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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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70話.オークキング

私にとって二度目の夜が来た。


ルナは腕を上げて伸びをする。

次に屈伸をし、腕をそらし、これから戦うための準備運動をしているようだ。


ルナは、大丈夫です。戦うのは私ですから、スライムさんはみていてください、

と自信に満ちた顔で言っていた。


私としても、人間たちがそこら中にいるこの村で1人になるのは嫌だったし、付き合うのはやぶさかではない。


だけど…


ルナは本当にオークに1人で勝てるのだろうか。

勝てなかった場合、私はどうなるのだろうか?


そのことを想像し、ぶるりと身震いした。


それから2時間ほどが経った。

近所の家の影に隠れてずっと見ていると、のっそりとした動きでオークが現れた。


全身が茶色い毛で覆われたその獣は想像以上に大きかった。その体躯は近くの家の2階建ての家屋と

同じほどに大きかった。


「うそ」


ルナが驚いたような声でつぶやく。


さすがにこれは…


退くべきだ。


そう思ったが、ルナは動かなかった。


そのオークは、畑の作物をいくつか手につかんで食べると、畑の地面を掘り返して

去っていた。


「おかしいです」


なにが…


そのルナのつぶやきの意図を尋ねる前に、ルナは走り出していた。


あわててついていく。


「「待って」」


私とルナの声が重なった。

私はルナに向かって言ったが、ルナは誰に言ったのだろう。


ルナのさらに先をみると、そこには先程のオークが足を止めていた。

オークは重鈍な動きで振り返る。


「うっ、うっ」


オークがうなる。

その目は焦点が定まっておらず、正気を失っているように見えた。


「やっぱり」

ルナが呟く。

オークがルナの方を向く。


「ルナ!!」

オークがそのまま手の槍を振り回してルナに襲い掛かる姿を幻視した。


だが、オークはそのまま静止していた。


「これは?」

「…テイムされてるみたい」


「テイム?」


「魔獣を術者の意のままに操る術の総称です」

ルナが簡単にテイムの説明をしてくれる。


テイムをかけると、操られた側の魔獣は人間と意思疎通を取れるようになること。

魔獣は発声器官的に人語を話せない場合がほとんどだが、

テイムをかけられるとたまに話せるようになる固体も存在すること。


魔獣にとってなんと怖ろしい術なのだろうかと思う。


しかも、テイムの副作用として目の前のオークのように正気を失うこともあるらしい。

術者が未熟だと対象魔獣の脳を傷つけてしまうらしいのだ。



「それで、テイムをされていたからどうだっていうの?」

とりあえずオークを追っ払えばいいのだから、テイムされている事の何が問題かが

分からなかった。


「…今回の首謀者は人間だってことになります」


「あっ」


それを聞き、ルナの複雑な表情の意味が少し理解できた。


被害を受けているのは人間の村なのに、その首謀者も人間なのか。

同じ種族でも争い合うことがあるのかと思う。

でもルナはそのことが愉快でないのだろう。なんで?例え人間同士の争いでもルナには関係ないでしょう?



そう尋ねようとした時、静止していたオークがいきなり動いた。


手作りと思われる穂先にとがった石を括り付けた槍を振り回し始めたのだ。


「テイムされてたんじゃないの!?」

「きっと誰かに邪魔されたら撃退しろとでも命令されていたんだと思います。スライムさんは下がっていてください」


そして、ルナはその華奢な体に似合わない大剣を鞘から抜いたのだった。



◇◇



セレーネは目を見開いた。


ルナはオークの鈍い動きを完全に捌いていた。



その身のこなしからは、適当に武器を振り回すオークとは対照的に練度が感じられた。


オークは、懲りずに何度も同じような攻撃を続けている。


そんな攻撃が当たるはずもなく、ルナは軽やかに身を翻しオークの懐に入った。


「はああああっ!」


ルナは掛け声と共に光り輝く剣を頭上に振り下ろした。


「クレセントストラッシュ!!」


ガンっと鈍い音が響き、オークはうめき声をあげて倒れた。





◇◇



オークがやられる瞬間。


ルナとセレーネを見る人影がいた。

人影は、オークが倒された様子を見てから通話を始めた。



「ありゃりゃ、やられちゃいましたよ。オークキング。A級くらいはあったはずなんですけどねぇ」

「…」


「あのオークって確か貴族に貸し出してたやつですよね。確かなんとか伯に」


「さぁな」

「おいなんとかで分かるわけがないだろう。報告は正確にしろ!」


そばに控えていたのか、主とは別の声が言った。



「にぃーはっは。名前いってもどうせ覚えてないって。ね、ネメシスさま」


「腐ったゴミ共のことなどどうでもいい。それより」


「わかってますよ。お姫様のことはきっちり監視しておきますって」



そう言って、ミリーナ・リリエンタールは薄笑いを浮かべるのだった。











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