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第80話 瞬殺!

続きです。


2018/02/12 読みにくい箇所を修正しました。

 東地区の我が家へ戻る。


 帰り際に『クリザリス香油店』に寄り、アーノルドに和菓子を届けた。


「これは……懐かしいな。カレンともよく食べに行ったよ」


 懐かしそうに食べ、次の娘の構想が浮かんだ、と地下工房に降りて行った。

 顔の痩けもだいぶマシになったようだな。


「楽しそうですね。アーノルドも」

「ああ、そうだな」

「ねえお兄ちゃん、私、今日ここに泊まってってもいい?」

「ステフ?」


 急に何を言ってるんだ?


「うーん、アーノルドさんとは一度ゆっくり話したかったんだよね。知識の面でも役立つだろうし」

「つってもなぁ。急には迷惑だろう?」

「ちょっと聞いてくる!!


 ててて、と地下に降りて行くステフ。


 数分後……


「いいって!」

「マジで?!」


 まあ、アーノルドはロリコンじゃないし、いいか。


「じゃあアーノルドにお礼を言っておいてくれ。明日の朝は俺達がここへ来るから、皆でご飯を食べよう」

「うん!」


 ステフがここに泊まるとは想定外だったが、色々な経験が積めるのだからいいだろう。

 伝説の香油士から教わるといい。


 そう思って立ち去ろうとした時、ステフが駆け寄り、俺の耳元で囁く。


「(これでネグリジェ姿を独り占めだね! あんまり興奮して暴走しないでよ?)」

「!! ……ステフ、お前」


 俺にウインクして店に戻って行くステフ。

 出来た妹だよ、全く!


「エーリ?」「ふふふ」「?」


 ルイーズはわかったようだが、オードリーとアンジーは頭の上に『?』が見える。


「なんでもないよ。さ、帰ろう」


 ごまかして店を後にした。


 その後メイガード家にお邪魔して、アルベルトさんに和菓子とジャンヌさん、マチルダさん用のネグリジェを渡した。

 2人はまだ仕事だったようで、ライアンさんは依頼で別の国へ行っているようだった。


「?! こ、これは……!」


 ゴクリ

 ネグリジェを見たアルベルトさんの喉がなる。


「うちの女性陣からです。絹蜘蛛族の糸で作ったネグリジェですね。寝巻きにお使いください」

「い、いいのかい? これ、高いだろう?」

「品質に見合った価格だと思いますが、日頃の感謝の気持ちです」

「ありがとう。2人には伝えておくよ……おやすみ」


「あ、おやすみなさい……」


 最後の方はだいぶ上の空だったが、大丈夫か?


「……あの様子だと」

「ジャンヌに妹か弟が出来るかもしれないわねぇ」

「威力高いですからね」


「どんなの贈ったんだよ?!」


 女性陣がにっこりと笑う。


「「「ひ・み・つ」」」


「あ、はい」


 なにそれ怖い。

 でも期待に胸が膨らみっぱなしだぜ!!


 膨らんだ胸を押さえながら家に入る。


「私お風呂沸かしてきます!」

「じゃあ私達は着替えの準備でもしましょうかぁ?」

「はい。そうしましょう」

「え、あの。俺は?」


「ベッドの準備をお・ね・が・い」

「……任せとけ」


 いつもより1人減って、少し広いベッド。

 シーツを変え、枕を直す。


 いつもの光景なのに、今夜は妙に妖しく見えるな。


「エーリ、準備ができましたので、私達が先に入ってますね。呼んだらお風呂に来てください」

「あ、ああ。わかった……」


 心臓が高鳴って行くのを感じる。

 バリスティックローズの時は皆一緒に脱いで入ってたけど、後から入るってだけでどうしてこんなにドキドキするんだろうか。


 10分ほどそんなドキドキで落ち着かない時間を過ごした。


 ガチャ


「エーリ、どうぞ?」

「?! う、うん……」


 オードリーが顔だけ出して呼びに来た。

 何故だかいつもより魅力的に見える。

 オードリーもちょっと恥ずかしそうにしているせいか、とても色っぽい。


 脱衣所へのドアを開ける。


 もあっとした蒸気が顔に当たり、女性陣3人分の香りが鼻腔をくすぐる。

 スッキリとした中にも柔らかな印象のオードリー。

 どこまでも扇情的なルイーズ。

 青々しく幼さの残るアンジー。


 三者三様の魅力的な香りは、俺の興奮をさらに高めていった。


 震える手で浴室のドアを開ける。


 ガチャ……



 そこには桃源郷が広がっていた。



「待ってましたよ、エーリ」

「いらっしゃぁ〜い」

「ふぅ」


 オードリー、ルイーズ、アンジーが髪を濡らし、しっとりとした肌をしている。


「この香りは……『エイミー』か?」

「ふふ。若いのと熟成させたのを混ぜたのよぉ〜。少し落ち着いていい感じでしょう?」

「ああ、とてもいい」


 緩やかに少しずつ、興奮と言うよりも気持ちを高めてくれるというか。


「じゃあ、そこに座ってください、旦那様(・・・)

