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第2話 私の予定は完璧

幼馴染の本性(?)を知った拓斗。夏美の予定の上で踊らされる拓斗はどのような選択をするのか。第2話スタート!

翌朝。

目覚ましが鳴るより先に、拓斗は目を覚ました。

「……夢じゃなかったよな」昨日見たものを思い出す。


『拓斗結婚計画』


進捗率37%。十五年分の観察日記。未来予定表。変更不可。窓の外からのおやすみ。

どれを思い返しても恐怖でしかない。

「いやでも落ち着け…夏美は幼馴染だ。ちょっと過保護なだけだ」そう言い聞かせながらスマホを見る。


新着通知。

『おはよう♡』

『あと2分くらいで起きると思ってた』

送信時刻。

6:56。

「なんで起きる前提なんだよ!?」

慌ててスマホを閉じる。するとさらに通知。

『今日は7時13分じゃなくて7時11分に出るでしょ?』

「なんで分かるんだよ!!」

昨日の件で警戒している。

今日は絶対に夏美より先に家を出る。

そう決意した。


「行ってきます!」朝食を食べ終え、いつもよりかなり早く家を出る。母が不思議そうに見ていた。

「今日は早いのね」

「ちょっとな!」玄関を飛び出す。

よし。いない。夏美がいない。勝った。俺は自由だ。

そう思った瞬間。

「おはよう♡」

「うわぁぁぁっ!?」電柱の陰から夏美が現れた。

「な、なんで!?」

「今日は早く出ると思ったから♡」

「なんで分かるんだよ!」

「幼馴染だもん♡」

「その言葉万能じゃないからな!?」夏美はいつものように笑っている。

なのに昨日の計画書を知ってしまった今、その笑顔が妙に怖い。

「行こっか♡」

「……はい」断れる空気ではなかった。


登校中。

「そういえば拓斗」

「ん?」

「今日は数学の小テスト、92点くらいかな?」

「まだ受けてないぞ?」

「勘♡」

「その勘怖いって!」


学校へ着く。教室へ入る。そして小テスト。結果。

92点。

「なんでだよ!!」夏美は嬉しそうに拍手していた。

「すごいね♡」

「お前の方がすごいよ!」


休み時間。隣のクラスの女子が話しかけてきた。

「拓斗くん、この前ノート貸してくれてありがと!」

「ああ、全然いいよ」

「今度お礼するね!」

「気にしなくていいって」

「ふーん♡」背後から声。振り向く。夏美。笑顔。とても笑顔。なのに目だけ笑っていない。

「あ、夏美ちゃん」

「こんにちは♡」

「……じゃ、じゃあまたね!」女子はそそくさと去っていった。

「誰?」

「誰って隣のクラスだけど」

「へぇ♡」

「なんで怒ってる?」

「怒ってないよ?」笑顔。怖い。すごく怖い。


昼休み。

「あ、弁当忘れた」昨日も忘れた。今日も忘れた。

「学食行くか」そう立ち上がる。すると一

「はい♡」目の前に弁当。夏美の弁当。

「……なんで?」

「今日も忘れると思ったから♡」

「なんで分かるんだ?」

「昨日の夜、急いでたでしょ?」

「いや、なんで知ってる!?」夏美はニコニコしている。

「幼馴染だから♡」もう俺は聞くのをやめた。


放課後。

「拓斗」遥輝が真面目な顔で近づいてきた。

「今日ちょっと話ある」

「お、おう」二人で帰ろうとした瞬間。

「遥輝ー」先生が呼ぶ。

「職員室来てくれ」

「え?」

「進路調査の件」

「今ですか?」

「今だ」遥輝がゆっくり夏美を見る。夏美。笑顔。

「偶然だよ♡」

「絶対違うだろ……」遥輝はそう呟きながら職員室へ向かった。

「なんだったんだ?」

「さあ♡」


帰り道。今日は一人で帰る。そう決めた。

「じゃあな夏美!」

「うん♡」珍しく止められなかった。

やった、自由だ。


コンビニ。

「あ、拓斗♡」

「なんでいるんだよ!」

「偶然♡」


公園。

「あ、また会ったね♡」

「いや絶対偶然じゃない!」


信号。

「あ、こっちだったんだ♡」

「もう怖いって!!」

結局家まで一緒だった。


その日の夜。

夕食を食べ終えた拓斗は、自室の机に向かっていた。

「……勉強するか」

数学の問題集を開く。

しかし五分もしないうちに、スマホが震えた。

夏美からだ。

『3ページ目の③、計算ミスしてるよ♡』

「……は?」

慌てて問題集を見る。

