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幻影道R 第九巻   作者: SAKI
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「夢幻の可能性」 その2

「ちょっと散らかってるけど許してね」


 サナエちゃんのお部屋に着くと中は珍しく散らかっていた。こういう時のサナエちゃんは決まってある行動をしている。


「相変わらずツンデレなんだね」


 恐らく紙に色んな文字が書いてあるのは“仲良くなる方法”の模索段階だ。あんなに嫌悪してたのに仲間になった途端に意識し始めるなんて相変わらずツンデレを極まっている。


「は、はぁ!?ツンデレじゃないわよ!?」


 当の本人は顔を真っ赤にしながら否定している。


「あんなに嫌ってたのに仲良くしようなんて普通は考えないよ?」


 一時は喧嘩してたのに今は喧嘩して凹んでるなんて可愛いお姉さんだ。


「・・・・るっさい・・・私だって大人よ、社交的になって率先して絆を深めるのは当然の行いよ」


「ユイさんに下品な発言してたのに〜?」


「あれが素なんだから仕方ないでしょ!?わ、私は感情的になりやすいのよ!」


 サナエちゃんの悪い所であり良い所でもある性格はカイト君からは検問所の所長は向いてないなんてよく言われてたな。


「あっ、そうだ…あれから検問所ってどうなったの?サナエちゃん辞めたしめちゃくちゃ非難されたんじゃない?」


 私の話にサナエちゃんは少しだけ元気になった。カイト君からは特に怒ることも蔑む事もなく穏やかな笑顔で【お疲れ様】と頭を撫でられたらしい。


 その時話していたサナエちゃんは顔面真っ赤にして照れ臭そうに嫌味を言っていた。


 サナエちゃんは恥ずかしい時や自分を褒めたりされると嫌味っぽくなってしまう癖がある。


「そんな訳で私は無事何もお咎めなしで辞められたって訳よ、全く清々するんじゃないかしらね?」


「そうかな〜?サナエちゃんの信頼って分厚いイメージあるけど」


「そんなの表面上なだけよ?、皆私を堅物女って思ってるわよ」


 確かに堅物だけど柔軟な考えが出来ない訳じゃないと思うけど・・・サナエちゃんはそれ以前に口が悪いからな・・・・


「な、なによ!?私の内面に問題ありみたいな顔は!?」


 だって実際そうだもん、仕事は完璧だし家事も出来るし体型だって充分なのに上下関係無く突っ込んでくるし真面目だから同僚や仲間でさえ全部断って仕事してるから馬鹿真面目の堅物だけどなんて異名が付いちゃってるぐらいだからな。


「ふ、ふん!どうせ私は嫌われ者ですよーだ!ゆ、ユイもきっとそう思ってるに違いないわ!」


 励まそうとしたのに自分から嫌悪するから普通に面倒臭い、結局話題戻っちゃったしこの人は首尾一貫して堅物だから一度凹むと中々立ち直れない。


「はぁ〜相変わらず面倒臭い性格だよね」 


「う、うるさいわよ!私は一度変えたことが無いんだからしょうがないでしょ!?」


「分かってはいるんだね!?」


 大きな溜め息をしながらサナエちゃんは縮こまってしまった。ユイさんとの喧嘩でそんなに凹むならもう少し優しく接してあげれば同僚からとかカイト君が~って引きずることだって減るのに。


「私が探してあげるから仲直りの口上はかんがえてね?」


 私は仕方なくユイさんを探そうとしたがサナエちゃんに呼び止められた。


「ユカリちゃんが代わりは・・・」


「駄目だよ、喧嘩したなら向き合わないと、私も・・・逃げたからさ・・・ここで逃げたらこの先ずっと後悔する前に勇気を出して謝らないと」


 アスカちゃん・・・もし記憶が戻ったら今度は私からアスカちゃんを呼び止めるから、ごめんねっていつの日が言える日が早く来て欲しいな。


 私は凹むサナエちゃんを放っておきながらユイさんの捜索を開始した。

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