「さあ、やるわよぉ。アンジー」

「合点承知」


 ザバァっと勢いよく立ち上がる3人。

 何度も見ているはずなのに、なぜか恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。


「今日のエーリは大人しいですねぇ」


 わしゃわしゃ


「ふふふ。いつもよりちっちゃく感じるわねぇ」


 ゴシゴシ


「エーリ様、前失礼しますね」


 スリスリ


 あ〜〜〜、天国だな。


「この世界に生まれてよかったぁ……」

「もう、なんですか急に」


「ん〜〜、そりゃさ、美女3人にお風呂で体洗ってもらうって、どこの王様だよって感じじゃないか。中身おっさんの俺にとっては、この上ない幸せだよ」


 ギュッ


「中身がおっさんだろうと、エーリはエーリですから」


 ギュギュッ


「私達の未来の旦那様のねぇ?」


 ギュギュギュッ


「旦那様で、ご主人様です」


 皆の身体があったかい。


「うん。……こんな姿で言うことじゃないけど、オードリー、ルイーズ、アンジー。俺は大きくなったら皆と結婚したい。もう少しだけ、待っていてくれ」


 ちゃんと言うのは初めてだ。

 成人まで後5年。長いようで、きっと短い。


「は、はい!」

「はぁ〜〜い」

「不束者ですが、末永くよろしくお願いいたします」


 意外にもアンジーが一番まともだ。


「じゃあ、未来の妻と夫として初めてのお風呂だ。楽しもう」

「うふふ。はい、旦那様」

「張り切っちゃうわよぉ〜」

「形態変化しますね」


 それはもう楽しい楽しい夢の時間でした。


 だけど、お風呂から上がっても夢には続きがあることを知りました……。


「そ、そんなに見ないでください。は、恥ずかしぃ」

「うふふふ。ど〜〜お?」

「なんか、スースーしますね」


「……今ほど大人じゃないことを呪ったことはないよ」


 ネグリジェ。

 ワンピース型の寝巻き。


 素材や丈、デザインも多種多様だが、今俺の目の前に広がっているものは、素材は絹蜘蛛の糸、丈は股下、デザインは肩口辺りはレースがあしらわれ、その他は……スケスケ。


 下着、もしくは現物が薄く見えている。


 これを作った人は男心をよくわかっていらっしゃる。


 見え過ぎず、見えなさ過ぎないギリギリの境界線。


 まるで『これがいいんだろ?』とでも言われているようだ。


 そうです! 完璧です!!



「恥ずかしいので、エーリも早くベッドに来てください」


 仰向け、かつ片足を曲げて隠しながらオードリーがねだってくる。


 ごくり。


 さっきから喉がなりっぱなしです先生。


 俺はふらふらと酔っ払いのようにベッドに向かい、そして


 バタン!


「エーリ?!」


 倒れた。

 おかしい、身体に力が入らん。


「あらあらぁ? これは……湯あたりねぇ」

「結構長く入っていましたし、エーリ様も興奮なさっていたようですから」

「ふふ。エーリらしいですね」


 そんな会話を聞きながら、俺の意識は落ちていった。



 翌朝。


 夢は終わりを告げていた。


 俺が起きた時には、身支度を済ませた女性陣がいた。


「おはようございます。早く着替えてください。朝ごはん、アーノルドのところで食べるんですから」

「あ、ああ。今着替えるよ」


 くそ! なぜ俺は倒れてしまったんだ!! 夢が! 俺の夢が!!


