第23話 ~大事が起きる前と、不穏な気配~
今日の朝までぐっすり寝ていた為、突貫作業で書き上げました。
誤字、表現違い、無いよね?
【近未来β-WACOM】
真っ暗な空間内で一人の男(?)がいくつものデバイスを操作しつつ思考に至っていた。
「ふむふむ……。天界『ロベ』での騒動ドキュメンタリーはまずまずの視聴率、逆に輪廻界『529番』の神への反逆ドラマはいまいち……か」
そう言いながら男(?)は手元にあった『可愛らしい生き物』を手に取り、デバイスを操作する。
ちなみに何故『男(?)』と表しているのかというと、この者の容姿が中性的で女に見られてもおかしくはないからだ。所謂佐夜みたいな存在だと思えばいい。
といってもこの世界では容姿や知能などが自由に弄る事が出来るので、勿論この男は後からこの姿になったパターンだ。養殖ものである。
ちなみに彼の名は【リレック】。提供者の一人にして、現在佐夜達に迫っている危機にがっつり関係している者だ。
「さて出来た。『起動』」
そして手に取った『可愛らしい生き物』に情報を打ち込み、その生き物を起動させる。
キュピーン
「はじめまSHIてマスター。僕の名前はナNト言うのですKA?」
……どうやらまだ少し調整が狂っている様だ。
「君の名は『ヨツハ』だ。決してどこかから真似たものじゃないから安心したまえ」
「???」
訳の分からない事を言うリレックにヨツハと呼ばれた小動物は首を傾げる。
「こほん……。じゃあヨツハ、『ノーン』が何を企んでいるのか探って来てくれ」
「おっけー♪」
「………」
かなりフランクに承諾したヨツハに「設定間違えたか?」と一瞬沈黙したリレック。
で、そのままヨツハは真っ暗な空間を出て亜空間へ飛び出していった。
「ったく、協会と機関に目を付けられるとか……。なんて番組を『提供』したんだあいつはー」
リレックが一つのデバイスを操作し、モニターに映した映像はノーンが行った提供映像で、正直同じ提供者としては褒められたものではない。むしろ酷い内容だ。
グロは勿論、R18や非人道的な内容がたくさんあり、最終的にはノーンの放った使い魔に関わった被害者のその殆どが『BADEND』を迎えている。勿論ハッピーエンドは無い。
「奴の所為でこっちにまでとばっちりが来る前に手は打っておかないといけないな……」
そう言ってリレックは再びデバイスを操作して事の収拾に務める。
ちなみにリレックが撮る提供映像は『ド派手アクション系』で、製作期間は長いものの、結構な人気が出る程の作品が売りだ。そしてこちらは最後には某カンフー映画っぽく『コメディEND』で終わらせるので協会や機関達にもファンはいる。
それ故、BADEND系の物ばかり作るノーンのやり方は提供者たちの間でも批評を受けているが、何故か需要もあるのでリレックは勿論他の提供者達も強く言えないのだ。
「せめて今いるノーンの被害者にはノーマルEND(最悪の結末回避)までで押さえないとな」
独り言を言いながらリレックのブラインドタッチが光る。
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【亜空間3046.7789.1010地点辺り】
「死ねー!」
「……お前がな」
バンッ!
しつこく襲ってくる世界破壊者(初心者)に対し、疲れからかおざなりな言い方で襲ってきた奴を(手作りの)銃で撃ち殺した四月朔日剛。
「ふぅ……もういないだろ?」
「だな。軽く索敵したが、敵影も気配も違和感も無いからおそらくこれで最後っぽいか」
銃をしまいつつ、溜息を付く剛にヴァンが答える。
襲撃に遭ってリオ達を先に行かせてから体感時間は既に3~4日は経っていて、ヴァンと剛は疲れからか凄く眠たそうにしている。
悲劇に遭って闇落ちして世界破壊者になったとはいえ、元は唯の一般人。保護すべき対象なのでヴァンは「出来るだけ殺さずに捕らえて欲しい」とお願いするが、襲ってきた数が百を超えた辺りから流石に面倒くさくなった剛は銃を取り出して同じ境遇の者達をバンバン撃ち殺し始めた。
勿論ヴァンの方はこういった襲撃に慣れている為、不殺で捕える事が出来るのだが、相手は唯の能力者や勇者とかではなく『世界破壊者』だ。なので剛の場合、手加減が上手くいかずについ殺してしまった奴や、ごちゃごちゃうるさい奴、そして最後には面倒くさくなり、問答無用で撃って沈黙させる。相手の生死なんて最早剛には関係ないのだ。
んで、最終的に
襲撃してきた世界破壊者の数 130人くらい?
