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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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74話.和解の形

夜が明けて私にとって3度目の朝がくる。


その夜は、田畑の横にテントを立てて寝た。

目を覚ましてしばらくすると、村人たちがやってきた。


私はささっとルナのバックの中に身を隠す。


「ルナさん、畑はどうなりましたか」

「皆さん、申し訳ありません。今晩は畑は守り切れませんでした。ですが、元凶への対処はしました。ですから、もう大丈夫だと思います」

ルナはペコリと頭を下げて言う。


「元凶!?元凶はオークじゃないのか」

「大丈夫って本当に!?今晩はダメだったんでしょ?」


村人たちが一斉に騒ぎ立てるのを村長と思われる老人が手で制した。


「ルナさん。どういうことか説明をしてもらってもよろしいですかな」

「はい、実は…」


ルナは、元凶と思われるオークがテイムされており、犯人は貴族だったこと、

そして、貴族たちにこの村に手を出さないように話をつけてきたことを伝えた。



「そんな…」

「あいつら…よくも」


村人たちの怒りは明らかに貴族に向いていた。



「ですが!」

そこでルナは大声を上げてその場にいる村びとたちの注目を集める。


「貴族には、手出しをしようなんて絶対に考えないでください。彼らをかばっているわけではありません。彼らを下手に攻撃すれば、何をされるか分からないからです。貴族には平民に危害を加えても罰されない権力がある。だから、なにかあったらこの国の王に頼ってほしいんです」


