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大好きな令息が親友でいたいと言ったから  作者: 鈴木べにこ


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1.親友との距離感がバグっていた件

「婚約を破棄させていただきます。」



 深々と頭を下げるも婚約者に口をあんぐり開けて絶句する。



「私の有責で構いません。慰謝料も払います。ハーヴィー家との縁は仕事だけのお付き合いとさせていただきます。」


「な、何故なのですか・・・?」




 元婚約者となった男性は無表情で淡々と理由を話した。


 その理由に婚約破棄された可哀想な女性のジョゼット・ハーヴィー伯爵令嬢は唸る様に頭を抱えるのだった。



「またアンディのせい・・・いいえ、これは私にも原因があるわ。むしろ私が原因だと自覚を持たなきゃね。」



 ソファに座り込み何時間も頭を抱えて唸るジョゼットに家族も使用人もなんて声をかけていいか分からなかった。



「2回も同じ理由で婚約破棄・・・もう終わりよ。」



 ジョゼットは2度も同じ理由で婚約破棄をされていた。


 その理由とは同じ伯爵家である男友達で親友のアンディ・トワイスと仲が良すぎて距離が近い事である。


 アンディとジョゼットの仲の良さはとても有名で、赤ちゃんの時からほぼ毎日のようにお互いの屋敷を行ったり来たり・・・。


 まるで仲の良い兄弟のように常に一緒の授業で家庭教師に勉強を教わり、ダンスの練習相手も本番もお互いであり、もちろんデビュタントも当たり前のようにパートナーとして登場。


 アンディとジョゼットはお互いの趣味や好き嫌いも把握しており好きな趣味は違ったとしても話が不思議と盛り上がるのだ。


 極め付けは長い銀髪と薄紫の瞳の甘いルックスの中性的な美少年のアンディと、豊かな金髪と碧眼の人形のような愛らしい顔立ちの美少女のジョゼットをお似合いの2人だと応援する人も多い・・・というかジョゼットとアンディの中に入ろうとするなんて無謀な人間だと呆れられるだろう。



「このまま一生独身か、うんと年上の男性の後妻しかないのかな・・・。」



 だけど、現実は世間でお似合いと言われた2人は婚約しなかった。


 1年前の17歳の時、アンディが婚約したのだ。

 ジョゼット以外の女性と。



 あのジョゼット大好きのアンディがまさかジョゼット以外の女性と!??と世間は驚いたが、ジョゼットとアンディの家族は2人の婚約がない事は10歳の時から分かっていたので驚きはしなかった。


 何故なら10歳の時にジョゼットはスッパリとアンディにフラれているのだ。


 運命の日はある日突然訪れた。


 2人が10歳になるまで、2人の家族も2人が婚約するものと考えていた。


 相思相愛に見えたので自然に婚約させてあげようとか、既に婚約してるみたいなものだよねと話していたり、世間的には生まれた時から婚約しているなどと誤解されている程に仲の良い2人の子ども達だったので、いつか婚約するのが当たり前だと2つの家は思っていた。


 そして実際の所は婚約はしていなかったので、2つの家は自然と婚約発表パーティーの日と婚約成立日を一緒にしようかなんて談笑の場で軽く話していた。


 ジョゼットは自分達の婚約パーティーを楽しみにしいた。


 だってジョゼットはアンディが大好きで恋心を抱いていたから。


 ジョゼットは生まれた時から一緒にいる大好きなアンディとずっと一緒にいたい思っていたし、このままずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていたから婚約に不思議がる事なく2つの家は婚約パーティーの日を楽しみにしていたのだ。

 

 ・・・・・片方の当事者であるアンディ以外は。




「ジョゼットと婚約なんて絶対嫌だ!婚約なんかしたらジョゼットと親友じゃなくなっちゃう!僕から親友を奪わないでっ!!」




 フラれた強烈なショックと同時に親友として愛されているという10歳の子どもにとってはキャパオーバーな複雑な感情に襲われ、その場にぶっ倒れたジョゼット。


 その後、アンディにフラれたジョゼットは熱を出して10日間寝込んだ。


 その間アンディは大好きな親友のジョゼットに会えなくて毎日大泣きしてご飯もまともに食べられないくらいジョゼットを心配していた。


 そんなアンディの姿に2つ家は思った、親友が寝込んで会えなくなっただけでご飯が食べられなくなる程大好きな異性に、何故ただの親友であり続けようと思えるのか・・・とアンディを遠い目で見つめるのだった。

 


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