*プロローグ*
お久しぶりですの方もはじめましての方も、ありがとうございます!
新しいお話の投稿を始めました。
今回は、天使なちびっこと幸せになる!+恋愛要素小さじ1くらい?なお話です。
お楽しみ頂けたら嬉しいです(^^)
バシッ!
あれ? 私、今、叩かれた……?
「まったくあんたは本当に愚図ね! 水を汲むだけの簡単な仕事すら、満足にできないんだから!」
水……?
叩かれた衝撃でぺたんと座る形になった床を見回すと、すぐ側に桶が転がっていた。
「み、ず……? こぼれてる……」
「そうよ! あんたが零したんでしょう⁉ さっさと綺麗にしておきなさい!」
頭上から落とされた怒号に、思わずびくりと肩が跳ね上がる。そろそろと見上げると、知らない女性がものすごい顔でこちらを睨んでいた。
「なによその顔は! ちっ、こんなかわいげのない無能な娘を産んだなんて、私の人生の汚点だわ。あの男と結婚なんて、するんじゃなかった!」
ふん!と鼻を鳴らして女性は去って行った。その背中を、呆然と見送る。
……あれ、誰? あんな派手なドレスとメイクと髪のおば……いや、女性、知り合いにはいないはずだけど……。
混乱する頭をぶんぶん振る。すると、さらりと揺れる自分の髪が視界に入ってきて、目を見開いた。
「え……? 私の髪、水色……?」
髪を一束握った手を見て、再び瞠目する。
小さい、まるで子どもの手みたいだ。それに、足も小さいし、細い。
ふらつきながら立ち上がると、普段よりも視線が低いことに気づいた。
どういうことかとよろめきながら歩き、近くにあった鏡に近付いた。恐る恐るそれを覗き込むと、そこに映っていたのは。
「こ、ども? 水色の髪に深い蒼の瞳……って、これ、私? ど、どうなってるの……?」
震える声も、自分のものではない。少し高めの、幼い声。
その時、頭の中にある出来事が流れてきた。
「……そっか。私、あの時死んじゃったんだ……」
死ぬ間際のことを思い出し、ぽろりと涙が流れた。前世の記憶というやつなのだろうか。そしてこの子どもの姿は、生まれ変わった自分ということなのかもしれない。
受け入れがたい現実に、感傷的な気持ちになって俯いていると、扉の向こうから乱暴な足音が近付いてきた。
「なんだ、ここにいたのか」
ガチャッと扉が開くと、そこにはひとりの小太りの男性が立っていた。
そして、またちっと舌打ちをされた。こ、これまた、どちらさま……?
「さっさと侍女に言いつけて、茶を持ってこい。その後は応接室の掃除だぞ、わかっているなミレーヌ!」
侍女? 応接室?
いや、それよりもこの人、私のことを〝ミレーヌ〟って呼んだよね? 私の名前だろうか。
っていうか、髪の色といい名前といい、侍女だなんだという現代日本でなかなか使われない単語からも察するに、私ってもしかして――。
「まったく、おまえは愚図なんだからさっさと動け! こんな簡単なこともできないようなら、今すぐにでも出て行ってもらってもかまわないんだからな! ふん、だからあんな下品な女と結婚するのは嫌だったんだ。生まれたのがコレでは、嫁ぎ先もたかが知れている」
情報過多すぎて戸惑う私を、男性は蔑むような目で睨み去って行った。
……まさかとは思うのだけれど。あまり受け入れたくないのだけれど。さっきのふたりって、もしかして……。
『こんなかわいげのない無能な娘を産んだなんて、私の人生の汚点だわ』
『生まれたのがコレでは、嫁ぎ先もたかが知れている』
たらりと汗が流れる。
「あ、あれがいわゆる〝毒親〟ってやつ? まさか、あのふたりが、私の……?」
前世の記憶を取り戻して僅か数分。
〝異世界転生〟という単語が頭をよぎる中、どう考えてもあのふたりと仲良し親子にはなれなさそうだと悟った私は、思わずその場で頭を抱えたのだった
同時にもう1話投稿して、明日からは基本的に朝1話ずつ投稿予定です。