 内心で自分を罵倒していると、オードリーが近づいて来てこう言った。


続き(・・)は結婚したらにしましょう。次は最後まで、ね?」

「……うん、わかった」


 素直になる俺であった。



 その後アーノルドの家で朝食を取った。

 ステフはとても楽しかったようで、


「アーノルドさんが凄いの! 魔力調節とか属性間における作用の考察とか、素材と攪拌回数の関係図とか!」


 などなど、凡そ5歳児からは聞くことがない単語でアーノルドの凄さを語っていた。


「いや、ステフと話していると止まらなくなってしまってね。ついつい仲間の研究者と話している時のように接してしまう。年齢について思い出したのは、ステフが寝てしまった時だったのだから、申し訳ないことをした」

「いいんです! 私が好きでやったことなので! それよりも、これからももっともっと教えてください!」

「私はいいが……」


 ステフの知識欲に応え続けられる人間はそういないだろうから、アーノルドが迷惑じゃなければいいとは思うけど……。


「ステフ。アーノルドとお前が良くても、お前を心配している人間も多いってことを忘れるなよ。ちゃんと食べてちゃんと寝ろ。やることやってれば誰も文句言わないんだから。自分が5歳だってことを自覚しろよ?」


 お、なんか兄っぽい。


「……はぁ〜〜い。10歳で色々やらかしているお兄ちゃんには言われたくない言葉だけど、言ってることは正しいと思うしありがたいから聞いておくね」

「グフッ!」


 ブーメランが戻って来た。


 話し合いの結果、ステフは週3日、アーノルドのお手伝いとしてここに来ることが決まった。

 送り迎えは俺達の誰かが行い、依頼などで不在の時はアルベルトさんに頼むか、連続で泊まりにしてもらうかを都度調整ということになった。


 せっかく帝都にいるんだから、色々と学んでほしいからな。


「じゃあ今日もここにいる!」

「早速か。わかった。じゃあアンジー、市場とかで買い込んだ食材や食料を少し出してくれ。温めればすぐ食べられるものとかを多目で」

「はい。よっと」


 ドン、とテーブルに様々な料理が並んだ。

 その他食材もいくつか。


「ありがとう。魔導具である程度は変質を防いでくれるから、これだけあれば大丈夫」

「じゃあ、妹を頼む。俺が言うのもアレだがステフは天才だ。出来る限りでいいから教えてあげてくれ」

「ああ、私もステフに教わることもあるんだ。柔軟な発想は、いい刺激になる。持ちつ持たれつだから、お互い気を使い過ぎないようにしよう」


 頷きあう。

 アーノルドとはいい友人という関係になれたな。

 ありがたいことだ。


「じゃあ俺達は依頼をこなしに行ってくるからな。夕方また迎えにくる」

「はぁーーーい! 気をつけてね!」


「「「「行ってきます!」」」」



 〜〜 3時間後 東地区ギルド 〜〜


「ジャンヌさん、こんにちは」

「あ、こ、こんにちは」


 なぜかジャンヌさんがよそよそしい。


「あの、何か?」

「あ、いえ。その、昨夜父からプレゼントのことを聞きまして……」

「ああ……。なんかすみません」


 急にエロいネグリジェもらってもなぁ……。

 しかも親と共に。


「あの、それと中央ギルドでの事(・・・・・・・・)ですが」

「はい……」


 ジャンヌさんが周りを気にしながら顔を寄せてくる。


「(中央区では『虹の絆』の事が新聞に載っています。母の力で抑えていますが、恐らく頃合いを見て解禁させるはずです。情報解禁時は教えるとのことですが、有名になることは確実と見られます。覚悟しておいてくださいね)」


「……はぁ。自分でしでかしたことなので、もうしょうがないですね」

「まあ、エーリですから」

「遅いか早いかの違いですものぉ」

「隠し通すのは現実的に無理だと思います」


「……私もそう思ってました」


 ペロっと舌を出して、ジャンヌさんが笑う。


「それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あ、隻眼のヴォルテックウルフ討伐が完了しました」

「え? あの、今朝出発なさったと思われますが?」

「はい。なので、現地へ行って討伐してきました。出会ってから討伐まで……どれくらいだっけ?」


 オードリーが首を傾げて思い出す。


「確か……10……」

「10分ですか?!」


 ジャンヌさんが驚きの表情を浮かべる。


「秒ですね」

「は?」


「ですから、確か10秒です」

「秒、殺……ですか。あれ、Bランクが断念した案件なんですが……。流石ですね」


 そうだったのか。でも


「Aランクに比べたら、なぁ?」

「大したことはなかったわねぇ」

「驚きはなかったですね」


「ということで確認作業をお願いします」

「はい、こちらへどうぞ」


 ジャンヌさんから紹介してもらった解体作業者へワンちゃんを渡し、受けた3件の依頼は全て達成となった。

 

題名の瞬殺が最後の方だけですみませんでした。

次回ちょこっとだけ説明が入る予定です。


いつも見て下さってありがとうございます

お気に召しましたらブクマ、評価をよろしくお願いいたします。

感想もお気軽にどうぞ。

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