失敗
カリドが逃走した時間まで遡る
「いやー危なかった、少し遅ければこっちが危なかったよ」
「カリド様、一応念のために魔法陣を貼り直しておきました」
カリドは、天の都市ヘブンにいた
「イルいつもすまない」
「いえ、とんでもございません」
「それにしても奴はなんで俺らの邪魔をしたと思う?」
「そうですね、俺にも検討がつきません」
「しかもあの魔法陣を破壊したんだろ?」
「はい」
「あれ作るの大変だったんのにな、奴の行動を監視しろよ」
「わかっております」
異世界に魂を送り込んだのに戻されてるのも気になる、成功しているのは間違いない。イルの報告を受けているわけだが、その後姿をくらましている者達も気がかりだしな。
もしかしたら奴が絡んでいる可能性があるだろう
「俺は潜入した洞窟に行ってまいります」
「頼む」
イルは姿を消す
調べから行動に移すとするか
数時間後
「ただいま戻りました」
「イルか、どうだった?」
「はい、成功しました」
「そうか、とりあえずはよしとするか」
「イル。ケミラ、アシアを呼んできてくれ」
「はい!」
「お呼びだそうで」
「イルと一緒に奴の行動を調べてくれ」
「わかりました」
「3人とも行け」
「は!」
3人は姿を消し調べる為即座に行動に移す
「さあ、どんな結果が出るか楽しみだな」
カリドは異世界の魔法陣を作る為に場所を移動する
カリドが今いる場所は森林が生い茂る奥地、誰も近寄らない場所だった
あの魔法陣を破壊されてしまったからもう一度貼り直しただ。あれにどれだけの時間がかかったか、奴め覚えていろよ
カリドは魔法陣を貼りはじめた
ここをこうしてと魔力で繋ぎ合わせて、これとこれを繋ぐと。今日はここまでだな、魔力が底を尽き顔を歪める
数日後
「カリド様、ご報告がございます」
「イルどうした?」
「奴の正体が掴めました、名をアンダーマリーといい、配下を次々と増やしているようなのです」
「何を企んでいる」
「それはまだ掴めてはいませんが、異世界に送り込んだ者が戻り、マリーの配下に加わったようです」
「やはりそうか、奴が絡んでいるだろうと思っていたからな」
「それで申し訳ありません、俺の失態です」
「今度はなんだ」
「殺したはずの奴が生きておりました」
「お前がそんなミスをするなんて初めてだな」
「俺にもどうやって脱出したのかわからないんです。あの時のたしかに洞窟の空気を抜いて酸素がないのを確認しております」
「上には上がいたと言うべきだな。脱出したのだから、研究が必要そうだ」
「それでしたら配下にやらせましょうか?」
「そうだな、それをして脱出不可能になるまでやるのが一番だ、それは任せる」
「は!」
俺は魔法陣の制作に取り掛かるか
「それとですね、どうやら川の向こう側にマリーの配下が街を作っているのが確認できました」
「そこで奴らが何を企んでいるか分かると言うことか」
「だと思われます」
「なら、ケミラ、アシアと配下数名を連れて潜入させろ」
「御意」
イルは姿を消す
奴は俺のジァマをして何が楽しいんだ、俺はこんな腐った世界から脱出してやるんだ
魔法陣の制作に戻っていく
報告が上がらずに数週間が過ぎた頃
「やっと完成した、前回よりはかなり早く出来上がったな」
「カリド様、申し訳ありません」
カリドの目の前にアシア、ケミラの姿があった
「失敗したのか?」
「はい、追っての気配に気がつき退散したのです」
「マリーって奴か?」
「はい、そうだと思われます」
「見ていないのか?」
「それが感知魔法が余りにも広くそのギリギリで監視をしていたので確かではないのです」
「広い?どうせ5キロぐらいだろが」
「それが20キロなんです」
「嘘をつくならもっとまともな嘘をはけ」
「嘘ではなく本当なんです」
奴は化け物か、何かに支配され続けるなんてまっぴらごめんだ。後少しだ、あと少しで俺もここから脱出できる
「わかった下がっていろ、今これ以上動けばこっちが危なくなる」
「今はこの魔法陣を成功させて次のステップに進むべきだ」
「仰せのままに」
2人は下がる
このままでは遅れが出ている、配下を追加するか
「イル」
「は!」
「配下を10人追加する。集めろ」
「御意」
何日か経つと
「カリド様10名程集まりました」
「よし、そいつらを連れてこい」
10人を連れて魔法陣の所へきた
「まずはこの部屋に入れ」
魔法陣の場所左手に小山がありその中に9人が入れられ、防音魔法が施された
「お前たちはここで待機しててくれ、順番にとり行う」
「わかりました」
「まずお前からだ」
魔法陣の中央に立たされ、魔力が送られる
人魚が逃げたせいで余計に魔力が取られるな
起動した魔法陣は中央に立つものを送り込もうと光り輝き出した、その直後
「なんなんだこれは」
異様な姿となってしまった
「失敗か、やはり人魚の力がないから制御が難しいんだ」
「カリド様いつものように」
「任せた」
イルは起動を終了した魔法陣に入り、失敗作を連れてどこかへ行く
「やめろー」
ドン!!
