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番外編*いちゃいちゃクリスマス1

あっさり風味。

12月24日。こちらの1分は60秒だし1時間は60分、1日は24時間で1週間は7日、1ヶ月は30日の1年は336日だ。地球とあまり差が無い。かといって地球と同じイベントがあるかって言ったらないんだけど。

こっちにはクリスマスもツリーもない。だけどお祭り騒ぎしたいのは日本人の性分。私はクラッツ家の桃の間に小さなツリーを飾っている。色んな形の銀製のチャームをオーナメントにしたやつ。てっぺんには金の星。


「ユリア、これなに?」

「ツリーだよ。綺麗でしょ?」

「流行ってるの?」

「?」

「パトリック様が王宮で似たようなの飾ってたから。」


パトリック様ってさあ…お米が大好きでツリーを飾るとか…ものすごい前世的なシンパシーを感じるんだけど。

パトリック様の謎はさておき、チキン。コンソメスープでライスを炊いてみじん切りにした玉ねぎやピーマンなんかと炒めて、チキンに詰めた。日本でよくある照り焼き風の味付けにするには醤油という壁が立ちふさがるので、仕方なく塩コショウや沢山のハーブでの味付けだけど鶏丸々一羽を使った豪華なローストチキンが出来た。ケーキも作った。型から特注してふっくらしたスポンジケーキを焼いて、生クリームと苺をたっぷり挟んだホールのイチゴショートだ。生クリームの絞り袋が無いのでデコレーションケーキではなく、スプーンでぽとっと丸く生クリームを落としてイチゴで押しつぶした飾り付けだ。私は大変楽しかったがクラッツ家の面々は不思議そうな顔だ。


「ユリア、今日はなんかのお祝い?」

「私の夢の中で聖人が生まれた日?の前晩?その宗教の下地では日付の数え方が違うから微妙にわかんないけど。聖人の誕生日。私の夢の中で住んでた地域では多宗教感と無宗教感が凄まじかったから単なるお祭りとして捉えられてた。チキンとケーキを食べるのが一般的かな?家族でワイワイしたり、恋人同士でイチャイチャしたり楽しく過ごす日だよ。」

「ふうん。」


地球にいた頃はリア充どもめ!爆発しろ!という呪文を唱える日だったけど、今は私もリア充だもんね~。爆発しろ?うへへ。羨ましかろ?ドヤァ。あれ?使いどころ違う?すんません。


「だから、その、…」

「ん?」

「いっぱい甘えさせてね?」

「いいけど、僕の理性を焼き切るのは止めてね?」

「うん。あと、これ。」


私はアレクにプレゼントの包みを渡した。中身は手編みの手袋でござる。


「?」

「今日はいい子にしてたらプレゼントを貰える日なんだよ?」

「そうなの?僕なにも用意してないけど…」

「アレクがいてくれるだけで私にとってはプレゼントだから…」


アレクが私の指先を取ってちゅっと口付けた。


「今日は無理だけど、明日一緒に何か買いに行こう?僕もユリアにプレゼントを贈りたいから。」


私は頬を染めた。


「ありがとう…」


私の一人イベントに付き合ってくれるなんてアレクは優しいな…きゅん。

私はおしゃれな黒のドレスを身に纏った。胸元が大胆に開いたデザインだ。丈はミニ丈でちょっと透けるような生地が幾重にも重なってふわっと広がるフレアだ。ミニ丈のドレスはこの世界だとおはしたないって言われる。しかし最近ドレスの大御所マダム・アデレイドがこの手のドレスを作り始めたので若いお嬢様方の間ではトレンド化してきてる。年嵩の女性はやっぱり眉を顰める事が多いしフォーマルでもないけど。それに踵に高さのある黒の編み上げになってる紐のサンダルを合わせている。


「すごく可愛いよ。未だにその丈の短さには慣れないけど。」

「生足嫌?」

「眩しいって言うか…目に毒。僕は嫉妬深いからその丈のドレスはよそでは着ないでくれると嬉しい。」

「了解です。」


アレクに嫉妬されるのはすごくいい気分だ。そのうちマダム・アデレイドにチャイナドレスを提案しよう。アレクはスリットとかのチラリズムは好きだろうか。

コンラッド様とクラリッサ様を交えて夕食。


「美味しいわー。鶏肉も美味しいけど鶏の味がたっぷり染みてるこのお米がまた何とも。」

「そうだな。ただでさえコンソメで炊いてあるのに更にうまみが凝縮されて堪らん味わいだ。」

「ハーブの香りもいい香り。噛んでるとほのかに風味がする。」


大好評!今回は鶏丸1羽分のお肉なのでお代わりもある。コンラッド様は喜んではぐはぐ食べてた。他にもかぼちゃのポタージュや、温野菜サラダや、エビとアボカドのキッシュなんかも食卓に並んでいる。今日は全体的に私が作った料理が多い。

私は赤ワインでいい感じに酔っている。頭ふわふわ~。

アレクのお膝に横座りに座った。


「あれく。けーきたべさせてあげる。あーん。」

「……。」


アレクは黙って口を開けた。


「おいしい?」

「美味しいよ。すごくあまい。」


私はご機嫌でアレクにケーキを食べさせてあげた。アレクがキスしてきた。舌を入れて味わうようなキス。アレクはキスを重ねるごとに技術が上達している。私はとろとろだ。頭ん中はふわふわで身体はとろとろ。アレクに抱きしめられてすごくいい気分だ。


「あー、かわいい。」


耳とかにちゅっちゅっとキスをされる。かわいいって。うれしいなー…むにゅっとアレクに胸を寄せて抱きつく。


「あれく、すき!」

「僕も好きだよ、ユリア。」


髪を撫でて頬を撫でてアレクが胸を掴んだ。


「ひゃん!」


むにむにと揉まれる。


「アレク、それ以上するなら部屋に戻ってやりなさい。」

「妊娠させちゃだめよ?」

「うん。」


アレクは私をお姫様だっこして桃の間に入った。ベッドに乗せるが私の靴は今日は編み上げサンダルだ。アレクが丁寧にサンダルを脱がしていく。私はサンダルを脱がされた足の甲でつうっとアレクの頬を撫でた。


「あれく。」


とろとろに潤んだ瞳でアレクを呼ぶ。ぎゅってしてほしい。アレクがごくっと喉を鳴らした。アレクの瞳の中にはどろりと欲が渦巻いている。欲の灯った瞳で見つめられると身体が熱くなる。アレクは私の足の指先に口づける。それから唇を這わせて足の甲に。ちゅっと吸って痕を残す。


「んっ。」


それから脹脛をかぷっと噛んでぬるりと舌を這わせた。


「やぁ、あれく…たべないで…」

「それはちょっと聞けないお願いかなあ…。」


脹脛の柔らかい部分に吸いついて痕を残す。歯で、舌で、唇で愛撫しつつじわじわと足を攻略していく。するりとひらひらのスカートをまくって内腿の柔らかい部分を噛んで舐めて熱心に愛撫してくれるけど私はもううつらうつらしている。


「え?ちょっと。ユリア寝ないよね?」


アレクの声を聞きつつ意識が落ちていった。



***

翌朝アレクはものすごく拗ねていて、「ユリアの方から100回キスしてくれるまで許さない!」と言われた。素面で自分からキスするのは恥ずかしかったけど、キスする度にアレクが嬉しそうな顔するのはちょっといい気分かも。



メリークリスマス。


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