秘密基地にて
こんな信用できない奴らとともに戦うことになるとは…
心の中では後悔していた
でも、それと同時に俺には新たな感情が芽生え始めていた。
悪魔の書類にサインをする気分で俺は清水と手を組み、彼らと共闘することになった
「清水、言っとくけど俺はあんたを信用していないからな」
皮肉をこめて言ってやった。
俺は、こいつが実は神の軍隊のスパイじゃないかとにらんでいるからだ
神人戦争が始まってから、人間を裏切るものがいた。
主な奴らは宗教の連中だ。
神は唐突に俺たちを襲った割に生き残る人間がいた、それが以前から神の教えがどうとか言っていた連中だ
自分たちの厚い信仰心から仲間に引き込んだのだろう。
俺は清水たちがその仲間じゃないかと思っている、ということだ
なぜなら、奴は神から逃げ切れた。
それはつまり、神側の人間である可能性が高いからだ。
「君は疑い深い男だな、私が神から逃げられたことがそんなに不思議か?」
「あぁ、不思議だね。はっきり言おう、俺はあんたが神側の人間じゃないかとにらんでいる」
空気が冷えたのを感じた
「てめぇ、泉さんに失礼すぎるだろ!いっぺん死んでくるか!?あぁ!?」
大上が手に持っていたハンドガンの銃口をこちらに向けている
「やめないか!大上君!君も入隊当時は同じことをしていたんだぞ!」
泉の一言に大上はぐぅの音も上げることなく、ただ恨めしそうな目をこちらに向けながら元の場所に戻っていった
「すまんな神道君、話がそれてしまった。私が神から逃れられた理由が知りたいのか?」
「それはあんたが神側の人間だったってことで説明できる。」
「残念だがそれははずれだ」
そういって清水は何かのシールを取り出した
「なんだよ、それは」
子供向けのシールとはちがいタトゥーシールのようなものだ
「これは私たちの仲間の博士と教授が作ったものでな、神の理解を超える品のようだ。私のも詳しくはわからんのでな、詳しい説明は博士か教授に聞いてくれ。名称は特にないが好きなように呼んでくれ」
と清水から数枚渡された
「とは言っても消耗品でな、使用できる時間は限られていて、時間がたつと少しずつ気化して消えてしまう」
納得はしていない、が、今は信じておくしかないと思っている
「効力には期待しないが、一応もらっておく」
「うむ、それでいい。おっと、私はそろそろ博士と打ち合わせがあるので失礼する。あとは自由に回ってくれ」
と、一言残して清水はどこかに行ってしまった
やることがない俺は、とりあえず大上と一緒にいる奴のところへ行ってみた
「やぁ、新人君。入隊早々災難だったね」
と、爽やかな挨拶をしてくれた。
「大上君は喧嘩っ早いんだ、頭に血が上るとすぐ喧嘩を吹っ掛けちゃうからね」
「そっか、頭のすみにでも置いておくとしよう」
自分でもあきれるくらいそっけない返事だと思った
「はは、ありがとう。ところで僕は中川って言うんだ。よろしくね新人君」
何となくだが地味な奴だな、でも悪いやつじゃなさそうだ、人柄はな。
だが、こいつも清水の仲間の一人だ。あまり信用しないようにしよう
「神道だ」
そういうと中川はすっと手を差し伸べてきた
「よろしくね、神道くん」
そういって、握手を交わそうとした、その時
「中川!そんな奴に握手なんてしなくて良い!」
大上だ、どうもあいつとは馬が合わないようだな
「大上君、そう言わずに。これから共闘する仲間じゃないか」
「仲間?俺はこいつを仲間なんて認めねぇよ」
「認めてもらわなくて結構。俺もお前と関わるきなんて毛頭ない」
そういいはなつと大上は
「上等じゃねえか、お前背中には気を付けろよ」
といってまた舌打ちしてどこかに行った。
俺も大上とは真逆の方に行ってみた
そこにはなにかしらでかいコンピューターがあった。あと・・・子供?
