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彼女の不倫とミステリアス  作者: 英雄
1人目/上田龍
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1人目/上田龍

児島隆史は迷っていた。


タクシーで向かうか電車で向かうか。向かう先は都心のお高いホテル。そこで児島隆史を待っているのは、テレビでは広く顔が知られている上田龍という俳優だった。隆史は普段テレビはニュース程度しか見ないため、今回初めて上田龍という人間を知った。アポイントメントは3ヶ月前からとっておき、今日初めて顔を合わせる。

予定時刻の1時間前。約束のホテルは電車でもタクシーでも30分ほどで着く。隆史は財布を開いた。所持金は3000円ほどで、タクシーなら帰りの電車代を含めてギリギリといったところだ。


隆史を迷わせている原因は天気だった。6月に入って一週間経つが晴れの日は一日もなく、今日も朝から曇っており今では土砂降りだ。しがない営業マンの隆史は、無駄使いに大きな抵抗があったが、服の端々が濡れていながら他人に会うわけにはいかない。やむを得なくタクシー会社に電話をした。


タクシーに乗り約束のホテルについたときには、約束の15分前だった。上田龍は人気俳優であり、今期からドラマを2本、映画を1本撮影予定で、15時から30分しか時間は取れないと電話でキツく言われていた。本来約束時間10分前が理想だが、早く行っても迷惑なのはわかりきっていた。隆史はその間、ホテルのフロントで時間を潰す事にした。


ソファに腰かけ、手帳を取り出す。1番最後に挟まっている写真を手にとって眺めた。 妻、児島真琴が写真の中で笑っていた。隆史はぼんやりと真琴の事を考えていた。




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