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真っ白だったこの家が、彩りにあふれる頃には  作者: 春野 安芸
第1章

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010.肉じゃがとドリア

 内科で風邪の薬を貰って次に向かった外科病院の待合室。内科では人がいなかったからノータイムだったけどこっちでは少し待ちそうだ。

 適当に時間を潰そうかと思ってつけたスマホにはSNSから通知が。


 優愛 『おはよ~!』

  スタンプ

 優愛 『三度寝しちゃってた!!昨日は本当にありがとうね!!』

  スタンプ

 優愛 『手のケガ大丈夫!?』

  スタンプ

  スタンプ


 まさかの二度寝どころか三度寝。そしてスタンプが大量に送られるところは優衣佳さんと正反対だなと笑みが溢れる。


 慎也 『もう12時過ぎてるけど、おはよう』

 慎也 『今病院の待合室。痛みもだいぶマシになったし大丈夫だよ』

 優愛 『よかったぁ~~!』

 優愛 『日常生活とか大丈夫!?普通に動けてる!?』

 慎也 『平気だよ。ちょっと入浴が手間そうだけどね』

 優愛 『そっかぁ~』

 優愛 『もし大変そうなら生活のお手伝いでもしてあげようかなって思ってたんだけどな~笑』

優衣佳 『もしそうなったら私が優愛をしばり上げておくから安心して。慎也君』

 優愛 『ひどい!!』


 優愛さんの発言に少しフリーズしてたところで優衣佳さんからのフォローが。助かった。


「前坂さんー」


 看護師さんが呼ぶ声が聞こえる。もうそんなに経っていたのか。


 慎也 『もう呼ばれたから行くね。また学校で』

 優愛 『まったね~!明日からもよろしく!』




 外科ではすぐに病院に行かなかったことを大層怒られた。破傷風とかいろいろな問題があったらしい。なんとか薬を処方してもらい、スーパーで食料をいくらか調達してから自宅に帰宅したはいいがすぐ部屋のベッドに倒れ込む。

 やばい。もう動けない・・・・せめて買った物を片付けてから・・・・冷蔵庫に入れるもの買わなくって良かっ・・・・・・・・


 

 目が覚めると日もどっぷり沈んでいて辺りは真っ暗になっていた。


「今・・・・・何時・・・・?」


 スマホを確認する。19時。たしか帰ってきたのが14時過ぎだったから5時間程度寝ていたこととなる。

 あぁ、やってしまった。明日から学校なのに寝られるだろうか。俺も優愛さんのこととやかく言えないな。

 けれど身体が軽い。帰ってから薬も飲み忘れたのだが一眠りしたら治ったのだろうか。

 

 クゥゥゥゥゥ・・・

 そういえば昼前に菓子パン一個しか食べてなかったっけ。あっ、買い物の片付けもしてなかった。


 部屋に置きっぱなしになっていた買い物袋を手に持ちキッチンで片付ける。

 こういう時、一人暮らしは大変だな。全部自分でやらなきゃならなくなる。


 朝のうちは料理する余裕なんて無いだろうとレトルトのお粥を買っていたが一眠りして楽になったので冷蔵庫から取り出した人参やジャガイモ等を切って鍋に入れて煮る。昨日のシチューで煮物を食べたくなった、今日は肉じゃがにする予定だ。

 レシピに従いながら適当に煮詰めていくこと10数分、スマホにメッセージが届く。


 優愛 『今夜は昨日のシチューでドリアでした!』


 メッセージと同時に写真も届く。それが絶妙な焦げ加減で、肉じゃがを作っているのにドリアが食べたくなる。


 慎也 『美味しそうだね。シチューをドリアにする発想なんて無かったよ。優愛さんが作ったの?』

 優愛 『お恥ずかしながら私は料理が苦手で・・・泣』

 優愛 『私は食べるのとお皿洗い専門なのです!』


 泣き笑いするスタンプが的確に今の感情を表しているようだった。


 優愛 『慎也くんの今日の夕飯は?』

 慎也 『俺は肉じゃがだよ。今煮込んでるところ』

 優愛 『肉じゃが!和食もいいね!』

 優愛 『さっきドリア食べたのにお腹空いてきちゃった』

 優愛 『あっ!料理の邪魔しちゃってごめんね!写真見せたかっただけだから!』


 挨拶もそこそこに俺は料理に戻る。昨日のシチュー見たときの様子もだが、おそらく優愛さんは食べるのが大好きなのだろう。

 優衣佳さんの料理はとても美味しかったし、その気持ちもわからないでもない。


 肉じゃがも出来上がり、昨日のシチューとの差に絶望しながら夜は更けていく―――――――

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