「処理は完了しました」
「よし、次だ」
小屋に向かう
イルは失敗作を始末したのだった。小屋にいるものは音が聞こえないように魔法で施されている為、騒ぎにならずに次の者を呼ぶ
「処理は完了しました」
「よし、次だ」
小屋に向かい、配下を連れてくる、その間に魔法陣を修正し再度挑む
「またか!」
得体の知れないものが出来上がる
「話がちがうぞ、何をするんだ」
無理やりイルに連れて行かれる
「魂を送り込むのになんで異様なものが生まれる」
そうか、ここをこうか。
また、連れて来られる
配下をどんどん殺していく。木の陰には死体の山が出来上がっていった
「カリド様これで最後です」
「わかってる、お前は黙っていろ」
八つ当たりがくる
「申し訳ありません」
後ろに下がり様子を伺う
こことここ、それとこれでどうだ?
魔法陣が起動結果を見届けた
「やっとか、やっと成功したようだな」
魔法陣が起動を停止した中央に倒れている人の姿、近寄り観察をする
「カリド様呼吸していて寝ております」
「連れてこい」
カリドの前に運んでくる
どうだ?手を胸に当たると
魂がなくなって生きるしかばねになったな
「これで、次のステップにいく」
「次とは?」
「今度は、体ごと異世界に行けるかを試す」
「わかりました」
「その前に魔法陣をいじらないといけないから、それまでイルは奴の行動を見張っていろ」
「わかりました」
「確かこの本に!?」
「どこだ?いつ無くした?いやいつからないんだ?」
最後に見たのはいつだった?
考える
そうだ、人魚を使用した魔法陣を完成させた時確かに持っていた、その後このカバンを持って移動しているはずだから無くなるわけがないんだ。ずっと肌身離さずに持っていたカバンなんだぞ。
アジトに戻る事にした
どこだ?
どこを探してもなかった
逃走する時に落としたか?
今動きたくはないがとにかく探すしかない
いろんな場所を探したが無かった
仕方がない戻るとするか
アジトに戻るカリド
思い出せるだけ紙に書いた
俺の記憶力スゲーな。よくここまで思い出したが最後のここだけがどうしても思い出せない、こんな魔法陣どこを探しても無かったのは知っている、いろんな都市に潜入してはがしたんだからな最後のここだけどんどん書き換えていくしかないか、あの本さえあればできていたのにクソ!
この後、繰り返し魔法陣の書き換えを行う事になる
ーーーーーーー
ウォンの食べ物屋さん
「マリー様、こちらです」
「ここは何が美味しいの?」
「ここはですね、ニトと言う動物の肉が美味しいんですよ」
「スイト?」
「あれ?マリー様知りませんか?」
「私知らないかも」
「マリー様は食べていますよ。こないだリリィが出してくれていましたから」
「どんな動物なの?」
「中に入って席についてからまた説明しますよ。まずは入りましょ」
「そうね」
中に入る
「ウーゴ様いらっしゃいませ」
「今日はマリー様をお連れした。丁重にな」
案内人に紹介される
「あの有名なマリー様なのですね。はじめまして、私ナルと言います。よろしくお願いします」
いや、そんなに頭を下げなくても
「頭を上げてください。今日はお世話になります」
私も私だよ。つい現代の対応の仕方が出てしまう
「マリー様まで頭を下げなくてもよろしいのですよ」
慌てて、ウーゴやイージェスがために入る
「ごめんなさいね」
苦笑いをしつつも席まで案内をしてくれ、席に着く
「それでスイトって動物なに?」
「それは」
「マリー様、ウーゴ様こちらがメニューになります」
「コレですよ、コレ!」
メニューの表紙に描かれていた
うーん、これは、ぶた?いや、馬?どちらかというと両方かな?頭はぶたで体は馬だよね。馬は馬でもポニーみたいにずんぐりむっくりだよ、私これを食べてたの?見なければよかった
「どれになさいますか?」
出来ればたべたくないなぁ
「そうだ、そちらにお任せで3種類ほど欲しいな」
「かしこまりました、お連れ様は?」
「俺もマリー様と同じで」
「俺も」
「俺も」
「みんなで同じものではないものにした方がいいわよ」
「そうですか?」
「そうよ、メニュー見て決めた方がいいし、好きなものを頼む方が色々食べられるでしょ、お皿に分ければみんな違う料理を食べられるわ」
「それはいい」
「では、俺は」
各自が料理を選んで注文した、しばらくすると食事が運ばれてみんなでわきあいあいとしながら食べている
