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「猫? どんな子?」
「いや、あいつは俺が探さないといけないんだ。だから手伝いはいらない。気持ちだけ受け取っておくよ」
「そう、アタシじゃ力になれないのね」
「そういうことだな」
やっと諦めをつけてくれたか、とノゾミは胸をなで下ろした。だが、彼女はそれが不満だったようだ。
「ちょっと、そこは『そんなことないよ』って言って、一緒に探すパターンになるところでしょ!」
「パターン……?」
どうやら、彼女はどうしてもノゾミの力になりたいらしい。そんなに人助けが好きなのだろうか。
「お前は、何で――」
「ショウでいいわ」
「その……ショウは、何で、初対面の奴にそこまでしたいって思えるんだ?」
「言ったでしょ、アタシは世界中の皆を幸せにするの。目の前の少年ひとり助けられないで、世界の幸せとか言ってられないわ」
困ったことになってしまった。ここで適当に猫を探してくれなんて言ったら、本当に見つかるまで探し続けてしまうだろう。ショウはかなりしぶとそうに見えたから。
だが、ショウがミコトを探すのもどだい無理な話だ。
「ほんとに、大丈夫だから。これはどうしても俺一人でやりたいんだ」
「そう、そこまで言うなら、アタシもこれ以上は干渉しないけど……」
ようやくショウを説得できたようだ。これで集中してミコトを探しに行ける。
早く死ぬために。早く、この世界に別れを告げるために。
「それじゃ、アタシはもう行くわね」
ショウはおもむろに立ち上がった。
「どこかに行く予定があったのか?」
「ええ、駅前でごみ拾いのボランティアをしに行くの。それまでちょっと時間が空いてたから」
「ボランティア?」
ボランティアなんて、ノゾミからはかけ離れすぎている存在だ。その言葉を聞くたびに、なぜそんな面倒なことを好んでやる人がいるのか分からなくなる。
「そう、ボランティア。人の役に立てるのって、素敵なことじゃない。アンタも来る?」
やはり、ショウはノゾミとは対極の位置に居るようだ。
「遠慮しておく。久し振りに外に出たから、休みたいんだ」
「分かったわ。それじゃあね」
ショウは下駄をカラン、コロン、と鳴らしながら去っていく。その音はショウの姿が見えなくなっても尚、ノゾミの耳に響いてきた。




