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外伝・2 ~罪作りな佐夜とベリアル~

以下文に書いてあると思いますが、この話は本来第2章部分の外伝で、あえて言うなら第3章前に当たるものだと思ってもらえばいいかと。

 後、この小説はBL要素は無いです。念の為。

 ※:この外伝は本来第2章~3章の間に乗せるはずだった内容です。


 時間的に言えば、佐夜達が物質界『ミシバ・イクロ』に次元転移した直後、リオ達も幻想界【アルフィーニ】から出た後の艦内での話です。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あー………暇だー」

「うむ……」

 旧艦『ベルガイア』の医務室のベットで瀕死の重傷を負った2人の男がミイラ状態で(かされ)ていた。いや動けないのだから仕方ないんだけども。


 入り口から見て左側に義信、中央のベット(空席)を挟み、右側にベリアルが横になりながら暇を持て余す。

 義信は世界破壊者の剛&リアに不審者扱いでやられ、ベリアルは真桜の魔力暴走の大爆発の際、世界から飛び出した。で、その2人は【アルフィーニ】で四肢がもげたり(・・・・)、臓器を損傷するといった重傷を負い、マジで死にかけた所を助けられてギリギリ生き残ったのだ。


 暇なので出来るなら何かやりたい所なのだが、下手に動くと傷口が開いたり、最悪、せっかく(魔法や化学の力で)再生した四肢臓器がもげる可能性がある為、艦長ヴァンの命令で軟禁という名の絶対安静を強いられていた。


 まぁ義信は協会での部下なので分かるのだが、ベリアルの場合、

「さややと再会した時、そんな大怪我じゃ逆に心配されるよ? 元気な姿で再会した方がさややも喜ぶと思うなぁ~(意味深)」

 と、リオの提言通り、佐夜(・・)が絡んでいる為、当のベリアルも佐夜(・・)の為、大人しく安静にしているのだ。


「ほとんどろくに動けないとはいえ、四六時中野郎と一緒にいるとか……拷問すぐる……」

「それはこちらセリフだ。どうせ同じ部屋で過ごすなら貴様の様な下賎げせんな輩ではなく、佐夜の方がいいわっ。いやむしろそのまま看病してもらい、よ、夜には添い寝も…もも───ぷはぁっ!?」

 興奮しすぎてベリアルの包帯巻いている全身から傷が開いた。

「ほら言わんこっちゃねぇ……」

 既にこの光景を何度も見ている義信が呆れる。


「そもそもお前、何でそんなに佐夜に執着してるんだ?」

 両手を頭の後ろに組んで枕にし、天井を見ながらベリアルに問う。


「ふんっ。貴様に話しても分かるまい。……が、俺様も暇なのでな、いいだろう。特別に聞かせてやるわ。俺様と佐夜のあの熱き夜を」

「は?」

 熱き夜て……佐夜は(以下略いかりゃく)……。


 ===========================


 幻想界【アルフィーニ】にある魔王領、及び魔王軍の将軍は5年に一度、21家ある貴族間の代表同士で戦い、その際勝者である7家の代表が次の5年間、将軍の位を担う事になる。勿論21家の中には当然有名な『7つの大罪』もある。

 ちなみにベリアルの家は『強奪(奪取)』で本来は拳で戦う家柄なのだが、ベリアルは魔剣を使うので『魔剣師』と呼ばれていた。


 んで、佐夜と出会ったのはベリアルが将軍を決める大会に勝利して位を手に入れた一月後の事。

 魔王様の希望で人間のメイドを雇う事になったらしいのだが、その者の案内を何故か自分がやる羽目(元老院の指示)になってベリアル本人は凄く嫌そうにしながらメイドの佐夜の案内をすることになったのだ。城の中は勿論行く必要性のある街中もだ。

 演技なのかどうかは分からなかったが、佐夜はメイド……というより人として、かなり人当たりが良かった。迷子の子供はともかく、喧嘩の仲裁なんて本人達に勝手にやらせればいいのに何で止める必要があったのかと言わんばかりだ。

 だがそんな佐夜の人当たりと優しさ、何より顔と容姿がベリアルの好みをドストライクに当てはまり、その日の内に惚れ込んだのだ。最初、嫌そうにしていたのはただのツンデレなんだと思う。男のツンデレ、気持ち悪い。


 そして翌日メイドの佐夜に「俺の嫁になれ!」と男らしく堂々と言ったのだが、笑顔でキッパリと「お断りします♪」と言われ、ベリアルorz……。

 しかしベリアルは魔族(関係あるかは知らんけど)、そう簡単に諦める訳無い。


 なのでまたその翌日、しつこくプロポーズするも『やんわり』断られるのでベリアルは何故か

(これ、実は誘ってるんじゃね?)

