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2話
「なぁ、兄貴?」
何か気付いた事でもあったのか、冬四郎が晃を呼んだ。だが、返事も無ければ側にも来なかった。ようやくパソコンの画面から顔を上げた冬四郎が、晃を探すようにきょろきょろとしていた。
「あれ?」
「晃なら少し前に帰ったぞ?」
「あ、そうでしたか…」
ドアの明け閉めにも気付かなかったのか、冬四郎はそれでもあまり気にした様子はなく、ふーんと言っていた。
「山上さんでいいや、ちょっと…」
「何だよ、俺でもいいって」
手招きされた山上は苦笑いを浮かべていた。
「あ、そういえば篠田さんと西原君は?湯野さんも居ないみたいですけど」
「今頃か?篠田と西原には、むつの身辺洗わせてる。もしかしたら、変なのとの接触があったかもしれないからな。湯野ちゃんにはむつの穴埋めで働いて貰ってる」
「そうでしたか。これ見てください。むつ…もしかして男にしがみついてませんか?」
冬四郎は一時停止させておいた画面を指差した。画面には、むつが男に担がれて運び出されていく所が映っている。山上は、画面に顔を近付けた。目の荒い不鮮明な画像をじっと見つめていた山上は、ゆっくりと冬四郎を見た。
「そう見えるな…抵抗してたんじゃないのか?」




