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 進藤ユウキは主役である。


 日常や青春といった現実上の舞台が、ユウキを主人公とするためにあらかじめ設定されているかのようだった。周りにいる者たちは、勝者が仕組まれたシナリオの中で一所懸命に脇役を演じているかのような気分となるかもしれない。


 まるで英雄譚を謳う劇のように。


 それだけ普通の人々にとって『進藤ユウキ』という存在は『ヒーロー』然とした人物だった。


 成績優秀、品行方正、眉目秀麗。そのうえ運動神経も抜群。部活動でも次期演劇部部長として期待を集めている。

 それでありながら気取ったようなところはなかったので、多くの女子の視線がユウキのもとへと集まることになった。廊下を歩いているだけで周囲からは黄色い声が聞こえ、ラブレターもよく受け取る。告白されることもしばしばあった。


 男子たちからは嫉妬されそうであったが、その様子を目の当たりにした彼らの恨みを買うようなことはなかった。

 むしろ尊敬のまなざしでユウキのことを見ていた。すべてにおいて高水準の結果を叩き出し、加えて性格まで良いとなるともはや諦めるほかなかったからだ。その影響か、いつの間にか学内に『進藤ユウキを崇める会』が発足されていた。

 そんなうっかり男子の心をも撃ち抜きそうなユウキの穏やかな微笑みから、ユウキは『王子様』という通称を得ることとなった。


 しかしそれだけでは物語の主役には至らない。


 もちろんそこには進藤ユウキを主人公として、ヒーローとして、そして王子様として決定づける要素が存在する。


 それは、ヒロイン。つまり恋人の存在である。


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