表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
89/542

2話

「よく、見ていろ」


男に言われて、冬四郎はまだ微かに息をしているむつを見た。だんだんと呼吸が浅くなり、ついにしなくなった。ことんっと首を反らすようにして、完全に身体から力が抜けきった。そして、むつの身体は唐突に消えた。


冬四郎の手に残ったのは、身に付けていた服と、血のあととくったりとしている狐だった。


「どういう事だ…」


むつだったのが狐になり、冬四郎はこれがどういう事なのか聞きたかったが、目の前に居たはずの男は、居なくなっていた。冬四郎は狐を下ろして、きょろきょろと辺りを見回したが、人影はない。


「みや‼むつは…」


「山上さん、むつじゃないですよ」


駆け寄ってきた山上は、荒く息をつきながらコンクリートの上の血溜まりを見た。


「狐、でしたか…」


京井は血溜まりの中に倒れている動物を見て、はぁと溜め息を吐いた。そして、冬四郎同様に辺りを見回した。


「まだ、臭いが残ってます…」


そう言うと、ふらっと走り出した。京井が臭いを追うのだと分かると、冬四郎も後を追って走り出した。


「お、おい‼ま、みや…まで…」


「わしが行く。兄ちゃんには戻らせる」


「か…片車輪まで」


残された山上は、狐の死体と窓の割れた事務所を見上げて、溜め息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