 と、分けわからん思考に嵌り、その日の夜、佐夜を襲ったのだ。文字通り生死云々ではなく性的に。

 んで当然魔王様に見つかって折檻。当然佐夜は襲われて涙目。ボコボコにされてひたすら平謝りしたので、他の人達には内緒で何とか許してもらったが、佐夜からは冷たい目で見られた。つか最初から『やんわり』じゃなくて『しっかり』と断っていれば良かったんじゃないかと思う。


 流石に自分に脈無し(&冷たい目)ともあればもう関わらないでおこうと思い、その時点では諦めたベリアル。下手にストーカー気味で付きまとえば今度は魔王様に消される危険があったからだ。


 すると翌日、佐夜を諦めたベリアルに悲劇が訪れる。

 将軍を決める大会の決勝でベリアルに敗けた相手が仲間を引き連れ、復讐の為に奇襲を仕掛けてきたのだ。勿論ベリアルも奇襲に気付いていたのでその奇襲(・・・・)には難なく対応できたのだが、問題はその中に前回の『将軍』が数名(・・)混ざっていた事だ。流石に元とはいえ数人の将軍相手では分が悪く、何とか退けたがその代償としてベリアルは大怪我を負い、誰にも見つからない様な場所で傷を癒していた(義信と同じ部屋で寝ている状態(瀕死)と比べたら切り傷程度)。

 しかしそこで転機が訪れる。ベリアルが隠れていた場所は偶然にも魔王様の部屋の近くであり、佐夜が真桜に教えてもらった秘密の通路を買い物の時に通ったが故に、大怪我で気絶しているベリアルを見つけたのだ。

 最初佐夜は

(見なかった事にしようかな……)

 とか思ったが、流石に発見してしまった以上、そのまま放置して死なれる(佐夜の見た目での話)のは目覚めが悪いので重たいベリアルを担いで魔王の──真桜の部屋へと運んで真桜の許可を取って匿う事にし、服を脱がせ、傷の手当、着替えをさせた後予備のベット(本来は佐夜が寝る予定だったやつ)に寝かせる。この時当然ベリアルは気絶中であったが、真桜はテキパキと作業する佐夜に「佐夜、やけに手慣れておるのぅ」と半分感心、半分呆れた顔で言った。


 ベリアルが目覚めるのは翌日の事なのだが、その間、ベリアルは夢を見ていた。

 幼い頃の、母の夢だ。

 いつもベリアルに優しく、時に厳しく、いつも自分を見守ってくれた自慢の母。

 しかしベリアルが成人(魔族では15歳で成人)を迎える前に母は病気で死んでしまった。それも母は自分に病気の事を知らせる事無く突然の死だ。

 正直裏切りにも近い事だと思ったが、母はただ息子に心配させたくなかっただけなのだとすぐに気付き、それからベリアルは泣く事を辞めた。

 母の病気は大金さえ出せば治せなくない物だったと医者に聞き、「大金さえあったら母は……っ」とばかりに自分の無力さを思い知ったベリアルは父に無断で魔王領を出て武者修行の旅に行き、数年後戻って来て魔王軍の将軍を決める大会に参加し、将軍となった。

 だが時々思う、これで良かったのか、と。

 もっと他にも生きる術はあったのではないのかと。


 夢を見ているベリアルを余所に現実リアルでは佐夜が寝ながら泣いて「母さん……母さんっ」と、うわごとの様にうめくベリアルを見て佐夜は何故か

「大丈夫、君は強い子」

 と、まるで母親の様に泣き寝ているベリアルの頭を撫でる。ベリアルが泣くのを止めるまでだ。

 当然、佐夜のその様子を見ていた真桜が「お主本当に男かえ?」と、くち(さんかく)にして言って佐夜を狼狽えさせた。

 ※ちなみにこんな感じ→(=△=)


 翌日ベリアルが目を覚ますと、何故か魔王様の部屋にいて、自分はベットの上。その傍らには先日自分が襲い、嫌われてしまった佐夜の姿があった。

 その後佐夜も目が覚めて、ベリアルの事情を知っても「ベットで大人しくしてなさい」と嫌われてる相手に言われたベリアルはどうしていいのかと思い佐夜に訪ねる。

「何であんな事をしでかした自分に構うのか」と。

 すると佐夜は、

「いくら嫌っている相手とはいえ、見つけた以上は放置できないでしょ。それに……」

「それに?」

「な、何でもないっ。いいから、あの事はもう許してあげるから貴方は大人しく寝て下さい。怪我人なんですからっ」

「お、おお……」

 途中で口ごもった佐夜に突っ込もうしたベリアルだったが、詮索無用された。


 その日1日だけであったが、佐夜のその甲斐甲斐しく世話してくれるのと、佐夜が出してくれたかゆを食べたベリアルは「母さんの味だ……」と再び泣きながら食べ、佐夜の母性をくすぐる。

 ………。……え、何だって?


