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グラウンドで膨らむ頬

 太陽が天高く昇り、時間はお昼に差し迫っていた。日光の当たるグラウンドでは小さな砂塵が立ち上り、風に煽られる生徒達の楽しげな悲鳴が空気を震わせている。

 そんなグラウンドには1年A組の生徒達が体育着を纏って立っている。今日からは1年B組、C組、D組との合同授業だ。各クラスの男女の担当の先生が集まり、計8人の体育教員の前に生徒達が落ち着かない様子で触れ合っている。


  「はい、それじゃあまずはリレーの人達ねー。適当に順番決めて走ってみようか」


 体育教師の一声に生徒達はそれとなく馴染みの仲で固まる。

 未来、和樹、美鈴の3人は中学の頃から変わることなく、順番を自然と決めていた。


 「んじゃあ、俺の次に美鈴で、その後に和樹って感じでいくか」

 

 未来の提案に和樹達は問題なさげに頷く。


  「分かった、例年通りって感じだな」

 「うんうん! あ、そういえば朝倉さんは?」


 美鈴の言葉に未来と和樹も顔をキョロキョロと動かす。遠くの方で、朝陽が日々お昼ご飯を共に食べるメンバー達と固まってるのが見える。周りから声をかけられる彼女は普段通りに、人当たりの良い笑顔を浮かべている。


 「あー、あっちにいるっぽいけどな」


 和樹が目を凝らす横で美鈴が少しだけ頬を膨らまめせる。


 「美鈴、どうかしたか?」


 そんな彼に向かって、何か言いたげな視線を送る。


 「どうかしたって、どうかしたからこんな顔してるんですぅ」

 「美鈴? 何だその顔?」


 和樹も様子が気になったようで、声をかける。


 「はぁ……和樹? 和樹だったら未来よりは察しがいいかなって期待してたんですけどぉ」

 「なんかさりげなくディスられたんだけど」


 未来が独り言を漏らすのを横目に、彼氏の和樹は苦笑を浮かべる。


 「うーん、まぁ朝倉さんがあっち行ったことぐらいしか見当つかないけど」

 「そう、それですよー。せっかくさぁ、お見舞い来てくれたのに……」


 むぅと唇を尖らせる美鈴の頭を和樹が優しく撫でる。


 「そんなに気になるなら声掛ければいいのに」


 未来がそう呟くと美鈴は困ったように悩ましい表情を浮かべる。


 「いやまあさ、そうしたいのはやまやまだけど……あっちはあっちで付き合いあるだろうし」

 「今更気にすることじゃないだろ。なんならお見舞い来てもらった時点で接点出来た訳だし」

 「あ、確かに! おーぃ……」


 未来の言葉に納得した美鈴が声を張り上げようとしたところで彼は膝を突く。


 「バカ。声デカい」


 美鈴はその言葉に、ペロッと舌を出して茶目っ気よくウインクする。


 「ごめんごめん。じゃ、声掛けてくるから」


 駆け出す美鈴の背中を、男2人が小突き合いながら見守る。

 

 





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