2話
「マンション内のカメラだ。ここ…」
「男が外を通過しましたね」
「あぁ。で、次な…エレベータ前のカメラに男がまた映ってる。だけど…」
男の後ろ姿が映り、男がくるっと振り向いた。だが、その顔は布で覆われていて確認する事は出来なかった。そして、すぐに映像が途切れた。
「外を通過した男とエレベータ前の男は同じ男ですか?それが…?」
「この男が次に映るのは非常階段前でだ。上にあがっていったんだろうな。これは時間的に、むつが映る少し前だ」
山上は話ながら、次々とカメラの映像を冬四郎に見せていく。冬四郎は、ぐっと身を乗り出すようにして、映像に見ている。
「ほら…分かるか?ここ」
また一時停止させ、山上は画面を指差した。カメラの死角に近い辺りを、黒っぽい物が横切った。
「ここはどこのカメラ映像なんですか?」
「むつの部屋の階のだ」
山上の代わりに晃が答えた。カメラは非常階段の前にあるのか、ドアが並んでいる廊下辺りはしっかりとは映っていない。だが、男の足元だけが辛うじて見えていた。男がゆっくりと歩き、1つの部屋の前で足を止めたのが見えていた。そして、するっとどこかに消えた。
「これ…あの覆面の男、むつの部屋に忍び込んだって事ですか?」
「恐らくな。住人がわざわざ、非常階段を上って部屋に帰る必要はないからな」
「むつは部屋の中で襲われたんですね」
冬四郎は呟いた。




