第7話 ~どうやっても乙女判定~
左足を骨折しますた………。
いたひ。
それとは関係なしに、物語は途中で区切ってます。
長いので、はい。
「───して浦島。先日大活躍した佐夜たn……(ごほんごほん)……少女達は今日、何をしていたのか報告をしてくれ」
暗闇の会議室で総理が秘書の浦島という女性に、先日次元転移してきた5人の少女……もとい佐夜の事について訪ねて来た。
勿論今回も各国のお偉いさん方がヴァーチャル通信で参加し、日本の総理の浦島秘書の報告に耳を立てている。
「……あの5人でしたら『ライフレンジャー』がお詫びとして渡した『ロワイヤルホテル』のご優待券を使用し、本日はそこに泊まっていらっしゃいます」
「……『ロワイヤルホテル』というと、あの有名な巨大スパ『HUROBA』がある、あの施設か?」
『HUROBA』という単語に各国のお偉いさん方がちょっと期待する。具体的には───
「はい。あの5人はチェックインを済ませた後、例のスパ『HUROBA』で入浴を楽しんだそうです」
「「「「「「「「「「おおおおおおっ!!!」」」」」」」」」」
浦島秘書の肯定にお偉いさん方が色めき出す。
と、いっても何が目的なのかは一目瞭然で、
「ちなみにこちらが『HUROBA』での美里佐夜になります」
「「「「「「「「「「佐夜たん、キター!!」」」」」」」」」」
モニターに映し出される佐夜の映像に各国のお偉いさん方が椅子からマリヲジャンプ(もしくは昇○拳)の様に飛び上がり、各国の秘書達が溜息を付いた。
「「「「「「「「「「っ!? ご、ゴクリ……っ!」」」」」」」」」」
だが次に映し出された映像によって、騒いでいたお偉いさん方は急に静かになった。なったが、10人のお偉いさん方、みんな鼻血を出している。
その映像とは佐夜がサウナを楽しんでいる映像。それだけならば別に何ともない。
だが、佐夜はショーパンにTシャツを着ていて、そのシャツが大きいので上手い具合にショーパンを隠しその上、汗でシャツが身体に張り付き、何とも艶っぽい表情をするのでお偉いさん方の興奮が高まる。
「「「「「「「「「「ぶほぉぁっ!!?」」」」」」」」」」
そして最後に佐夜が更衣室で濡れたTシャツを脱いだシーンで決壊し、またもや机やモニター、各国のお偉いさんが映るヴァーチャル映像までもが血に染まり、
「「「「「「「「「「この仕事、もう辞めようかしら……」」」」」」」」」」
と、秘書達が額を押さえていた。
……秘書達は皆知っているが、お偉いさん方の方は皆、佐夜が『男』だとはまだ気付いていない。
ついでに言うと、佐夜が着替えていたのは『男子更衣室』だったのだが、お偉いさん方は皆、佐夜しか見ていないので、これもまた佐夜が男だと気付かない要因となっている。
ちなみに佐夜の性別を教えた場合の事を考えると後々厄介な事になりかねないので秘書達は皆、本当の事を言っていないらしい。
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「何でこうなった………」
時刻は既に午前0時前、ホテルの部屋で電気を消しながら佐夜達はうつ伏せで布団に入ってお喋りしている。言わば修学旅行の夜の恋バナ的なアレだ。
とはいえ、陽菜々と真桜は戦闘と銭湯で疲れ切って早々に寝入り、熟睡していて起きているのは佐夜と愛沙、リアと後からやって来たニケだ。
で、勿論恋バナの標的となるのは目下注目の的、佐夜とイングの話。先ほどニケはさわりだけしか話していなかったので、今度は最初から佐夜とイングの出会いから話始め、佐夜が慌てて止めるも身体能力ではニケと興味津々のリアには敵わなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・。
「はー、佐夜はやっぱり乙女ね」
「はい、立派な乙女さんです」
「ああ、紛うことなき乙女さね」
「にゃああ! もう、みんなして乙女って言わないでよ!」
初めは大人しくニケの話が終わるまで布団に包まっていた佐夜だったが、話の内容が段々色めき合うのに対し、耐え切れずに突っ込んだ。
ちなみに今は選抜戦決勝後の佐夜が『僕っ娘』になった所の話。当たり前だが選抜戦でのあの魔力譲渡でのあたりで愛沙とリアが「キャー♪」と叫び、佐夜が顔を真っ赤にしていたのは言うまでもない。
その後、ニケが次元転移した後の話を佐夜が引き継ぎ、佐夜が【レニアナ】を出るまでの事を話す。勿論、三途の川でのあの出来事に関しては言わなかった。
「はー、だから最初に出会った時から佐夜の印象が中途半端に男勝り(おとこまさ)っぽく感じたのね」
「『男勝りっぽく』って何だよっ」
「女性が男性の様に振舞っている事を言うのですよ」
「いや、そういう事を聞いてるんじゃないって!」
