↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/352

第44話 『お話し』と初めて

続きです。


キャッキャウフフなお風呂の翌日です。

もうキャッキャウフフでいいじゃないですか。


2018/02/03 読みにくい箇所を修正しました。

「エーリきゅんごめんなさい!」


「おはよう皆。よく眠れたかい?」

「はいエーリ様。落ち着けました。また一緒に寝たいです」

「私も久し振りに人肌を感じて安らいだわぁ。毎日でもいいわよぉ〜」

「なんかミルク村を思い出すね! アンジーちゃんとももっと仲良くなりたい!」

「はい。私ももっと皆さんと仲良くなりたいです」


 いやー、昨夜はパーティメンバー皆で、キングサイズのベッドで寝た。

 その効果か、皆の結束は大分固まってきたな。


「ごめんなさい! ごめんなさい! もうしません! 許してください!」


「今日は天気もいいし、観光しようか」

「いいね!」


「ジャンヌさんに相談すれば、いい観光ルート教えてくれるかな」

「あの子なら問題ないわねぇ」

「あー、アンジーのパーティメンバー登録もしよう」

「エーリ様。ありがとうございます」


「お願い無視しないでぇ!!」


 さあ、出発だ。


 グイ!


「エ、エーリきゅん……ごめんなさい」

「……何が?」


 顔は見ない。


「あ、あの……昨日のことです」

「気持ち良かったんでしょ? なら良かったんじゃない?」

「エーリきゅんの気持ちを考えずに突っ走ってしまって……自分勝手でした」

「俺が止めてなかったら、最後までイクつもりだったでしょ?」

「……恐らくは」


「オードリー」


 目と目を合わせ、ニコっと微笑んであげる。


「あ、名前。えへへ」


「今までありがとう。さようなら」

「……え?」


「パーティメンバーに手を出すような奴は、いらないと思うんだ。赤ちゃんの時も含めれば、2度目だよね? 反省していないってことだよね? ミリアとの約束を破ったんだよね? アンジーも入って人数も増えたし、鑑定もルイーズがいれば大丈夫だ。【集団鑑定】のメリットも、連携を強化すればいい話だし。あれ? オードリーがいる意味って、何? ないよね」

「え……あの……わ、私」


 目が泳いでいる。

 アイデンティティを揺さぶられる気分はどうだ?


「オードリーは冒険者になるって夢を叶えたじゃないか! もう、一人でも(・・・・)大丈夫だろ?」


 目が見開かれる。

 その目から大粒の涙がぼろぼろと流れ出す。


「うあぁああああああ! そ、そんなこと言わないでぇ!! もうエーリきゅんなしじゃ生きていけないのぉ! 何でもするから、許してぇ!! エグッ! ヒック! うえええぇえん……」