殺さずに捕らえる事に成功した数 91人
剛がつい殺した数 40人くらい
ちなみに捕らえた世界破壊者達は亜空間にある収容所に順次転送済み。
「む……ぐはっ」
「んんっ!? どうした、どこか怪我したのか?」
ようやく襲撃者の撃退を終えたと思ったら今度は剛の様子がおかしくなり、ヴァンが救急箱を取り出す。ここでポーションではない辺りが流石といえよう。
「も──」
「も?」
亜空間内で蹲る剛がフルフル震えてこう漏らした。
「モフモフが───欲しい……」
「………」
「ぐはぁっ」と意味も無くドザエモンど化した剛が亜空間内で屍になり、ヴァンが「やれやれ」と呆れた。
その後、近くで単独行動で調査していた協会メンバー(艦内で動物を飼っている人)に頼み、リオ達が待つ[物質界A-348-00196W]、略称『ミシバ・イクロ』へと向かった。
勿論移動中、剛は艦内で飼っている柴犬やハスキーにメロメロになり、目的地に着くまでまったりモフモフしていた事はヴァンと艦の持ち主だけの秘密だ。
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「頭、見回りと結界の設置完了しました!」
「っ!? そ、そう、ご苦労さん。他に何か報告する事ないか?」
『ミシバ・イクロ』内の簡易施設で任務を終えた忍の一人が頭(師範代)である上条楓の元にやって来ると、何かしていた楓がビックリして戻って来た忍に応える。
「急を要する事は何もないかと。ですが……」
「ん?」
その他の報告を言おうとした忍が何か言い難そうに口をモゴモゴさせている。
「各国の首相達が『美里 佐夜』に対して何やら不穏な事を企んでいる様子で」
「何?」
(まさかここに来て現地人が次元迷子に対してアプローチしてるとか首相達は何を企んでいるんだ?)
と、思考の海に飲まれた楓の手に持っている写真を部下の忍が見て溜息をする。
「頭……。相変わらず凄い趣味デスね」
「っ!? み、見るなバカタレ」
うっかり写真を見られた楓が写真を後ろ手に隠した。
実は楓『男の娘』が好きで、元部下であるリオや、たまに会うルイを見ると思わず抱きしめて頬擦りしたくなるほど『男の娘』が大好きなのである。実際には我慢してそんな事はしないけども。
ついでに言うと、隠した写真はリオとルイの写真で、楓はその写真を見ながら「ああ、やっぱりリオは可愛いなぁ……でもこっちのルイも捨てがたい……」と、とても人に見せられない顔をしていたのは楓の部下達だけの秘密だ。
ちなみに恋愛の対象になるのかは分からないが佐夜も楓の『男の娘レーダー』に反応している為、佐夜を狙っている各国の首相達に対して何か牽制しないといけない、と楓は部下見られて焦りながらもそんな事を考えた。
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「さて皆の者よ。例の計画について何か質問や意見はあるか?」
そしてその楓が牽制する相手である首相達が真っ暗な空間でモニター越しで首脳会議をしていた。話題は勿論首相達のアイドル(?)である佐夜の事だ。
≪ヤ。特に意見はないな≫
≪ダー。同じく≫
≪いやいや、寧ろ佐夜たんをこちらの世界に定住させるべきなのでは?≫
≪それはダメだろう。佐夜たんは我らだけのアイドルではないのだ≫
「そうだな。佐夜たんは色々な世界で活躍すればするほど輝く存在だと私は思う」
『佐夜は色々な世界で活躍すればするほどその魅力が上がる』と各国の首相達はそれに同意するが、そもそも佐夜は協会や機関のメンバーじゃないし。ちゃんと帰るべき世界がある以上、戻ったら二度と他の世界には行けないのだという事を首相達は知らない。
≪最初は「何でこの娘が『男』なんだ!」って思っていたが、よくよく思えば、これはこれでイイ!≫
≪ヤ。男の娘ならば妊娠などで引退するなんて事など無いから安心ダ≫
≪いや寧ろ、『男の娘が妊娠する』という都市伝説を検証したいところだ≫
「ああ゛!? 貴様、まさか佐夜たんにナニかするつもりじゃないだろうな?」
≪ジロリ≫