 佐夜のその優しさ、寛容さ、そしてどことなく母に似ている事に気付いたベリアルはその後、心から佐夜に先日の事を深く謝り、心を入れ替えて紳士の様に佐夜に接し、今に至る。


 いつか、佐夜に振り向いてもらう日が来るまで。


============================


「長い!!」

「貴様が聞いてきたんだだろうが!」

 何で佐夜に惚れ込んでいるのか聞いているのに何でベリアルの昔話になっているんだ、とノリで聞いた後ツッコむ義信。聞きツッコミというやつだ。多分。


「ん? 何騒いでんだ?」

「ぎゃあああああっ!?」

 ツッコミにツッコミ返すという意味の分からない事をやっていると、廊下を歩いていたであろう正義と()が医務室に入って来た。汗かいた状態でその首にはタオルが掛けられている事からおそらく鍛錬の後なのだろう。


「何だ、人の顔見て叫ぶとかふざけてんのか?」

「ぶくぶくぶくぶく………」

「いやいや剛、気絶してるって!」

「ちっ」

 正義と共に医務室に入って来た剛を見るや否や、剛一行に四肢をもがれ、臓器もぐちゃぐちゃにされた光景が鮮明に甦り、絶叫を上げた後、泡を吹いて気絶する義信。その気絶する義信の胸倉を掴んでガクガク揺さぶるが正義に止められる。


「それで? 何を騒いでいたんだ?」

「ああ、それは俺さm──俺と我が嫁、佐夜の出会いについて、こやつに話していたのだが話が長いと言われてな」

「嫁? お前結婚してんのか?」

「うむ」

「うむじゃねーよ。勝手に人を自分の嫁にすんなよ」

 義信とベリアルが騒いでいた事を話すと、剛がそんな事を聞いてきたのでベリアルは思わず肯定し、正義が否定する。


「何だ。妄想か」

「妄想ではない。未来の予定だ」

「………」

 ややストーカー気味なベリアルに世界破壊者である剛が少し引いた。


「つかそもそも佐夜って『男』だろ」

「は? はああぁぁ!?」

 正義の発言によって剛は更にベリアルから距離を取った。


「ちょ、ちょっと待て、確かに佐夜の性別は女ではないが、ちょっと待て!」

「うわっ、近付いてくんなホモがっ」

「だから俺はホモじゃな───ぬはぁっ!?」

「スプラッタ!?」

 慌てて弁明しようとしたベリアルの全身からまた血が噴き出た。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はい、これが『さやや』だよ~」

 

 その後、騒ぎを聞きつけたリオとヴァンも医務室にやって来て、全身から血を噴くベリアルに、そのベリアルから距離を取ろうとする剛、そして事情を知る正義に、何故か泡を噴いて気絶している義信を起こし、4人を落ち着かせた所でリオが剛に佐夜の姿をスマホで見せる。勿論ネタはメイド姿の佐夜。


「ん、メイド? 画像間違えてないか?」

「合ってるよ。その子が佐夜。リオはさややって呼んでる」

「いやいやいや、この子はどう見ても女だろ。胸は無いみたいだが」

「そりゃ男の娘だからね。ぺったんこ♪」

「……マジで?」

 リオに言われ、何度もスマホの画像を見る剛。その証拠として他の写真も見せてもらい、剛は理解はしたが納得はいかなかった。

「こんな可愛い娘が女の子なわけない!」

「そりゃ男だからな」

「あ、間違えた。男なわけが無い。常識的に!」

「まぁ、気持ちは分からなくはない」

 納得がいかず思わずテンプレ台詞を叫ぶ剛に、いつもの怠そうな感じでヴァンが応える。


(男(佐夜以外)が男(佐夜)の話で盛り上がるとか不毛すぎる……)

 その後、佐夜の料理がどうとか、一緒に風呂に入っただとかでベリアルとの軽い言い争いが起き、その会話をスピーカーで聞いていた透が呆れていた。









「あ、この小説はBLでも男の娘小説じゃないから、あしからず♪」

「当たり前だ」

 この2人(リオとヴァン)は誰に言っているのだろうか?


次回は第三章のQ&Aです。

その為、早く載せられるかと思います。では!

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