「ふーん。何でも?」


「グス……うん」


「悪い。皆先に下に降りてくれるか? ちょっと『お話し』するから」

「ヒィ!」


「わかったー。ほどほどにね〜」

「いけないことしたらダメよぉ?」

「わかりましたエーリ様」


 パタン。てってってって。


「オードリー。何でも言うこと聞くんだよな?」

「は、はい」


 さぁ、調教しようか。


「じゃあまず、今日からそのエーリ『きゅん』てのやめような? オードリーはもう17歳の大人だろう? その大人がその呼び方は恥ずかしいよ」


「は、はい。あ、あの……なんと呼べば……?」

「エーリでいいだろ? 旅の最初の頃はそうしてくれたじゃないか」

「わかりました、エーリ」


「わかってくれて嬉しいよ。じゃあもう約束破らないよな? 今後昨日みたいに俺だけじゃなく、誰かの都合を考えずに行動して相手に迷惑をかけたら……」


「か、かけたら……?」


「消えろ」


 目のハイライトを消して言ってあげる。


「は、はい……」

「3度目はないぞ?」


 オードリーの顔が絶望に沈む。

 世界が終わることを告げられたかのようだ。


 無表情のまま涙を流すその姿。


 ……そろそろだな。


「俺はさ、初めて見たオードリーが忘れられないんだ」


「…………え?」


「俺が赤ちゃんの時だよ。覚えてるだろ?」


「はい。誰も通れない結界があるって言われて……。全能神様の結界だから通れたら実績になると思ったんです……」


 なるほど、冒険者になるための実績作りだったのか。


「最初はあまりに遠くて嫌でした。結界を通る時もドキドキしてて。でも、エーリk、いえエーリを見た時、何故だか『この人だ』って、思ったんです」


 一目惚れ、とは違うのかな。

 なんか感じるものがあったんだろうか。


「あの時のオードリーは、自分の仕事に誇りを持って凛とした表情をしていて、精神世界で下着姿になった時だって、余りに完璧で、見惚れてしまった」


 頰に赤みが指す。


「まあ、その後すぐに一度目の裏切りにあうんだけど」

「ぐ!」


「なんであんなことしたの? 他の子にもああだったの?」


 だとしたら本当にヤバいぞ。


「いえ! ……信じてもらえないかもしれませんが、あんなに理性が飛んだのは、エーリの時だけです。他の子の時は、普通に抱っこしたり遊んで終わりでした。……下着姿にはなるんですが」


 そこはなるんだな……。


「私、子どもの時に感情を抑えて育ったせいか、ああやって時々爆発してしまうことがあるみたいで……。そのせいで昔、両親を殺しそうになりましたし……」


「俺も産まれた直後にやりかけたよ。でもな、オードリー。俺達は魔法とか才能面で、優れたところを持ってる。俺だって暴走したら、簡単に人なんか殺せる。どの属性の魔法でも、ゲムでも、一瞬だ。でもさ、だからこそ俺達は、自重を覚えなくちゃならないんだ」


「はい……」


 力なく項垂れるオードリー。


「昨日だって、普通に入れば俺もドキドキして、皆で楽しい時間を過ごせたと思うんだよ。でもあんなに無理やり、俺の気持ちも考えずに欲望のはけ口みたいにされたらさ、誰でも楽しくないと思わないか?」


「ヒック……。ごめんなさい。久しぶりに訪れたエーリと一緒の時間が嬉しくて、楽しくて……。最近はルイーズさんに取られ気味でしたし、魔力でも勝てなくて、胸も負けてますし……。チャンスだと思ったら頭が沸騰して……」


 あー……最近ルイーズと色々接触が多かったか。

 鑑定して負けたって聞いた時は驚いたけど。

 そりゃ専門分野でトップクラスが負けたら落ち込むわな。


「その件は俺も悪かったと思ってる。オードリーの気持ちは痛いほどわかってるけど、どうもがっつかれてその気持ちに応えようと思えなくてな」

「すみません……。これからはちゃんと我慢します」


「じゃあテストだ。本当に抑えられるか」


 くい、チュ。


「え?」

 唇を抑え、キョトンとしている。


「俺の初めてだ。二人だけの秘密だぞ?」


 さあ、どうなる?

 もしも、これで暴走するなら、その時は……。



 ポタ


 ポタポタ



「……嬉しい」


 涙を流しながら、そう呟いた。

 良かった。 大丈夫みたいだな。


「私で……良かったん、ですか? 初めて、なんですよね?」


「ああ、言ったろ? 初めて見たオードリーが忘れられないって。あれ多分、一目惚れだよ。俺はオードリーが好きなんだ。だから、気持ちは同じでいたい」


「こんな……私で、いいんですか?」

「ああ、そんなオードリーがいいんだよ。まあ、夢の一夫多妻制を目指すかもしれないけど」

「……エーリは魅力的ですから、きっと今後も集まっちゃいますね。でも、1番目は私、なんですよね?」

「ああ、そうだ。これからはスキンシップも増やすから、俺が好きな、今のオードリーでいてくれるか?」


「……はい!」


 そう返事をするオードリーは、今すぐ抱きしめて襲ってしまいたくなるほど、可愛らしい笑顔をしていた。


「……エーリ?」

「! ああ、じゃあ行こうか。皆が待ってる」

「はい」


 外に出ると、3人が待っていてくれた。


「終わったの?」

「ああ、待たせたな」

「皆さん、ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。これからもよろしくお願いします」


「うん! なんかキレイになったね、オードリー」

「あらあらぁ? なぁ〜にかあったわねぇ? 」

「お風呂、楽しかったです。これからもよろしくお願いします」


「ふふふ。ありがとうございます」


 ふう……。

 正直ホッとした。

 オードリーを失うかどうかの瀬戸際だったからな。

 告白も出来たし、良かった……。


「さあ、今日は観光しよう。いっぱい楽しんで親睦を深めたら、夜に鑑定だ」

「「「「はーい」」」」


 俺達は笑ってギルドに向かった。


オードリーを残すために頑張りました・・・。


見ていただいた皆様に感謝を!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。