「これおいしいわ」
「お口にあってよかった」
楽しい時間はあったという間に過ぎていった
食事を済ませて店を出ると
「また来てくださいね」
「ええ、もちろんまた来るわね」
城へと戻る
「さあ、残りの作業をするわよ」
「残り?」
「そうよ、ここで待っていて」
魔法陣を起動し、奴らを迎えに行く
「おまたせ」
見捨てられたと思っていたのに本当に来るとはな。それに魔物は姿を見せる事無かったしな。
「マリー様お待ちしておりました」
「守っててくれてありがとう。助かったわ」
「とんでもございません」
「みんな行くわよ」
「はい」
配下にした者達を連れて帰ってくる
「この者達は?」
「ウーゴ、ここにいるこの者達の家族を迎えに来たの。だから手伝って欲しいんだけど、お願いでからかしら?」
「ラジットとこの者達と一緒に家族を連れてここへ連れてこい」
「イージェス、ストラス、アリーも手伝って」
「は!」
各自は家族を迎えに来た
「ウーゴあの者達も学民なのよ」
「だと思いましたよ、俺とあった時もそんなような事を申しておりましたから予想は出来ました」
「出来る男は好きよ」
笑顔のマリーにウーゴがやられた
本当にこれが無自覚なのが困るな。小さい頃の姿だった時でさえも、可愛さの余りにドキッとさせられる事があったからな。大人になるったら余計にひどくなった。それにしても、美しさと可愛いさの両方はありなのか?
まじまじとマリーの顔を見ている
「ウーゴ?私の顔になにが付いているの?」
ありなんだろうな
「いいえ」
「それならいいけど」
何か付いているかも手のひらサイズの魔法陣を起動して鏡を取り出す
ついてないようね
確認するマリー
ちょうどそんな事をしていた時
コンコン!
「入ってきていいぞ」
「失礼します」
「連れてまいりました」
「それじゃ私の街に行くわよ」
魔法陣を展開する
(キリウス聞こえるでしょう、これから配下とその家族を送り込むから対応して、キリウスだけではなくて他にも声をかけて手伝わせていいから)
(わかりました、そのようにしておきます)
「この魔法陣に入ればいいんだな」
「そう、向こうには私の配下が待機しているから案内してくれるわよ」
「何から何まですまない」
「いいのよ、そのかわり向こうでの決まりが色々あるからそれは守ってね、生活をするのに必要な事だから、難しくないわよ」
「わかった、一つ聞きたい。俺たちは自由なのか?」
「自由と感じるかどうかは行ってから決めたら?一つ言えることは奴らよりはずっとマシってことよ」
「そうか」
「息子よ、大丈夫なんだな」
「親父大丈夫だ、殺されるよりはマシだ」
「そうか、母さん行くぞ」
「ええ、あなた」
魔法陣に入って消えていった
「まずは1組目だね」
「そのようで」
それから次々配下が戻る
「これで最後だね」
「はい」
「持ち物は持っていかないでね」
「何故だ?」
「全てが取り揃っているからよ」
「どうしても譲れない物があるんだ」
「それを貸してくれる?」
「何故だ?」
「あそこに物を運ぶための魔法をかけないといけないから、壊したり、破損はしないから」
「大事に扱ってくれ」
「わかったわ」
物を受け取る
(物達いる?)
(どうしたの?)
(これ、そっちに運んでもいいかしら?)
(僕そっちに行ってもいい?)
(見ないとダメなのね)
(そうだよ)
(わかったわ)
マリーを通じて物が現れる
みんなには見えてはいない
(これだよ)
(これはいいけど、こっちはマリー様が配下にしないといけないよ)
(やっぱり)
物に意識を向けて話しかける
(聞こえているのでしょう?)
(うるさいな、なんだよ)
ゴン!
(マリー様に向かってその口の聞き方はダメだ)
(なにがマリー様だ)
ゴン!
(痛いな、さっきから)
(まだわからないの?マリー様は物の王なんだ、いい加減に分かれ)
(こんな奴が王な訳がない)
信じてたまるか
持っている物に魔力を注ぎ始める
!?
(あら、どうしたの?)
(や、やめてくれ)
(だって信じてくれななのであれば、仕方がないでしょう。ただの物になってもらうのが一番だからね)
(マ、マリー様)
(お前、謝れ。今なら間に合うから)
(なんで俺が)
(そう、それじゃ。さようなら)
!?
黙った
(本当に物になっちゃった)
(なっていないわよ)
(え!)
