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2-4-2

「辛気くさい顔で悪かったな。こんに暑くちゃ(かな)わない」

「そうね、いきなり悪かったわね」

「え、いや、別に……」

 まさか謝られるとは思っていなかったため、逆に面食らってしまった。

「ねぇ、アタシちょっと暇なの。隣座ってもいい?」

 少女はノゾミが腰掛けているベンチを指して言った。


「まあ、良いけど……」

 特に断る理由が無かったので承諾した。

(何だ、暇つぶしの相手にされただけか……って、それはそれで失礼だな)

 一体彼女は何者なのか。普通は見ず知らずの相手に声をかけて、暇だから話し相手になって、などと言わないだろう。話し相手になれ、とまでは言われてないが、彼女の口ぶりだと明らかにその意味を含んでいる。


「アタシはショウっていうの。アンタは?」

 浴衣を着ているからか、それとも彼女の性格なのか、少女は意外としとやかにベンチに座った。

「男みたいな名前だな」

「そうね。でも、アタシはこの名前気に入ってるわ」

 そう言われては、女っぽい名前が好きではないノゾミも、素直に名を名乗るしかなかった。


「俺は……ノゾミ」

「可愛らしい名前じゃない」

「う、うるさい。俺はお前と違って、女みたいな名前は嫌いなんだ」

 どうして、よりにもよってミコトと同じことを言うのだ、と少し動揺してしまった。その言葉には深い意味など無いはずなのに。


「それより、なんで浴衣なんか着てるんだ。祭りでもあるのか?」

「そうじゃないけど、アタシはいつもこの格好なの」

「ふーん……」

 今時浴衣が普段着だなんて、ますます変わった子だ。いや、ここは風情がある、とでも言った方が良いのだろう。


「で、何だってこの暑い中俺なんかで暇を潰そうと思ったんだ? どっかのカフェで休んでれば良かったじゃないか」

「嫌味な言い方ねー。アンタが悩んでそうだったから、相談にでものってあげようかな、って思ってたのに」

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