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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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68話.はじまり



怪物はさっと私を掴んだ。


反応することもできず、なすがままに怪物の手に包まれた。


このまま握りつぶされることを覚悟した。


だが、そうはならなかった。

怪物は手を後ろにやった。


その意図はすぐに分かった。

先程まで私を追いかけていた2人組が茂みの中から出てきたのだ。


「あれ!?どこ行った?」

「そこの嬢ちゃん!ここら辺に逃げてきたスライム見なかったか?」


ビクリと体が震えた。

このまま渡されるのではないかと思ったからだ。


「いえ、見ていませんよ」


だが、予想外なことに私が売られることはなかった。


「そっか、騒がしくして悪いな」

「そうそう、見た感じ嬢ちゃん旅の人だろ?一応忠告しとく。このあたりはスライムが大量発生してるんだ。そういう時期なのさ。冒険者の間じゃスライムパレードって呼ばれてる。それで駆除隊が出回ってんのさ。俺らもそのチームな。まぁ、所詮スライムだし、大した危険はないけど一応気をつけろよ」

「おい、そろそろいくぞ!」

「あ、おう」


そう言って男たちは去って行った。



怪物は、私を掴んだまましばらく歩く。


私が逃げようと体をよじると、じっとしていてくださいとささやく声が聞こえた。


怪物は先程の場所からある程度距離をとり、周囲を確認してそっと私を地面に置いた。


見上げると、そこには美しい顔立ちをした生物が立っていた。

「きれい」


思わず呟いていた。

怪物だと思っていたその生物からは、不思議と敵意を感じなかった。




私の言葉を聞き、その生物は困ったような顔で笑った。


「スライムさん。さっきはごめんなさい。私はルナ。ルナ・リリベスティ・クリスティナ。あなたのお名前を聞かせてくれませんか?」


その生物、ルナはしゃがみ、目線を合わせながら笑顔で言った。




◇◇



「名前…そんなのない」

「そうなんですか。それじゃつけないと。うーん…でも思いつきませんね。仕方ありません。今はスライムさんって呼びますね」

困り顔でルナは言う。


コロコロと表情が動くやつだ。

だが、不思議と見てて悪い気はしない。


むしろ面白いとさえ思った。


「私、これからどうしたらいいかな」

不意に言葉がついて出た。


「…どうとはなんでしょう?」

「わかるでしょ。私はスライム。最弱の魔獣で1匹で生きていけない。きっとすぐに倒されて死んじゃう。私そんなの嫌!もっと」


この世界を見てみたい。

そう言い切る前に、ルナは口を開いた。


「では、私と一緒に来ますか?」


思いもよらない言葉にポカンと口を開ける。


「え、いいの?」


「はい。私も1人は限界でしたから」


ルナは私に手を差し出してきた。


一瞬の逡巡のあと、私はその手に飛び乗った。

その手は驚くほど温かかった。


こうして、1人の王女と1匹のスライムの旅が始まったのだった。










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