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2話
「篠田さんと西原君には黙っといてください。人数が多くなると危ないので」
「京井さんと片車輪だけをここに残すか?」
「いや、俺…は外で見張ります」
「なら、俺もそうするか…久々の見張りだな。ドキドキしてきたぞ」
くっくっくと山上が笑うと冬四郎は、不安そうな顔をして見せた。だが、刑事としての仕事を教えてくれた山上が、一緒なら心強くもあった。
「またここに泊まるのか…」
片車輪が呟いた。ずっとカメラ映像を1人で見続けていた京井が顔を上げて、慰めるようにぽんぽんと片車輪の肩を叩いていた。
「ん…そろそろ限界なんですか?」
「そろそろ、やな…」
京井は立ち上がると、冬四郎と山上の肩を押すようにして、いそいそと片車輪から離れた。急かされるように背中を押されている2人は、何がなんだか分からないという顔をしている。
「な、何だ?どうしたって…んだ…」
山上がぎょっとして振り向いていた。




