「夢幻の可能性」 その4
ハルカさんはこっちだよと勝手に歩くから私は気持ちの整理が追いつかないまま早足で歩く、道中背筋が凍るほどの視線を感じたが私は心の中で気の所為だと無理矢理脳に電波を送るがそれ以上に怖くてたまらない。
同じ人間が永久的に作られる世界なんて錬金術士か何かの未知の技術だろうか、キリちゃんには絶対そんなヤバイ話をしないことを願いたい。
「ほら、研究員達が作ったユイちゃんだよ」
靴音が響く程静かな雰囲気でいきなり声を掛けられて情けない声を上げ、私はビビリながらハルカさんが差す指を見るとそこには・・・
「なに・・・・これ・・・・ユイさん?」
身体や見た目は全然違うが何故かユイさんだと言われると全てがユイさんに見えてしまう。
「私の次の身体は・・・もっと可愛いのがいいね」
えっ????は、ハルカさん??
「えっと・・・えぇ?貴女はハルカさんですよね?」
ハルカさんの発言に私は耳を疑った。もしかしてこの人は・・・ユイの身体を貰った別の人??
「ううん、私はユイよ、別の世界だけどね♪」
????????
「ユカリちゃん、君は私を覚えてないの?」
ハルカさんはおかしくなってしまったのだろうか、ユイさんは一人しか存在しない、なのにハルカさんはどうしてユイさんを語るのか・・・もう訳が分からないよ。
「し、知らないです」
頑張って出した一声がそれだった、ハルカさんは残念そうに肩を落とすといくつか思い出話を聞かされた。
喫茶店で働いていたこと、姉妹のこと、親のこと、死んだこと、どれも記憶に存在せずまるでその場所にいたかのようなリアリティさと私の事を妹のような発言をしながらグイグイ寄って来ることに拒絶反応が出てしまう。
「こ、これ以上馬鹿な発言はお、怒りますよ!?」
それでも擦り寄ってくるハルカさんに私は怖くてついユイさんから借りっぱにした銃を突き付ける。
「うぐ・・・トラウマが蘇るね・・・・ごめんね、気持ち悪いよね」
ハルカさんは拒絶反応に気付いてくれたお陰で怖い話はもう言わないと約束してくれた。
「・・・ユイちゃんはこの奥だよ、行こうか」
ハルカさんは申し訳無さそうに自ら前方に歩き出すその背中はとても辛そうで悲哀に満ちた背中だった。