「もういっそサヤ、女の子になっちゃえばいいのさ」
「「それ、同意(です)」」
「もうみんな嫌いっ!」
終始男扱いされなくなった佐夜が遂に不貞腐れて布団を被った所でようやくお喋りは終了。時刻ももう既に夜中の2時を回っているので愛沙達も就寝した。
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「え? この国の総理が?」
「ああ…うん。アタシ等がサヤ達を保護(?)した事を知られててさ、アタシ等はこの後その総理と面会する訳なんだけど、その総理が何故か『是非、佐夜たんも呼んでくれ!』って意味の分からん事を言ってるのさ」
「『たん』って……」
「何じゃその愛称は……」
翌日、ホテルの朝食バイキングでニケが大皿に大量の料理を乗っけつつ、後ろに付いてる佐夜に苦笑いでそう言った。………乗せすぎだよニケ。
「そもそも何で佐夜だけなのよ?」
「さぁ?」
皿にスウィーツばかり乗せている愛沙がニケに聞く。………太るよ?
「大方その総理という方が佐夜さんを見て気に入ったのではないかと」
「会った事も無いのに?」
皿に肉系の物ばかり乗せているリアが指摘する。………だから太るよ?
「あ、ニケ姉さん。昨日の夜、どこに行ってたんですか?」
「あ、ルイ」
「え?」
と、ここで食堂のフロアにやって来たのは、昨日サウナで一緒になった男の娘『ルイ』。西部劇に出てきそうなカウガールっぽい恰好をしている。
「え、佐夜? ってかニケ姉さんと知り合いだったの?」
「ま、まぁね。ニケとはニケの元いた世界【レニアナ】で出会った仲間だよ」
昨日の痴態の事を忘れたのか気軽に話しかけてくるルイに、佐夜は少々戸惑いながらも話し返す。
「何だルイ。あんたいつの間にサヤと知り合いになったんだい?」
「んー、昨日サウナで会ったんだよ。その時に色々ね~」
そう言いながらルイは皿にハンバーグ、マッシュポテト、ミートパスタ、エビフライ、カレーライスを雑に乗っけている。ちなみに陽菜々と真桜も同じ感じに盛っている。………君ら子供かっ。
「みんな、食事のバランス変だよ」
「いやいや、あんたの女子力が異常に高いだけよ」
佐夜がそう溜息を付くが、逆に愛沙に突っ込まれる。
何故ならそういう佐夜の皿には綺麗に盛りつけられたバランスの良い料理。パンにサラダにスープ、小鉢に添えられた総菜に少々のローストビーフ。テーブルに乗せられた佐夜の食事はどこぞの高級レストランを彷彿とさせ、愛沙達の皿とは天地の差だ。
その結果、美少女な佐夜が綺麗に食事する光景に周りの人達がこっそりスマホで写真を撮り、その写真がまた総理やお偉いさん方の手元に回ってくる事になるが、そんな事佐夜達は知らない。
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「……やっと来たかニケ、ルイ────ってそいつらは誰だ?」
ニケと(勿論みんなも)一緒にフロントに行くと、そこには昨日佐夜を襲った2人と同い歳くらいの別の青年の3人がニケとルイを待っていた。で当然、昨日の2人を見た佐夜は愛沙とリアの後ろに隠れる。理由は簡単、怖いから。
「昨日あんたが自分で報告してたでしょうに」
「…って事はそいつらが今回の転移者か」
「ああ。ちなみに一人は協会の者でもう一人……あのウサ耳女の後ろで怯えているサヤって子がアタシの昔の仲間だ」
「ほう。5人共見事にアイドル並みの美人さんだが佐夜はまた格別だな」
「ふふんっ。サヤはアタシが認めた子だからね。当然さね」
ニケと謎の青年が佐夜の話で盛り上がる。
「っと、すまない。自己紹介がまだだったな。俺は『界 勇治郎』。こいつらを纏める班長だ」
「「………」」
班長を名乗る男の名を聞いて佐夜と愛沙がしかめっ面してこう思った。「色々混ざっとるがな」と。
「で、話はある程度ニケとこいつらから聞いている。佐夜ちゃんと言ったっけ? 昨日はうちの者が君に粗相をしたそうでな。すまない」
「え、あ…うん……」
勇治郎が誠意を込めて佐夜に謝るが、あの2人がこの場にいるので上手く喋れない佐夜。トラウマになりつつあるのだろう。
「ほら、お前等も何か不貞腐れてないで、ちゃんと自己紹介して謝れよ?」
「ちっ……わぁーったよ。めんどくせぇ」
「う、ううう………」
ヤンキー(っぽく見える)先輩が怖いのか、後輩の少年が胃を擦りながら、バツの悪そうに佐夜の元に来る。
「き、昨日はそ、その……すみませんでしたっす!」
「え?」
「じ、自分の名前は『グラス・フラット』って言います! よ、よろしくっす!」
「う、うん。………?」
昨日の事を深く反省しているのか、グラスは凄い勢いで上半身を下げ佐夜に昨日の事を謝り、どもりながら自己紹介を済ます。最後に顔を真っ赤にしていたのはどういう意味なのだろうか?
