↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
89/98

#9 最終決戦 後編


 日彦命の体が浮いて何かに弾かれたように拝殿から飛び出した。


「説得どころか最悪の事態だ」


 後を追って境内に出る。地面が激しく揺れ、空には雷鳴が轟いた。空に輝く太陽が、黒炎に包まれてゆく。日彦神社の上空には、黒い炎を纏った日彦命が美月さんを見下ろし、手を差し伸べていた。


「月姫よ。私と一つになろう。そして、ともに永遠とわの時を生きよう」


「そんな闇落ちした姿でプロポーズされても月姫様がドン引きですから!」


 そう言いつつ神力を放つと、黒炎に包まれた光の矢が上空から飛んできた。


「やば!」


 すんでの所でかわすと落ちた光の矢が境内の地面に刺さり、黒い炎を上げた。


──強い。特殊能力を含めると悪王子を上回るかも知れない。


「朧。手伝って」


 美月さんが朧の背中に乗って飛び上がると、祓いの神火を日彦命に浴びせた。


「月姫。それが君の返事なのか。ならば私にも考えがある」


 先程までとは別人のような、怒りと悲しみに満ちた冷たい瞳に、恐怖で背筋が粟立った。


「日彦様。どうかお鎮まりください!」


 間に入ったにのまえに、忌津闇神と化した日彦命がゆっくりと告げる。


にのまえ、月姫の神力使いを封じなさい」


「し……しかし日彦様……」


「幻惑」


 にのまえの金色の瞳が、黒い闇に染まった。


──精神操作。


 俺の姿になったにのまえが、大量の神力を天から降らせてくる。回避するので精いっぱいの状態だ。


「このままじゃ、日彦命に近づけない……!」


 その時、つづらが飛び上がってにのまえに噛みついた。にのまえが元の蛇の姿に戻った。


「兄者の相手はボクだ。ナツキは日彦様の所へ」

「いかに相手がつづらとはいえ、手加減はせんぞ」


「望むところだよ。ボクの神力を全部使う覚悟で挑ませてもらう」

「月姫様のために死ぬと言うのか。オレも日彦様のためなら、命を捨てる所存!」


 眷属神の二匹の蛇が白龍と金龍に姿を変え、空中に舞い上がり、戦いはじめた。あれがつづらの本当の姿だったとは知らなかった。


「ナツキ。早く!」

「つづら、死なないでくれ!」


 俺は日彦命の元へと走った。地面に着地した朧に飛び乗ると、朧をあやつって赤く燃える神火を放つ美月さんの後ろで、青白く輝く神力を放出する。俺の青い神力と朧の赤い神火が合わさり渦となって、日彦命の黒炎を削いでゆく。


「よし攻勢だ。このまま続ければ祓い切れる」


「夏輝くん。日彦様を消滅させてしまっては常世も一緒に消えちゃう。弱っている日彦様を消滅させないように穢れだけを祓うか、日彦様のみたまを鎮めないと」


「急にそんな高難易度クエストを言われても……」


 その時だった。


「──幻惑」


 日彦命の声がしたかと思うと、天から降り注ぐ強い光に目をやられ、辺りが真っ暗になった。忌津闇神から送られたイメージが、脳内に流れ込んでくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
望月千歳・最新情報⇒望月千歳 X(旧Twitter)小説家・望月千歳blog「月姫神社」 (クリックでジャンプ!)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。