第1幕
八月某日。19時頃。虫の合唱が聴こえる。こうして夜風に当たってると日中の暑さが嘘のように思える。
オレはユウキ。この町の高校生だ。今日は親しかった友人の葬儀だったが、だんだん涙が溢れてきたから風にでも当たって頭を冷やそうと思い、途中で抜けた。そろそろ葬儀も終わる頃だろうか。
「ユウキ」
オレを呼ぶ声がした方を見てみると、オレの仲間たちがいた。アダン、リク、アキノリ、そしてリーダー格のイッキだ。
「もう終わったのか」
と聞いてみる。
「あぁ。終わった。いいのか、サヨナラとか言わないで」
イッキがそう答える。サヨナラは言いたい。が、そうすればオレは号泣してしまうだろう。やめておこう。
「言わないでおくよ。サヨナラ、なんて」
とでも言っておこうか。さすがに泣きそうだから、とは言えない。
「…でも。なんでアイツが殺されなきゃなんねぇんだ」
アダンが悔しそうに呟く。
そう。オレらの友人は、一昨日の早朝、死体で発見された。他殺だったそうだ。詳しくは聞いていないが、かなり惨い殺され方だったらしい。
「刃物で切り刻まれたってね……」
アキノリがそう呟く。死体を見たのだろうか。
「おいおい、お前見たのかよ」
リクがオレが考えたのと同じようなことを言った。
「見たんじゃない。ボクは聞いたんだ」
アキノリは意外と情報通なんだな。
「…ま、こんなキッカケだけど、久しぶりに全員揃ったんだし。飯でも食いに行こうぜ」
イッキが努めて明るく言った。確かに、このメンバーが揃うのは中学以来だし、この空気も少し居心地が悪い。オレは賛成した。
「そうだな。行こう」
オレ達は飯屋に向かって歩き出した。
リリリリ……カナカナカナ……
虫の鳴き声がさっきより大きくなっている気がする。合唱というより叫びという感じだ。
まるで、自分たちは何かを知っていて、それをオレに、いやオレ達に伝えようとしているかのように……。