「……………」
「………(ぷるぷる)」
無言でメンチ切るヤンキー(笑)に震える佐夜。で、そんな震える佐夜を咄嗟に抱きしめて安心させる愛沙とリア。
………何、この疑似百合さん達は。
「………やすしだ」
「ふぇ?(涙目)」
溜息を付いた『やすし』という青年はそれだけ言って、さっさとホテルを後にする。
「え~っと。じゃ、じゃあ俺達も総理大臣の所に行こっか?」
「え、私達も行くの?」
空気を悪くしたやすしに苦笑した勇治郎が愛沙達にも同行を求め、愛沙達がギョッとした。
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[物質界A-348-00196W]日本、東京の国会議事堂の地下
佐夜達がニケ達に連れられてやって来たのは何と、一般人では決して入る事の出来ない政治家が入るような場所───の地下だった。
「ようやく来たか佐夜たn……ごほ、ごほんっ。ようやく来たか機関の諸君」
「……何で言い直したのかね?」
「ほぼ佐夜に向けて言ったおったのぅ」
「こんなのがこの世界の日本の総理……」
佐夜に会いたかった欲望が溢れ出すギリギリで言い直した(既に手遅れ)総理に、ニケと真桜、愛沙がジト目を向ける。
「あれ? そういえば勇治郎さん達がいつの間にかいないね?」
「あ、ホントだ。いつの間にか班長達いなくなってる」
「お手洗い…かな?」
真っ暗闇で気付かなかったが、佐夜以外の勇治郎、やすし、グラスの3人がいない事に今頃気付く。
「あの3人には別件で現在違う場所に向かってもらっている」
「別の場所だって?」
「ここだ」
そう言って総理が浦島秘書に指示し、スクリーンに都内の映像が映し出される。
東京駅が映し出され、そこには先日佐助公園で現れたイカ怪人同様、突如現れたイグアナ怪人と、
「え、アレって、さ」
「うん。アレよね?」
「アレは何ですか? 何となく先日の5人組に似た衣装を着ていますが」
佐夜と愛沙が言う、アレ──コスプレ仮面の人が映っていた。
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~SS~
リオ「うふふふふ~~~」
義信「何かリオの奴、変な笑みを浮べてるけどどしたん?」←リハビリ中
透「何でも、隊長がリオに『何でもする』約束をしたそうで、リオはおそらくその何かを考えているんじゃないかしら」
義信「どうせまた有耶無耶になるんじゃねーの?」
透「だからそうならない様に考えているのだと思うわ」
義信「無駄だと思うけどな」
リオ「……隊長、お覚悟を。うふふふふ………」
チャア「うわっ、怖っ!?」
不気味な笑みを浮かべながら思考するリオを見かけたチャアがビクッとした。
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次回~予ー告~~!!
勇治郎「正義の味方だからと言って何でもありだと思うなよ?」
総理「嘘だぁ!!(絶叫)」
楓「この世界にいる『エンターテイナー』を捕まえる」
佐夜「ひゃああ!?」
ユフィ「(オロオロ、ハラハラ)」←陽菜々を心配している
ニケ「あんた、喧嘩売ってんのかい?」
・・・・・・・・・・・・。
マロン「次回、『機関と協会』!」
R「出番がないからといって無理矢理割り込んできたな(フンフンッ)」
マロン「う、うっさい!」
※:一部だけ抜擢しました(実際の内容は若干変わる可能性もあります)
また長くなりそうなので『仮面の人』の話は次話に続きます。
しばらく自宅に籠る事になるので執筆のペースが上がり、次話の投稿も早くなると思います。