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 二人きりで話がしたいと言われーー俺は止まった世界で、黒髪美少女と二人きりで廊下を歩いている。


 どうやら、触れただけで気絶してしまう能力者ではないようだ。


 それにしてもーーなんていう、褒美なのだろうか。


 ーーこの世界なら、あの子やその子を撮影し放題じゃないか!!!!


 いやいやーーこれなら女子更衣室で……できるじゃないか……?


 待て待て!!


 そんなチンケなことに使わずに、服の上から直に揉むことだって……できるじゃないか。


 疚しい事で溢れ返った脳内を遥さんにポカッと優しく叩かれる。


 ヤバいーー新しい趣味に目覚めそうだ。


 ポカッた相手から、優しい注意を受ける。


「今、変なことを考えてたでしょ?」

「君にまた会えて嬉しかっただけだよ」


 遥さんの手前、カッコつけた台詞を吐く。

 だが、それは簡単に見破られる嘘なようで。


「どーなんだか。あと、あっちの世界には干渉できないから、いやらしいことは私にしかできないよ」


 ムスっとする遥さん。だが、それがいい。


 その瞬間ーー天照の気持ちが少し理解できた。


 彼女に対してはアンナちゃんと同じ感情を寄せてしまう。


 ようやくーー俺の人生のストーリーにハーレムの兆しが見えたように思えたが、そんなことはなく、勧誘だった。


「アークには君の力が必要なんだ。だから……」

「俺の能力は一度だけしか異能を無効化できないんだぞ。

 それに、アリスに挑むなんて命がいくつあっても勝てる気がしない。

 悪いが、他をーーーー」


 唇をそっと触れられる。それは女の子の細くて柔らかい差し指だ。


「ずっと待ってたのに、それ以上傷つくことは言わないで欲しいな。

 それに、君の力があれば世界は変えられる。私が保証するから、ね?」


 俺がアリスと会わないで彼女に頼まれていたら、間違いなく協力した。

 例え、足の裏を舐めようと……。


 いや、むしろ舐めさせて頂くと表現するべきだろうか。

 ともかく、なんの躊躇もなく『アーク』に加入していた。


 だけど、アリスに恐怖という名の鞭で調教され尽くされた哀れな家畜にとって、それは容易いことではない。


 つい最近でさえ、女子がつけるアクセサリーが背中に入ったことがある。


 それを愛用しているのが巨乳の高山さんであったからある意味では、間接的な胸タッチを果たしたのだがーー拳銃を何度も突きつけられている俺は……。


「ひゃあっああ?!」


 情けないオカマみたいな声を上げたせいで、カマギリと一部で呼ばれ始めたとか、なんとか。


 だから、カマキリと原型が無くなった呼び名になるのも、時間の問題だろう。


 そう言い訳をしようと、俺は再び彼女に話しかけた。

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