01 蒼と痛み
imitation flower 第一話です。
登場人物、沙凪と奈緒の幼少期の話です。
沙凪は今年も夜の空に咲く花を見上げる。花火の破裂音と心臓の音が重なる。頭にあの懐かしい夜空と自分を呼ぶ声がよぎる。その声は、花火の音にかき消されながらもはっきりと聞こえて、ふいにあの痛みが沙凪を襲う。けれどもそれは、倒れこむ程の痛みではなくて、ただ少し苦しく、心地よかった。花火で明るく照らされた部屋には、洗濯物が散乱している。その中でひとつたたずむ小さなテーブルにはピアスが片方だけぽつんと置いてある。ピアスには蒼い石がついていて、反射した光が沙凪の目を刺す。
「さなぎーーーっ!」
奈緒が人ごみの中から沙凪を呼ぶ。
「やめてよ~恥ずかしいじゃんっ」
「あはは、ごめんごめんw」
奈緒とは小さいころからの幼なじみで、よく一緒に遊んでいた。ただ、奈緒は生まれたときから心臓が弱く、庭の木で木登りをする沙凪を木の下でいつも心配そうに見ていた。
「なお見てーっ!雲がいっこもないよ!なんでかな!?」
「さなぎはほんとに空がすきだねー」
奈緒の顔は、茶色く日に焼けた沙凪に比べて晴れた空のように透き通っていた。
それから十年以上経って、高校生になった奈緒の顔は、昔から変わらずに白く、沙凪も小さい頃の日焼けが抜けて白くなった。
ある日二人は、地元の花火大会に出かけた。毎年のように花火大会に来ていたものの、二人だけで来るのは初めてで、沙凪は内心どきどきしていた。
学校が終わって、家に帰ってからでは開催時間に間に合わなかったので、二人で制服のまま花火大会の会場に出かけた。
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次回、急展開です。
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