まだ③は解いていない。

「解いてないんだけど……」恐る恐る解き始める。十分後。

「……あ」

本当に計算ミスをしていた。

「なんでぇぇぇ!?」急いでメッセージを送る。

『なんで分かった?』数秒後。

『拓斗なら間違えると思った♡』

「俺の解き方まで把握してるのかよ……」


頭を抱えていると、また通知が届く。

『あと、冷蔵庫のプリン食べない方がいいよ♡』

「え?」

一階へ降りる。

冷蔵庫を開ける。

確かにプリンがある。

「何で知ってるんだ?」

賞味期限を見る。

昨日まで。

「うわ、本当だ……」

「お母さーん!」

「なーに?」

「このプリン切れてる!」

「あら本当!危なかったわねぇ」

母は何気なくプリンを捨てる。

「夏美ちゃん、よく分かったわねぇ」

「……」

拓斗は何も言えなかった。


部屋へ戻る。

「いやいやいや。」

「賞味期限まで把握してるの?」

スマホがまた震える。

『ちゃんと新しいプリン買っておいたよ♡』

「買ったの!?」

『冷蔵庫の二段目の奥♡』

慌てて確認すると、本当に新しいプリンが入っていた。

「いつの間に!?」

一階から母の声が聞こえる。

「あ、そのプリン夏美ちゃんがさっき届けてくれたのよ〜」

「さっき!?」

「『拓斗くんが食べそうなので』って」

「未来予知じゃなくて予防じゃねぇか!」


その頃。

夏美の部屋。

ベッドの上にはノートパソコン。

画面には大きく、

『拓斗サポート計画 Ver.15.2』

チェック項目が並んでいる。

□忘れ物防止

□栄養管理

□睡眠時間管理

□学習サポート

□体調管理

□危険回避

□将来設計

一番下には、小さく新しい項目が追加されていた。

□拓斗を毎日笑顔にする♡


夏美はその項目にゆっくりチェックを入れる。

「今日も一回笑ってくれた♡」

満足そうに微笑むと、ノートを閉じる。

「明日はもっと頑張ろう♡」

そう呟きながら、机の横に置かれた『拓斗結婚計画』の進捗表を見つめる。

現在達成率――42%。

「まだまだ先は長いなぁ♡」

嬉しそうに笑う夏美の部屋には、今日も新しい付箋が一枚増えていた。


『明日:拓斗に自然な形で手作りクッキーを食べてもらう(成功率92%)』


その数字が、なぜそこまで正確なのかは、まだ拓斗だけが知らなかった。


夜。ベッドに寝転ぶ。

「夏美って……」少し考える。

「俺のこと好きなのか?」そこでふと気付く。

「いや好きでも説明つかないだろ!」


好きだから十五年観察日記を書くか?

好きだから未来計画表作るか?

好きだから進捗率管理するか?


「しないよな普通!」スマホが震える。

夏美からメッセージ。

『おやすみ♡』

『今日は楽しかったね♡』

『ちなみに今日の進捗は5%くらい進んだよ♡』


「進捗って何!?」さらにもう一件。画像。開く。


『拓斗結婚計画』

進捗率42%。昨日37%。今日42%。

「増えてるーーー!!」するとまた通知。

『安心してね♡』

『全部拓斗を幸せにするためだから♡』


「安心できる要素が一個もない!!」

そう叫んだ瞬間。コンコン。窓。

「……え?」

ゆっくりカーテンを開ける。

そこには一街灯の下。笑顔で手を振る夏美。

「おやすみ、拓斗♡」

「なんでいるのぉぉぉぉぉ!?」夏の夜に拓斗の悲鳴が響いた。


そしてその頃。夏美の部屋。壁には大きなホワイトボード。

『拓斗結婚計画』

文化祭実行委員 ✔

修学旅行同じ班 ✔

家族公認 ✔

観察十五年 ✔


デート □

手を繋ぐ □

告白させる □

婚約 □

結婚 □


その横。新しいノート。タイトル。


『ライバル対策マニュアル』


夏美はペンを持つ。

「まだライバルはいないけど……」

「準備は大切だもんね♡」


そして一ページ目にゆっくり書き込む。

『拓斗に近付く可能性がある人一覧』


夏美は満足そうに微笑んだ。

「大丈夫♡」

「拓斗の未来は、私がちゃんと守るからね♡」

幼馴染は強しということですね(?)。最早未来予知と同じことやってるけど実際はどうやって予定を現実にしているのか考察しながらお楽しみいただけると幸いです。第3話お楽しみに!!!

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