マドレーヌ14歳、晩夏。~小鳥と鷲と〜
「この辺?」
太い首に後ろから手を回し、筋肉がふっくら盛り上がる大きな背中に問い掛ける。
「もう少し下、だな」
「はーい」
じゃんけんの結果、胸に宝石を抱いた小鳥は義兄に、小枝を咥えた小鳥は従兄の手に渡った。が、大柄な養父や更に増してがっちりムキムキな義兄の首には可愛らしい小鳥のペンダントのターゲットに合わせたチェーンは短すぎた。養父はブレスレットにすると言ってくれたものの、問題は義兄の方だ。剣を振り草木生い茂る大地を駆け回る身にはたとえ一時的だとしてもブレスレットは邪魔すぎる。同様の理由でアンクレットも却下。ということで、細めに編んだ組紐に無理くり通してしまおうと目論み、今は丁度よい長さを決めている真っ最中だ。
「よし、この長さだ」
「おっけー」
軽く縛ったら余分な紐を切って解れないよう先端を縫ったら出来上がり。ちょっと不格好だけれど、今だけだから我慢して貰おう。
と、思っていたのだが。
***
「ほんとに着けて行くの?」
「せっかくだからな」
「フルンお兄ちゃんも?」
「勿論」
石畳の凹凸でガタゴト揺れながら王宮に向かう馬車の中、男2人のシャツの隙間から愛らしい小鳥がちらちら顔を覗かせる。斯く言う本人の頭にも鷲の髪留めがザクッと挿してある。双子なんて愛児院にも着けて行きたいと言うので、いつも着せている汗取りタオルを二枚重ねにしてその間に挟む工夫をしておいた。服を着たままタオルだけ脱ぐには少しばかり難儀するだろうけれど、汗疹やかぶれの原因になったら困るのは双子たちだ。
「幸運を呼ぶ鳥だから、何か良いことがありそうだね」
「少なくとも魔除けにはなるな」
「まあ、2人が良いんなら良いんだけど…」
馬車の進む速度が変化した。間もなく到着だ。