日本の首相──種ヶ島が妙な事を言い出す外国の首相を睨み、それに同意した他の首相達も同様に睨む。
≪ま、待て。別に佐夜たんをどうこうするするつもりは更々無い! 私が言いたかったのは『後々産まれてくる佐夜たんの子供はもっと可愛いかも』だ!≫
≪!!!≫
「ま、待て。貴様……良い事言った!!」
睨まれた国の首相が逆転させる事を言い、他の首相や種ヶ島が全員席を立ち、スタンディングオペレーションで拍手しだす。
「さて、皆の者。落ち着いたと事で会議を再開しようではないか」
≪えっと……どこまで話したっけ?≫
≪覚えてないのかよっ。あのな───≫
と、さほど進んでいない『佐夜アイドル計画(仮)』に向けて首相達が議論と作戦を交わしていった。
「国の仕事を放棄するなんて、もうこの世界は終わりかもしれないわね」
と、浦島秘書は呟き、各国の秘書達も同意していた。
その後、その計画が実行に移されたかどうかは今の時点では誰も分からない。当然だけど。
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新世界【イニシエ】内にある学園──の理事長室。
「失礼するぞ」
と、言いながらマロンとティーナがいる理事長室に入って来たのはゼクター。
「あ、お父さん」
「あら、貴方がここに来るなんて珍しいわね。どうしたの? あ、貴方も紅茶飲む?」
「ああ、頂こう」
紅茶を飲んでいた2人に勧められながらゼクターも部屋に入る。
「……それでゼクター、貴方がここに直接来るって事は何かあったの?」
紅茶を飲んで一息ついたマロンが真面目顔になって聞く。
「実は学園内で妙な噂を耳にしてな」
「妙な噂?」
何で教師でもないゼクターが学園内にいたのかは一旦横に置いといて、ゼクターは聞いた噂について語り出す。
「何でも最近、変な奴等が各世界にうろついているらしくてな」
「変な奴等? そんなのは別に普通の事じゃない?」
「まぁな。だが、そいつらが見たのは全員『同じ姿』をした奴等だとしたら───どう思う?」
「どう思うってそれは『クローン』とか『レプリカ』の類だと思うけど……それのどこが妙だというの?」
色んな世界がある以上、同じ姿のロボットとかを大量生産して他世界へ侵略する、みたいな展開は別に珍しくもなんともない。それはゼクターとて分かっている筈。だとすれば、
「もしかして貴方──っ」
「ああ、各世界にうろついていたのは過去マロン、お前の仲間だった奴だ。そのクローンかレプリカかどうかは分からんが、そいつらが各世界で妙な事をしていたのを生徒から聞いた」
「それってどんな事ですか?」
マロンが大量に沸いた存在の正体に気付き、ゼクターが正解を言い、ティーナが口を挟んだ。
「何でも各世界のアカシックレコードの一部を切り取ったり、宝具や秘法具、魔法具または過去の遺産の割と弱めの能力を持つアイテムを漁っている様だ」
「え? 何で弱めの──効果が低いアイテムを?」
「それに管理人のいる神の隙を伺ってアカシックレコードを、それも一部とか意味が分からないわ。どういう事?」
「知らん。知らんが一応この事を報告しないといけないと思ってな。で、これが目撃された例の奴だ」
「っ!?」
そう言ってゼクターが出した写真を見てマロンが絶句した。
「マロンさん。その人は誰です?」
絶句するマロンにティーナが写真を覗き込んで聞いた。
「……この人は、私と文一郎がかつて所属していた組織のトップだった人よ」
マロンはそういってつい写真を握りつぶしてしまった。過去にその人と何かあったのは間違いないだろうけど迂闊にそれは聞けないとティーナとゼクターは聞くのを辞めた。
で、当然目撃されたこの写真に写る者(達)が起こす騒動に協会はおろか機関も巻き込まれることになろうとは今の勇治郎達は当然知らない。
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~SS~
リオ「むぅ~!」
ルイ「むむむっ!」
テーブルを挟み、2人の男の娘が何やら睨み合っている。
佐夜「何してんだ2人共?」
と、そこに佐夜が登場。
ヤバイ、男の娘が3人揃ってしまった。逆拒絶反応が起きる!
