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幻影道R 第九巻   作者: SAKI
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老馬の智の章 「初心に戻るべからず」その2

☆★☆★ ゼーナ


 主様の為に色んな仕事をこなして私の存在価値を示す為に依頼をなりふり構わず受けてしまい先の戦闘で血塗れになって服を乾かしてる間別の服に着替えて依頼主に報告し終える。


 外装が少し艶かしい色だったので不安だったけど内装はとても落ち着きがあり依頼主も大変満足していました。


 本来の冒険者らしくて前に所属してた奴隷冒険者なんか何も知らせず一方通行の会話なので私ですら内容を聞かされません。


 あの時主様を襲った理由だって真実を知らずユイさんに負けていなければ今頃殺していました。


 いつか、主様に話せる機会があれば一緒に真実を探したい。


 そんは過去の出来事があり奴隷のように扱われた男性に触れるのが苦手で早めに出たところで主様に問い詰められました。


 お話をしてそれが誤解だと気付いた主様のあのお顔、至極恐悦です。


 身体からゾワゾワするのを抑えて依頼ついでに主様との親睦を深めたいと誘い今日は私が独り占めします。


「えっと、これは??」


 商業区から少し外れた所に育ちの早い大木があり早い時だと一ヶ月で大木になるらしいので住民達から薪が欲しい依頼を兼ねてやってきました。


「ぬ、主様!今から私の能力を見せます・・・せい!!!」


 主様に存在意義を見せる為に巨大な大木を前に私の自慢の秘刀で抜刀する。


 目にも止まらぬ速さでたった一瞬で大木半分を真っ二つ、持ち運びやすく切断しました。


「何度見ても見えない!これってゼーナちゃん自身の能力?」


「半分はこの刀で半分は私の風魔法を高速させる魔法を使っているので誰にも見切られたことありません!」


 並大抵の者なら一瞬でバラバラ、“人殺し”にもってこいの戦闘魔法ですよね。


「凄いじゃん!!その力があれば私達の冒険者より騎士団に向いてそうじゃない?」


「いえ、私は騎士団のような高貴な身分でも価値のある人間とは程遠いのです、冒険者だって私には似つかわしくない称号なのかもしれませんが」


「そんなことないよ?たとえゼーナちゃんが悪者でも今は人を助ける為にその力を使ってるんだから少しずつ自分を変えていこうよ♪」


「も、勿体無いお言葉です・・・主様は私のような下劣で卑しく三一侍が一番定位置の私でさえ慈しむのですね」


「ん・・・?む、難しい事言うね・・・そんなに自分を低くしなくてもいいと思うけど」


 主様はとてもお優しい、前のお父様やお母様なんかより今の主様の方が存在意義を唱えてくれます。


 私の存在価値は主様にどのように貢献できるか私の頑張り次第です。


 私の本当のお父様とお母様は病で亡くなり、借金を抱えたまま私は風星から地星に奴隷の身分になり何でもやってきました。


 元々特殊な種族なので当時の風星の民からは異形者、異端者、人喰いなんか言われてました。


 その頃に比べれば人を殺したり解体するのなんて楽で肉を見るとついつい本能が剥き出しになってしまい抑えるのが難しい。


 それに今の主様はその事を知れば私の存在価値が下がるかもしれない、存在意義を示す為にいち早く主様に寵愛して頂きたい。


 前のような地獄の日々にならないように毎月変わるお父様とお母様のように生きたくありません。


 今は取り敢えず、主様に存在意義と存在価値を示す。私には腐肉を食らう人種でいいんです。

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