…王

人間たちのトップ。

ルナの父。


どんな人物なのか、興味があった。


村人たちはルナの言葉を聞き、顔を見合わせた。

「そりゃ、貴族に手は出せないのはそうだけど」

「王が私たちみたいな平民のために取り合ってくれるわけが」

「そもそも王に連絡をする手段がない」


村人たちは騒めき立つ。


「大丈夫です。王は貴族たちとは違います。ちゃんと国民のために動ける人です。それにちゃんと話は通しておきますから」

「ルナさん。あなたは…」


村長の問いにルナは、内緒です、と人差し指を立ててはにかんだ。


ルナはそこで村長に様子をみるため、3日ほど滞在したいこと。

そして、紹介したい者がいる事を伝えた。


1つ目の申し出に村長は快く承諾してくれた。

そして2つ目のお願いに首をかしげる。


「紹介したい者?」


「この子です」

そうして、ルナは振り返ると、笑顔て森の方へ手招きをする。


すると、のそのそと巨大なオークが森から出てきた。


オークは頭に手をやり、困ったような仕草をしている。


村人たちは再び騒めきたった。それもパニックの色が大きくだ。


何人かは、武器を取ろうとしていた。


「まってください。話を聞いてください」

ルナは必死に訴える。

「話しってだれの」


「お…で…です」

村人の疑問の返答として、たどたどしい声が聞こえた。

その声の発生源が信じられない場所から聞こえ、私は思わずカバンの中から顔を出して振り返る。


そうして、最初に聞こえた発生源が正しいことを再確認した。


その声を発したのは、なんと目の前のオークだった。

村人たちも全員唖然としているようで、ポカンと口を半開きにしていた。

魔獣が喋ること自体が信じられないのだろう。


「ごめ…んなさ…い。おでが…みなさ…んの…はたけ…こわ…しまし…た」

たどたどしくも、必死に声を出して頭をさげるオークの姿からは、

誠意が伝わってきた。


だが、やはり、魔獣と人間の間には大きな隔たりがあるようだ。

その言葉を聞いて、村びと全員が身構えた。

中には憎悪の目を向ける者もいた。


「勘違いしないでください。彼はテイムで操られていたんです。人間に」


ルナが言う。


それを聞いて、村人たちの視線が複雑なものに変わる。

「彼は皆さんに言いたいことがあるみたいなんです。聞いてあげてください」

オークは、こくりとうなずき、再度たどたどしく話し始めた。


「おで…みん…なにあやまり…たい、はたけ…なおす」


辺りがシーンと静まり返る。

私には関係のない話だが、それでもなぜかどきどきした。

果たして、魔獣であるオークは村人たちに許してもらえるのだろうか。


私の目から見て、オークの非は少ない。

そもそも操られていたのだから。


しかし、魔獣であるという理由だけで、村人たちは彼を悪と決めつけ。排斥しようとするのではないかと

いう考えがよぎった。


だが、そうはならなかった。

静寂を破ったのは、村人の1人の陽気そうな男だった。


「えらい!悪いのは貴族の奴らなのに、それでも責任取ろうとしてくれるなんて男だねぇ。その心意気、俺は素直に信じる事にするよ」

「…」


皆はどうだと、男は周りの村人たちに呼びかける。


「私も。オーク…さんに責任を押し付けるのは違う気がする」

「ほんとよ、それ本来貴族たちの仕事でしょうがって話。爪の垢でも煎じて飲ませたいわ」

「あいつら、うちの村ですら雑菌扱いしてるのに、垢なんて飲んだら爆発しそう」

1人の村娘の発言に周囲から笑いが巻き起こった。

それにより、緊迫していた空気がさらに和む。


「全く」

「私も信じる」

「俺も」


村人たちの意見は、オークを受け入れる方に傾きそうだった。


私はこの流れに驚いていた。

まさか、魔獣が人間に受け入れられるなんて、昨日のカルシュウム男爵の話を聞いてた限りじゃ信じられなかった。


ルナもあのオークが受け入れられるのか、心配していたようだ。

安堵したのか、ルナは胸をなでおろした。


「あなた、なんで話せるの?」

「名前は?」

「な…まえ…ない」

「じゃあ、考えないと」


村人たちは、もうオークに敵意はないようだった。


私はこんなにもあっけなく事態が収拾したことに対して、肩透かしさえ感じていた。

こんな簡単に魔獣と人間が分かりあうことができるんだ。


いや、勿論いろんなケースがあるんだろうけど。


ルナも心なしか嬉しそうに見えた。

彼女はその団欒の様子を少しみた後に、村びとたちに呼びかける。


「えっと、皆さんもう1人、いえ1匹紹介したい子がいるんです」

村人たちはいっせいにこちらを振り返る。


ついにきたか。私の番が。


昨日ルナに頼まれたこと。

それは、私を村びとに紹介することだった。今回の立役者の1人として。


その理由を問うと、人間の本質を知りたいのだと意味深でよく分からない答えが返ってきた。

私を紹介する事と何の関係があるのだろうか。


ただ、ルナの考えならば従ってもいいのではないかとも思った。

だから、承諾はしていた。とはいえ、こうして私の番がくるととてつもなく緊張する。


私は彼らとは違う魔獣なのだから。



もぞもぞとバックも中から体をよじりだして、地面に着地する。


「は、はじめまして」


私が姿を現すと同時に、また村びとから騒めきが起こった。


「また、しゃべる魔獣!?」

「夢でも見てるのか?」


「みなさん、このスライムさんは私の連れです。この村に入ってた時から一緒でした。黙っていたことは、申し訳ありません。ただ、今回は彼女にも事件解決を手伝ってもらったんです。だからというわけじゃないんですけど、このスライムさんの滞在も許してもらうことはできないでしょうか」


ルナは、深々と頭を下げる。

村人たちは、顔を見合わせた。


村長が口を開く。

「よしてください。こっちは本当に感謝しているんです。あの畑が使い物にならなくなっていたら、それこそ我々は、この村を捨てる決断を迫られていましたから。そのスライムさんも恩人だというのなら、喜んで歓迎しますよ」


「そうですよ。恩人に魔獣も何もないです」

何人かの子供たちが、私の前に駆け寄ってくる。

「わーかわいい」

「ちっちゃいね」

「ね」

「スライムさんって、どうやって動いてるの?」


私が早くも受け入れられている様子を遠目で見ながら、ルナは少し唖然とした顔をしていた。


「…ありがとうございます」

ルナはどこか懐かしいものを見るような目をしながら、少し笑って村長にそう言った。



そうして、村人たちはささやかながら、歓迎会を開いてくれた。


大きめのパンと、スープを振舞ってくれたのだ。

決して豪華ではなかったが、なんだかおいしかった。








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