……って、起きるかっ!? 何の話だよっ!?
リオ「あ、さやや。丁度良い所に!」
ルイ「佐夜、これを見て!」
佐夜「ん?」
リオとルイがテーブルに置いていたのは──ヴァンと勇治郎の写真だった。佐夜はそれを見ても首を傾げるだけ。当然意味が分からないからだ。
佐夜「これを見て俺にどうしろと?」
男が男の写真を見てどうしろとばかりに佐夜が2人に聞く。
リオ「さややにはこれらを見て──」
ルイ「協会のヴァンさんと機関等の班長のどっちがカッコいいのかを判定してもらいたいの!」
リオ「あー! リオのセリフ奪うなー!」
ルイ「何おー!」
佐夜が溜息を付いて呆れるのに対し、ぎゃあぎゃあと騒ぐ2人。ホント、仲良いわぁ。
佐夜「ゴメン。それ、俺には判断できない」
ルイ「ええー」
ルイは頬を膨らませて不満を表しているが、それすら意味が分からん。
リオ「あ、そっか。リオ達がそれぞれ好きな人がいる様に、さややも好きな人がいるんだっけ? だったらそれ以外の人を見ても何とも思わないかー」
ルイ「えっと、それって前に話していた『イング』って人?」
リオ「そ、それそれ」
佐夜「ば、馬鹿な事言うな! あいつは唯の親友だって」
急にイングの名前が出て意味も無く思わず顔が赤くなる佐夜。え、何その顔?
リオ「タダの親友だってー、ルイ」
ルイ「えー、ホントにー? 顔赤いよー?」
佐夜「そうだ。それに顔が赤いのは急にあいつの名前が出て来たからだ。特に深い意味は無いっ!」
リオ「でもさ、さやや。そのイングって人ってさややの事忘れちゃってるんでしょ? それって最早『親友』でも何でもないんじゃない」
佐夜「うぐ……」
リオに正論を言われてたじろぐ佐夜。500ポイントのダメージ。
……いや、ダメージって何よ?
ルイ「え、忘れているって……何でそんな事に?」
リオ「えっとね───」
事情を深く知らないルイにリオが話す。佐夜とイングに起きたあの事件の事を。
そして、
ルイ「う…うぅ……佐夜、可哀想だよぅ(泣)」
リオ「だよねぇ。あ、リオも涙出てきちゃった……」
勝手に佐夜の過去話をするリオにルイが共感して泣き出し、それに釣られてリオも泣き出す。
佐夜「えっと……2人共?」
『僕っ子』口調の時ならともかく、今の佐夜はそんなに弱気状態ではないので泣きはしないが、そんな佐夜を余所に泣く2人をどうしたらいいのかと狼狽える。
リオ「さやや!」
ルイ「佐夜ぁ!」
佐夜「な、何っ!?」
すると急に泣いていた2人が佐夜に飛び掛かり、佐夜が身構える。
リオ&ルイ「「今日、一緒のベットで寝よう!」」
佐夜「いや、何でそうなったっ!?」
最早リオとルイにとって佐夜は同じ生き物として見られているみたいだ。
楓「っ!? 今、何か大事な場面を見逃したような気がした!」
忍(男)「何言ってんすか頭!?」
次回は4/6の木曜日更新です。