(移動後に意識を取り戻すわよ)
(それとこの子ちゃんと向こうに行ったら叩き直しておいて)
(わかった)
(もし、それでもダメな時は覚悟をするように皆に伝えて)
(マリー様ありがとう)
(いいのよ、私も簡単にいなくなるのは嫌だからね)
(向こうで待っているね)
(そうしてちょうだい)
帰っていった
「これでいいわよ」
「もういいのか?」
「ええ」
最後の配下も川の向こう側にいった
「それじぁ、私も帰るわね」
「また、きてくださいね」
「ええ」
マリーも魔法陣で帰っていった
「ただいまー」
「マリー様お帰りなさい」
「ご無事のようで何よりです」
エブァンが出迎えてくれた
「エブァンなにが報告はある?」
椅子に座りお茶が出るのを待っていた
「ここが一番落ち着くわね」
「ここがマリー様のお住まいなのですね」
「アリーはここの城は初めてだったわね」
「はい外までは来ましたけどね」
エブァンがお茶を用意し、マリーに手渡す
「マリー様、アリーを連れてきてなにをするんですか?」
「エブァン、アリー私の配下なったのよ」
「はあーぁ?」
間抜けズラのエブァン
「ぷっ!」
「マリー様何を笑っておられるのです」
「だってエブァンの顔がおかしくて」
「それより、何故アリーを配下に?」
「なりたいっていったから」
「なりたいから配下にするものなんですか?」
「しないわよ、でもアリーは昔から知ってるから特別よ」
「それじゃ、魔物の山の王がいなくなったのでは?」
「それも新たに王決めてきたから平気」
俺が心配するのは野蛮か
「わかりました」
「アリーこれからよろしくな」
「エブァンもよろしく」
「報告を受けるわ」
報告を聞き終えると
「私少し物達の所に行ってかるから」
「わかりました」
二つ目の扉が出現し、中へ入って行った
「アリー、今からお前の部屋を案内するから、付いて来い」
「マリー様は忙しいな」
「そうだな。いつもあんな感じで動いている」
「そうか」
ーーーーー
「みんな、どう?」
「聞いて」
「なに?」
すごい囲まれているわね
「あいつがマリー様の事をけなすものだから、みんな激怒してああなっちゃた」
うん、見ればわかるよ。ボロボロだものね
「動くの?」
「それが動かなくなちゃってどうしようってみんなで色々試してみたけど、どうにもならなくなちゃった」
「みんな、やり過ぎよ。ちゃんと反省してよ」
取り囲んでいた物達がマリーのそばに集まる
「マリー様ごめんなさい」
「いいわよ、みんなどいて」
ボロボロの物を特殊な魔法で回復する
「これでいいわよ」
しばらく待つと
「俺は?」
「目が覚めたようね」
「お前たち許さない」
「こっちが許さないわよ」
「そうだ、そうだ」
騒ぎが大きくなった
これは収まりがつかないか
物達用に考えた新たな魔力を異空間いっぱいに放ち一言、言う
「だまれ!」
物達は冷や汗を流しながらマリーの方を向き跪いた
全ての物達
「何のために私が連れてきたと思っているのかしら?」
「マリー様お許しを」
「わかった、でも次はダメだからね」
「マリー様ありがとうございます」
本当だったんだ。
ずっとマリーって奴が王ではないと言い聞かせていたが確信に変わる
「暴言はいいとしても、あなたは本当に動かない物になりたいのかしら?」
「いえ、俺の考えが間違っておりました。申し訳ありません」
「急にどうしたの?」
「いえ、信じがたくてずっと王ではないと思っておりました。ですが今この空間に漂う魔力で悟ることができました」
「それで貴方の答えは?」
「俺でよければ配下に加わらせてください」
「よかった、これで仲間が増えたわね」
「マリー様よろしいのですか」
睨みつける
!?
「いい、私は配下にするためにここに連れてきたわけよ。これがよろしいかと言われるとねぇ」
「みんなの気持ちもあるから、わからないでもないけど」
物が向きを変えみんなに謝る
「俺の態度で嫌な思いをさせてしまった事を許してほしい。本当に申し訳なかった」
頭を下げる
物達がガヤガヤと話し合っていた
「こうして謝っているんだよ」
涙を一粒流し床に落ちると
「みんな私はいいと思うよ。ちゃんと謝ってくれたんだ。次にマリー様を侮辱するときはその時は、許さないから覚悟して」
「そうだな、俺も許そう。次はないぞ」
などと言っていた
そこに一人の物が近寄ってきた。
「ほら、行こう。これから案内する所が多いいんだからさ」
「私の顔を見てないでいっておいで」
「はい」
「それじぁ、頼んだわよ」
「はい」
マリーは異空間から出るのだった




