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マドレーヌ14歳、晩夏。~過保護、進化中〜

「はい」


 侍医局長の診察に帯同しようと席を立つと、にゅっと手が伸べられた。


「危ないかもしれないでしょう?」


「警備の目があちこちで光ってますよ?」


「それでも、だよ。ぼくには重大な使命があるんだから」


 どうも先ほどのランチタイムに「初恋」なんて単語を不用意に発してしまったが為に己の責務、というか生命の危機をしっかり再認識してしまったのだろう。行動の不自然さと裏腹に眼差しは真剣そのもの。

 臨時雇用とはいえ列記とした職場である。医者のトップである侍医局長の後ろで助手と通訳が仲良くお手々繋いで移動ってのは如何なものか。とはいえ一歩も引かない圧力を感じる眼差しに、此方が折れた方が早いだろうと諦めた。


「じゃあ…」


「さ、行こうか」


 *****



「じゃあ、行くぞ」


「………」


「どうした?」


 どうしたもこうしたも。勤務時間が終わり、いつもの時間、いつもの場所で合流した義兄の距離が明らかにいつもよりも近い。近いというかもはやゼロ距離だ。ぴったり真横に立っている。


「歩きにくいんだけど」


「解かった。後ろにいく」


「そういうことじゃないんだけど…」


 此方の言いたいことは解っているだろうに、義兄も義兄で命が掛かっているぶん引く気は無さそうだ。びったり真後ろに立ち威圧するかの如く周囲を睨めつけている。不運にもうっかり近くを通り掛かった人々は滲み出る圧に当てられ足早に走り去る始末。



「まあいいや。帰ろっか」


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