#11 終わる世界 後編
「うっ……?」
日彦命の体が黒炎とともにゆらぎ、その緩んだ腕の中から崩れ落ちる美月さんを俺は駆け寄ってしっかりと抱きとめた。
「私達、もうずっと昔に出会っていたんだね」
「思い出すのが少し遅かったけどね」
しばらくそのまま、無言で抱き合う。こうしていられる時間も、残り僅かかも知れない。
「ごめん。俺、今まで君に黙っていたことがあるんだ」
「なに……?」
「俺が君を護るのは、神力使いとしての役目じゃなくて自分がそうしたいからだ。でも、ずっと本当のことを言えなかった」
美月さんの流す熱い涙が、俺の首に落ちた。
「ううん。私の方こそ。いつも夏輝くんの優しさに甘えてばかりでごめんね。実は私も黙っていたことがあるの」
「今ならどんな事も驚かないよ」
「ごめんなさい。二週間前に夏輝くんのおやつのカレーパンを食べた犯人は私……!」
「今ここでそれを自供するか普通……」
日彦命が、ゆらりと黒い陽炎のように立ち上がり、怪訝な瞳で俺を見た。
「なぜ神力が放てる? もう君は神力使いではないはずなのに」
日彦命が広げた手のひらには、青い神力が電気を帯びて小さな火花を放っていた。
「いや、これは月姫の神力じゃない。神雷だ。なぜ君が神雷を放てるんだ?」
「この神力が神雷だとしたら、きっと悪王子神が俺に力をくれたんです」
「あの悪王子が……?」
俺の言葉に、日彦命が驚き狼狽している。
「ただ、貴方の心を鎮めるためには少しだけ足りない」
俺は美月さんの中の月姫命に向き直る。
「月姫様。もう一度俺に貴女の神力をください。その力で日彦命の魂を鎮めます」
イラスト/CARNELIAN様
https://x.com/beni_carnelian
完結を目前に、イラストレーターのCARNELIAN先生に
美しすぎるイラストを描いていただきました。
竹林の中のかぐや姫のようで、爪の先まで美しいです!
まるで涼風が吹き抜けていくよう。
表情もかわいくて、流れるような豊かな髪もきれい。
眺めるたびにうっとりです。
大切に紡いできた作品でしたので、とても良い記念になりました。
CARNELIAN先生、どうもありがとうございました!