寝てるのかキーボードから頭を起こさない
「おい、大丈夫か?」
と声をかけたところビックリしたのか、ガバッと体を起こし
「申し訳ありません!寝ておりました!」
と叫び敬礼をした
正直反応に困った。誰かこの空気を壊してくれないか
と思っていたら
「あぁ、神道くんここにいたのか」
清水だ。
「た、隊長!」
「やぁハカセ頼んでいたものは出来たか?」
「申し訳ありません!隊長!寝ておりました!故にまだ3割も出来ていません!」
なにをいってるのかついていけない。というか、このハカセと呼ばれる子供。よくみると女の子か。白衣に埋もれていて眼鏡も汚れていてよくわからなかった。
「おい清水、この子は一体…」
「あぁ、彼女はハカセ、本名は私も知らない。ただ本人が博士と名乗っているから我々はハカセと呼んでいる」
「はわわ…、た、隊長が二人…。我が輩、クローン培養システムなんて作ってないでありますよ!?」
「ハカセ、メガネを拭いたらどうだ?よく見えていないのではないだろうか?」
ハッとしたようにハカセはメガネをはずし、そしてメガネを拭いたのだが、正直、かわいかった。
「で、清水。お前はこんな幼い子もこき使っているのか?」
「いやいや神道君、外見で決めつけてはいけないぞ」
「あなた、失礼であります。我が輩はこれでも20才でありますよ!?神人戦争以前はNASAで働いていたであります。まぁ、一時期米軍の方にいたせいか口調は軍人まがい物でありますが、何はともあれよろしくであります」
年上?小学校にいてもおかしくない体系なのに…
「は、はぁ、よろしくお願いします」
なんだか年下に敬語を使っている気分で複雑な心境だった。
「ところでハカセ、頼んでいたものはあとどれくらいでできそうなんだ?確か至急にと言っておいたはずだが」
「えと、あと2,3時間あれば…」
「ふむ、分かった。極力急いでくれ」
「何を頼んでたんだ?」
「君の新規装備の支給に必要なものさ。ハカセ、今できているものから何か適当に一つ頼めるか?」
というと、パソコンの奥から出てきた、馬鹿でかい機械がこれまた派手な音を立てて光りだした。
「先ほど、君に数枚渡したシールとは別のアイテムだ。」
と、これはまた紙のように薄っぺらい物を渡してきた。
「君はこの基地があんな音を出しているのになぜ気づかれないかこの基地に来て疑問に思わなかったか?」
そういわれると確かに不思議だと思った。
今まで日本軍の秘密基地で武器の生産を行ったところ1日とたたずつぶされたと聞く
確かあの基地は完全防音で音などみじんもしなかったとも聞いた
それに比べてこの基地は木の板で遮られているだけだ
「まさか、この紙切れも…」
「ご明察、ただこれは多少扱いが難しくてな」
と紙に書かれている文様の上に手をかざすと文様が浮かび上がった。
「なんだよ、これ」
「これは、我が輩が開発した電磁シートと言って、空気中の成分と反応し…」
と説明するハカセだが、俺には一割も理解できなかったから完全に聞き流していた。
「これの扱いだがこの文様を、こう広げるんだ」
と清水が文様の両端に手をかざし広げると広がった
「そして、これを今度は立体的にする」
と今度は浮き上がった文様を挟むように手をかざし、また広げると、文様に空間ができた
「あとはこれを配置するだけだ。」
と手を放すと落ちて音もなくすうっと消えた。
「本当に、これで音が消えるのか?」
というと清水は銃を取出し撃った。しかし、音がしない
「これで信じてもらえたかな?」
「あぁ、信じるよ」
「この文様シートは、指定された範囲の音を範囲外に聞こえなくする優れものであります。ただ、デリケートであります。展開中に何らかの衝撃を加えると壊れてしまうのであります。しかし、展開後は何ら問題ないのであります」
「で、こんなのが他にもたくさんあるのか…」
「まぁ楽しみにしていたまえ」
とまぁ、こんな感じで大体の基地の探索は終えた。ほかにあったのは、医療室、寝室、あと、武器庫だ。
その武器庫で俺は、武器の支給を受けた。
「さて神道君、この中から好きな武器を選びたまえ。」
とショットガン、マシンガン、ライフル、マグナムの4種類から選択を強いられた
俺は個人的に広範囲、および高威力のショットガンが気に入っていた。
だから迷わずショットガンを選んだ。
「神道君、この武器は普通の武器と違ってね弾薬がいらないんだ」
と。いうと清水はマシンガンを手に取り、鉄板に向かって撃った
すると、激しい光とともに鉄板に穴が開いた。
「なんだこれ…小型のレールガンか何かか?」
「うむ、これは、マガジンに蓄えられた電気を圧縮し放つというものだ。扱いにきをつけたまえ」
「あ、あぁ」
「ところで神道君。どうやら君は、すっかりこの基地と我々に溶け込んでいるように見えるのだが」
そう、俺は、なんとなくだが、こいつらんことが気に入り始めていた
数分前までは信頼なんかしないといっていたのに何とも情けない話だ
「いつまでも気を張らせておくのは疲れるからだ」
そう言い放った