込んでくれるような柔らかさに私は頷き、ユイさんには変わりに私の大切にしてる手の平より小さい可愛い鳥の縫いぐるみを渡した。
渡した後に私は直ぐに戦場に戻り振り返ることはしなかった。
☆★☆★ 結晶の洞窟 奥地
「・・・進まなきゃ」
いつもより重い足取りとあの光景が脳裏に焼き付いてしまった。
「これが終わったら許してくれるかな」
初めて出来た冒険者仲間を泣かせてしまった、私が思ってるよりユイさんは無敵では無いのかもしれない。
「また・・・逃げちゃった」
大切な人に同じ事を繰り返して・・・ちっとも変わってない。
私は誰も守れない、私は誰も大切にしてあげられない。
「・・・違う、あの時の私は会うことすら逃げたんだ、そのせいで取り返しが付かない事まで引き起こしてしまった」
そうなればやるべきことは自ずと決まってくる。
「絶対に勝ってユイさんを沢山甘やかして関係を戻させる!」
傷心のユイさんはきっといつか心を開いて本当の彼女を引き出してくれるに違いない。
私は勇気と希望を心に秘め、生存と勝利を勝ち取る貪欲さを胸に秘めながら大好きな人の為に化け物と対峙する。




